TAMKO
DOREGA数字がつくる6つの現実

同じ広告なのに、ある指標では0点、ある指標では100点になります。

では、広告の「本当の成果」はどれなのか。

先に答えると、「本当の成果」を自動で決めてくれる指標はありません。数字は客観的な答えではなく、「お客さんはこう買った」という仮説を数字にしたものです。

同じ動画を見た、6人の上司。

報告は全員違います。気になる報告を開くと、その数字が何を「真実」として採用したかが分かります。

上司 01「この動画、成果は0件です」この報告が置いた前提を見る
採用した指標

ラストクリックCV / CPA

この数字を採用した瞬間、真実として置いたこと「決め手は、最後に触れた接点である」

最後にクリックされた広告に成果を全部渡し、それ以外の接点には何も渡しません。買う直前のひと押しを狙った動画なら、「最後の接点」になることもあります。ただし、知ってもらうために出した動画はその位置に来ないので、成果は0に近づきます。効果がないからではありません。この指標が、その動画を数える場所を持っていないからです。

ラストクリックは、成果を最後の1つにしか渡さない
動画広告0%
SNS投稿0%
検索広告0%
比較記事0%
指名検索100%
購入
上段:お客さんが実際に通った接点下段:ラストクリックが渡す成果

5つ全部を通っていても、受け取るのは最後の1つだけです。買う直前のひと押しを狙った動画なら、この位置を取れることもあります。 取れないのは、知ってもらうために出した動画です。この位置に来ない使い方をしている動画は、成果が構造的に0になります。

上司 02「広告経由売上は1,200万円です」この報告が置いた前提を見る
採用した指標

ROAS / 広告経由売上

この数字を採用した瞬間、真実として置いたこと「その売上は、広告がなければ発生しなかった」

ほかの5つは「この売上を、どの接点の成果として配るか」という配り方の仮定です。ROASだけは、配る前の金額そのものを「広告が生んだ」と置いています。広告を出さなくても買った人——指名検索で来た人、リピーター、店頭で決めた人——の売上まで、そこに入っているからです。つまり広告がなければ、この売上は立たなかったと言い切っているのと同じです。6つの中で、確かめないまま決めている範囲がいちばん広い指標です。

ROASの分子には、放っておいても売れた分が入っている
広告がなくても売れた分広告が増やした分
ROASが分子にしている売上
本当に広告が動かした売上

指名検索で来た人、リピーター、店頭で決めた人。この人たちの売上まで数えているので、ROASは広告の成果を実際より大きく見せます。(帯の比率は説明のための例で、実際の割合は事業によって変わります)

上司 03「視聴後CVは318件です」この報告が置いた前提を見る
採用した指標

ビュースルーCV

この数字を採用した瞬間、真実として置いたこと「見たことは後の行動に効く。ただし計測期間の日数まで」

動画にとっては味方の指標です。ただし見落とされがちなことがあります。計測期間(アトリビューションウィンドウ)の日数が、そのまま「動画の効果が何日残るか」として扱われることです。7日なら、8日目から先に起きたことは数えません。この日数は自由に決められるものではなく、媒体の仕様や、クリックを覚えておくCookieの寿命(Safariでは最長7日)で上限が決まります。測れる範囲と、効果が続く範囲は、別のものとして見ておく必要があります。

計測期間を7日にすると、8日目から先はゼロになる
効果があったと数える効果はなかったものとして扱う
動画を見た日7日60日
実際に購入したのは、この期間のどこか(検討に2か月かかった場合)
上司 04「成果の23%は動画です」この報告が置いた前提を見る
採用した指標

配分モデル(線形・減衰など)

この数字を採用した瞬間、真実として置いたこと「関与した接点すべてに成果がある。重みはこう配る」

どこに厚く配るかは、分析の結果として出てくる答えではなく、先に決めておくルールです。決めないと成果を配れないので、決めること自体は必要な手続きです。ただ、ルールを変えれば数字も変わります。どのモデルが正しいかを突き詰めるより、社内で1つに決めて、同じ基準で前後を比べるほうが実務的です。

上司 05「再生完了率は87%です」この報告が置いた前提を見る
採用した指標

再生完了率・視聴単価・リーチ

この数字を採用した瞬間、真実として置いたこと「見られたこと自体に価値がある」

この指標は、売上との関係を最初から主張していません。だから「で、いくらになったの?」に答えが出ないのは、数字が悪いからではありません。その数字が、その質問に答えるようにできていないからです。

上司 06「たぶん、成功です」この報告が置いた前提を見る
採用した指標

決まった数字はない

この数字を採用した瞬間、真実として置いたこと「前提が、まだ言葉になっていない」

前提が無いわけではありません。誰かが頭の中に持っている筋書きで、判断はすでに進んでいます。表に出ていないぶん、食い違ったときに何を話し合えばいいのかが分からなくなります。

※ 数値は、構造を説明するための架空例です。
6人とも、同じ広告を見ています。違うのは、どこからを成果と呼ぶかです。

数字が変わったのではありません。
成果の定義が変わりました。

01同じ広告
02選んだ前提
03違う結論

ラストクリック、ROAS、ビュースルー。指標名を選ぶことは、お客さんがどう買ったのか、その筋書きを1つ選ぶことでもあります。

YOUR MEETING / 30 SEC CHECK

あなたと上司は、同じ現実を見ていますか?

会議で強い数字と、あなたが動画の成果だと思う場所。2問で、二人のズレを見つけます。

成果地点のズレを30秒で見る
POWERPOINT / 3 SLIDES各指標を一覧にした比較表を、PowerPoint 3枚で持ち帰る。資料を受け取る
「正しい指標」を探す前に、何を成果と呼ぶかを決める。

数字は議論を終わらせる答えではなく、同じ前提で話し始めるための道具です。

執筆
田村 夢希株式会社TAMKO 代表取締役 / プロデューサー

Web広告の運用とレポート設計を実務で担当。MMM分析代行「DOREGA」はじまりました。

プロフィールを見る