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AIに相談して買う人は、会話の中で「欲しいものの条件」を決めている。

AIに相談しながら買い物をすると、欲しいものの条件が、会話の中で少しずつ決まっていきます。最後にはAIがその条件を1行にまとめ、その条件で商品を探します。

このページでは、この条件のまとまりを「購買仕様書」と呼び、実際に収納ボックスを探した会話をもとに、中身を9つの項目に分けて説明します。

購買仕様書とは

購買仕様書は、AIに相談しながら買い物をする人が、会話の中で決めていく「欲しいものの条件」のまとまりです。発注するときの仕様書と同じように、AIはこの条件をもとに商品を探します。

検索で買うときは、検索結果に並んだ商品を自分で見比べながら、欲しいものを決めていきます。AIに相談して買うときは順番が逆で、先に条件が決まり、その条件に合う商品をAIが探します。この買い方を、私たちは「仕様書型購買」と呼んでいます。

購買仕様書は、買う人が最初から書いて持っているものではありません。次の例のように、AIが出してくる提案に「いい」「嫌だ」と反応するうちに、条件ができあがっていきます。

購買仕様書ができるまで|収納ボックス探しの会話

収納ボックス探しの会話では、条件は最初からあったのではなく、AIが出した商品への反応から生まれました。最後にAIが条件を1行にまとめ、検索語も自分で作って商品を探しました。

きっかけは、自宅のキッチンカウンターに「何でも入れておく箱」ができてしまい、見た目が悪いという困りごとでした。相談者(筆者)が最初にChatGPTに聞いたのは、商品のことではなく、そもそも箱が要るかどうかです。

この時点で、箱の数(1個)、大きさ(浅め)、使い方(月に1回は中身を見る)が決まっています。まだ、どの会社の商品も出てきていません。

商品を探してもらうと、ChatGPTは大手家具チェーンの799円の収納ボックスを第一候補に挙げました。回答には、その商品ページにある幅・奥行き・高さと価格がそのまま引用されています。(この記事では、会話に出てきた商品名とブランド名を伏せています。)

そのあと相談者は、カウンターの物の移し先として、リビングにある丸いローテーブル(天板も下の棚も円形)の下の段を思いつき、テーブルの画像を送りました。ここから条件が大きく変わります。

この1行ができるまでに、相談者はAIが出した商品を見て「丸の方が良くない?形状は?」「アジアンすぎるのは嫌だなぁ」「子供に開けられないのがいいなぁ」と反応していました。形の見本になった海外デザインブランドのバスケットも、相談者が知っていた商品ではなく、ChatGPTが出してきたものです。予算に合わなかったため、形の基準としてだけ残りました。

相談者が「さがそう!」と返すと、画面には「北欧 ラウンド バスケット 直径 45cm 収納 フェルト」を検索中という表示が出ました。この会話で検索語を考えたのは、相談者ではなくChatGPTです。

購買仕様書の9つの項目

収納ボックス探しの会話に出てきた条件は、9つの項目に分けられます。きっかけの困りごとから、避けたいこと、見本にした商品まで、商品のスペック表には載らない項目が多く含まれています。

項目中身収納ボックス探しでの例
1. きっかけの困りごと買い物を始めた理由。まだ商品の形をしていないキッチンカウンターに物が溜まり、見た目が悪い
2. 用途何を入れて、どう使うかケーブル・リモコン・郵便物などを上から入れる。子どもに開けられにくい
3. 置き場所と手持ちの物どこに置き、すでに持っている何と合わせるかリビングの丸いローテーブルの下の段。丸い天板と形を揃える
4. 外せない条件数字で言える条件直径35〜50cm、高さ20cm以下、1万円以下
5. 好み素材・色・雰囲気フェルトか布。グレージュ・ライトグレー・生成り
6. 避けたいこと選ばない理由になる見た目や性質洗濯カゴやゴミ箱に見える形。アジアンな雰囲気
7. 見本にした商品形や雰囲気の基準にした商品ChatGPTが出した、海外デザインブランドの丸いフェルトバスケット(予算に合わず、形の基準としてだけ使った)
8. 優先順位条件どうしがぶつかったときの順番①浅い丸型のフェルト ②丸いコットンロープ+ふた ③ラタン
9. 信頼の条件何を見て、その商品や売り手を信用するかこの会話ではほとんど出てこなかった

4と5のような数字や素材の条件は、商品ページのスペック表にも載っています。一方で、1・3・6・7は、買う人の家の状況や好みから生まれる条件で、売る側が商品ページに書くことはほとんどありません。

検索で買うときとの違い

検索で買うときとの違いは、条件が決まる順番と、商品を探す作業を誰がするかの2点です。

検索で買うAIに相談して買う
始まり商品の種類や名前で検索する困りごとを話す
条件の決まり方検索結果を見比べながら、自分で決めるAIの提案に反応するうちに決まり、AIが1行にまとめる
検索語を考える人買う人AI
比べる材料検索結果に並んだページAIが読んだページから拾われた情報

売る側にとって変わること

購買仕様書で決め手になる条件の多くは、商品ページに書かれていません。AIは読める情報からしか商品を選べないため、売る側は購買仕様書の項目に答える情報を公開しておく必要があります。

  1. 決め手になった条件の多くが、商品ページの外にある。「洗濯カゴに見えない」「丸いテーブルと形が揃う」のような条件で商品を説明しているページは、ほとんどありません。
  2. 書いてある情報は、そのまま拾われる。大手家具チェーンの収納ボックスが第一候補になったとき、ChatGPTの回答には、その商品ページにあるサイズと価格がそのまま引用されていました。
  3. 見本として名前が出ても、買われるとは限らない。海外デザインブランドのバスケットは、形の見本としてAIが名前を出し、相談者もその形を気に入りました。それでも、探す対象は予算に合う別の商品になりました。

自社の商品で準備する手順

買いそうな人(ペルソナ)ごとに購買仕様書を書き出し、項目に答える情報を洗い出して、AIが読める場所に公開します。ペルソナと購買仕様書のパターンは、AIに数多く作らせると早く揃います。

  1. 買いそうな人を決める。自社の商品を買いそうな人を、ペルソナとして何人か決めます。
  2. その人が条件を決めていく流れを書く。困りごとから始まり、AIの提案に反応しながら条件が決まっていく流れを、その人の立場で書き出します。
  3. 9つの項目に分ける。書き出した条件を、上の9つの項目に振り分けます。ペルソナが違っても共通して出てくる項目が見えてきます。
  4. 項目に答えるために必要な情報を洗い出す。「どんな部屋に合うか」「何を入れる人が多いか」「避けたい見た目に当てはまらないか」など、今の商品ページに無い情報をリストにします。
  5. AIが読める場所に公開する。洗い出した情報を、商品ページや自社サイトの記事など、AIが読める形で公開しておきます。

公開したあとに、書き出した購買仕様書をAIにそのまま渡して「この条件で探して」と頼むと、自社の商品が候補に入るかを確かめられます。

よくある質問(FAQ)

Q01購買仕様書は、ペルソナと何が違いますか?

ペルソナは「誰が買うか」、購買仕様書は「その人が、ある買い物で何を条件にしたか」です。

同じ人でも、収納ボックスを買うときと掃除機を買うときでは、購買仕様書の中身が変わります。ペルソナを決めたうえで、その人が買い物ごとにどんな条件を決めていくかを書き出したものが購買仕様書です。

Q029つの項目は、どの商品でも同じですか?

項目の名前はどの商品にも使えますが、どの項目が決め手になるかは商品によって変わります。

この記事の例は、収納ボックスを探した1件の会話です。この会話では「避けたいこと」「置き場所と手持ちの物」のような見た目に関わる項目が決め手になり、「信頼の条件」はほとんど出てきませんでした。高額な商品や業務で使うサービスでは、信頼の条件の比重が変わると考えています。

Q03AIの回答は、同じ相談をすれば同じになりますか?

同じ回答が返るとは限りません。

AIの回答は、会話の文脈・時期・モデルの更新で変わります。この記事の会話は2026年9月時点のものです。

この記事のポイント

  • 購買仕様書は、AIに相談しながら買い物をする人が、会話の中で決めていく「欲しいものの条件」のまとまり
  • 収納ボックス探しの会話では、条件はAIが出した商品への反応から生まれ、最後にAIが1行にまとめて、検索語も自分で作って探した
  • 中身は、きっかけの困りごと・用途・置き場所と手持ちの物・外せない条件・好み・避けたいこと・見本にした商品・優先順位・信頼の条件の9項目
  • 決め手になる条件の多くは商品ページに書かれていないため、売る側はペルソナごとに購買仕様書を書き出し、項目に答える情報をAIが読める場所に公開しておく
実験・執筆
田村 夢希株式会社TAMKO 代表

株式会社TAMKOの代表。MMM分析代行「DOREGA」、AI顧客像インタビューの「ザ・カセッツ」など、マーケティングのサービスをつくっています。記事に載せているAIとの会話は、すべて本人が行ったものです。

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