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配信と在庫

Amazon広告の予算切れへの対応は、ACOSと損益分岐ACOSの差、予算切れの日の曜日・期間の偏りから日予算の増額か入札額の引き下げかを決め、増額幅は予算レポートで確認した配信が停止した時刻から見積もる

Amazonのスポンサープロダクト広告で、キャンペーンが1日の予算(以下、日予算)に到達して配信が停止した場合に、日予算の増額と入札額の引き下げのどちらを選ぶべきか、判断に迷うことはありませんか。

診断サンプルの会社K社(キッチン用品メーカー。自社ブランドは「ケイライフ」。いずれも架空)の例では、自社ブランド名を含まない一般的なキーワード(以下、一般語)をマニュアルターゲティングで指定するキャンペーン(以下、一般語のキャンペーン)の日予算は6,900円です。このキャンペーンでは、広告費がその日の予算に到達して配信が停止すること(以下、予算切れ。管理画面の表記は「予算超過」)が起きた日(以下、予算切れの日)が、12か月間で114日あります。このキャンペーンのACOS(広告費売上高比率)は23.7%で、販売価格から原価・Amazonの販売手数料・配送費などを差し引いた利益率に基づく損益分岐ACOS(35%と仮定)を下回っています。ただし、予算切れの日数だけでは配信が停止した時刻を把握できないため、日予算の増額幅を判断できません。

そこでこの記事では、Amazon Adsの公式ヘルプとガイドに基づき、予算の仕組みと管理画面の「予算超過」の意味、予算レポートによる配信が停止した時刻の算出方法、日予算の増額と入札額の引き下げのどちらを選ぶかの判断基準、増額幅の目安、入札額を引き下げる場合の確認事項の5点を整理します。

この記事の対象読者は、Amazonに自社ブランドの商品を出品し、スポンサープロダクト広告のキャンペーンの予算と入札額を管理している担当者です。

Amazon広告アカウント診断で、予算切れの日と掲載枠ごとのACOSを確認しているTAMKOの立場から解説します。

【結論】Amazon広告の予算切れへの対応は、ACOSと損益分岐ACOSの差で日予算の増額か入札額の引き下げかを決め、増額幅は配信が停止した時刻から見積もる

予算切れのキャンペーンのACOSが損益分岐ACOSを下回る場合は、日予算の増額を検討します。そのうち予算切れが特定の曜日や期間に集中している場合は、予算ルールでその曜日や期間に限って予算を増額します。必要な増額を賄えない場合は、ほかのキャンペーンでACOSが損益分岐ACOSを上回る配信を停止して増額の原資に充て、不足分は、このキャンペーンでACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワードと商品ターゲティングの入札額の引き下げで補います。ACOSが損益分岐ACOS以上の場合は、日予算を増額せず、ACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワードと商品ターゲティングの入札額を引き下げます。増額幅は、日次の予算レポートの「予算内に収まっていた時間の平均」から算出した、配信が停止した時刻を基に見積もります。

Amazon広告で予算切れが起きたスポンサープロダクト広告のキャンペーンへの対応を決める手順を、配信停止の原因となった上限の特定、日次の予算レポートによる配信が停止した時刻の算出、ACOSと損益分岐ACOSの比較、日予算の増額・予算ルールの設定・入札額の引き下げからの選択、変更後4週間の結果の確認の5つの手順で示した図
予算切れへの対応は、日予算の増額に限らない。ACOSと損益分岐ACOSの差で対応を選び、配信が停止した時刻から増額幅を見積もる。

損益分岐ACOSの算出方法は「Amazon広告のTACOSとは?損益分岐ACOSでキャンペーンを種類ごとに仕分ける方法」で解説しています。キーワードの入札額の上限は「Amazon広告の推奨入札額で入札してよいか?損益分岐クリック単価を算出して比較する」、入札戦略の選び方は「Amazon広告の入札戦略はどれを選ぶ?掲載枠の実績と切り替え前後の比較で決める方法」、新商品の広告費の上限は「Amazon広告で新商品に投じる広告費の上限は?レビューと注文が少ない時期の判断方法」で扱っています。この記事では、配信が停止した時刻の確認と、日予算の増額か入札額の引き下げかの判断に絞って説明します。

Amazon広告の予算の仕組み:日予算は1か月の平均の上限で、広告費がその日の予算に到達すると翌日の午前0時まで配信が停止する

よくある場面

一般語のキャンペーンのステータスが「予算超過」と表示されているが、日予算を超えて請求されたのか、配信が停止したのかを判断できない。

管理画面の「予算超過」は、キャンペーンの広告費がその日の予算に到達し、予算がリセットされる午前0時まで広告が表示されない状態を指します。日予算は1か月の平均の上限です。トラフィックの多い日には予算が最大100%まで自動で増額されるため、1日の広告費が日予算を上回る日もありますが、1か月の広告費は日予算×その月の日数を超えません。

Amazon広告で配信停止の原因となる予算の上限を、スポンサープロダクト広告の1日の予算上限、ポートフォリオの予算上限、キャンペーンの日予算の3種類に分けて示した図
配信が停止する原因は、キャンペーンの日予算とは限らない。ポートフォリオの予算上限やスポンサープロダクト広告の1日の予算上限に到達した場合は、該当する上限を調整しない限り配信は再開しない。

公式ヘルプ「スポンサー広告の予算について」によると、予算はキャンペーン期間に均等に配分されず、可能な限り早く消化されます。日予算は、カレンダー月における1日あたりの支出可能な上限金額の平均です。トラフィックの少ない日の未使用分を充当し、トラフィックの多い日の予算は最大100%増額されます(増額の上限は、キャンペーン設定で25%に変更できます)。1か月の広告費の合計は、日予算×その月の日数を超えません。

診断サンプルのK社の例では、一般語のキャンペーンの日予算は6,900円のため、30日の月の広告費の上限は207,000円です。1日の広告費が6,900円を上回る日があっても、日予算の設定の誤りとは限りません。

配信が停止する原因が、キャンペーンの日予算ではない場合もあります。公式ヘルプ「予算を編集する」によると、出品者は、アカウント単位でスポンサープロダクト広告の1日の予算上限を設定できます。また、ポートフォリオにも予算上限を設定できます。予算の通知を受け取った場合は、どの予算が上限に達したかを確認します。ポートフォリオの予算上限、またはスポンサープロダクト広告の1日の予算上限に達した場合は、該当する上限を調整しない限り、キャンペーンの配信は再開しません。

また、自社ブランド名を含む指名のキーワードと一般語のキーワードを同じキャンペーンで配信している場合は、一般語のクリックによる広告費で日予算に到達した後、指名の検索語句にも広告が表示されなくなります。キャンペーンの分け方は「Amazon広告のキャンペーン構成:指名・一般語・競合の商品ページを分けるか否かの判断」で解説しています。

配信が停止した時刻の確認方法:日次の予算レポートの「予算内に収まっていた時間の平均」から算出する

よくある場面

一般語のキャンペーンの予算切れの日数は把握しているが、各日に配信が停止した時刻は確認できていない。

スポンサープロダクト広告の予算レポートを日次で出力し、日ごとの「予算内に収まっていた時間の平均」に24時間を掛けると、配信が停止したおおよその時刻を算出できます。例えば、この値が75%の日は、18時ごろに配信が停止したと推定できます。

Amazon広告の診断サンプル(架空の会社K社)の一般語のキャンペーンについて、予算切れの114日を、予算レポートから算出した配信が停止した時刻別に、12時より前・12時〜15時・15時〜18時・18時〜21時・21時以降の5区分に分けた横棒グラフ
K社の例で予算切れの114日を、配信が停止した時刻別に集計すると、18時より前の停止が51日を占める。114日は診断サンプルの値、時刻ごとの日数は説明用の架空の数字。

公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告の予算レポート」によると、予算レポートには、予算内に収まっていた時間の平均、逃したインプレッション数・クリック数・売上の推定値、推奨予算が表示されます。出力する時間単位は、概要(期間全体)・日次・週次・月次・四半期から選択でき、遡って出力できる期間(ルックバックウィンドウ)は2年です。「予算内に収まっていた時間の平均」は、選択した期間全体で、キャンペーンが予算の範囲内で配信されていた時間の割合です。公式ヘルプ「キャンペーンを最適化する」によると、この値が100%の場合、キャンペーンは終日、予算切れにならずに配信されています。

予算切れになったキャンペーンは、翌日の午前0時まで配信されません。そのため、日次で出力した予算レポートの各行の「予算内に収まっていた時間の平均」に24時間を掛けた値が、その日に配信が停止した時刻の目安になります。ただし、その日に日予算を変更した場合や、キャンペーンを一時停止した時間がある場合は、この計算は当てはまりません。

この章のグラフは、診断サンプルのK社の予算切れの114日について、配信が停止した時刻を算出し、時刻ごとの日数にまとめたものです(時刻ごとの日数は説明用の架空の数字)。予算切れの日の「予算内に収まっていた時間の平均」は75%(説明用の数字)で、配信が停止した時刻の平均は18時ごろです。18時より前に配信が停止した日は51日で、これらの日は1日の4分の1以上(6時間以上)、配信できていません。

配信が停止した時刻とあわせて、予算切れの日について、曜日と大型セールの期間との重なりを確認します。公式ガイド「スポンサープロダクト広告の予算の基本とベストプラクティス」は、週末など定期的に同じ時期に予算切れになっている場合は、予算ルールで該当する期間の予算を引き上げるよう推奨しています。K社の例では、予算切れの114日のうち平日が82日、土曜日・日曜日が32日です。12か月間の平日261日・土曜日と日曜日104日に対する予算切れの日の割合は、平日が約31%(82日÷261日)、土曜日・日曜日も約31%(32日÷104日)で、特定の曜日への集中は見られません。大型セールの前と開催期間に含まれる予算切れの日は9日で、残りの105日は通常の期間です(日数はいずれも説明用の架空の数字)。

予算レポートの「逃した売上の推定値」は、予算切れになっていない類似のキャンペーンを基準に機械学習で推定した逃したクリック数と、過去の売上などから算出される値です。公式ガイドでは、逃したインプレッション数・クリック数・売上の推定値は参照用であり、保証ではないとされています。推奨予算も、同じ逃したクリックの推定値に基づいて算出されます。この記事ではこれらの推定値を判断の参考にとどめ、増額幅は「日予算の増額幅の目安」の章の方法で算出します。

日予算の増額か入札額の引き下げか:ACOSと損益分岐ACOSの差、予算切れの日の曜日・期間の偏り、増額できる金額で決める

よくある場面

予算切れの防止策として一般語のキャンペーンのキーワードの入札額を一律に引き下げた後、検索結果の最上部の売上が減少している。

予算切れのキャンペーンのACOSが損益分岐ACOSを下回る場合は、予算切れの後の時間帯の配信も利益を生む可能性があるため、入札額を一律に引き下げず、日予算の増額を先に検討します。そのうち予算切れが特定の曜日や期間に集中しているときは、予算ルールを使います。必要な増額を賄えないときは、ほかのキャンペーンでACOSが損益分岐ACOSを上回る配信を停止して増額の原資を確保し、不足分は、このキャンペーンでACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワードと商品ターゲティングの入札額の引き下げで補います。ACOSが損益分岐ACOS以上の場合は、日予算を増額せず、ACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワードと商品ターゲティングの入札額を引き下げます。

Amazon広告の予算切れへの対応を、ACOSと損益分岐ACOSの比較、予算切れの日の曜日・期間の偏り、必要な増額を賄えるか否かから、日予算の増額・予算ルールの設定・入札額の引き下げのいずれかに決める流れを示した図
ACOSが損益分岐ACOSを下回るキャンペーンで入札額を一律に引き下げると、ACOSの低い掲載枠の配信も減る可能性がある。ACOS 23.7%は診断サンプル(架空の会社K社)の例。

日予算の増額分の広告費は、予算切れの後の時間帯のクリックに充てられます。その時間帯の購入率・クリック単価・注文1件あたりの売上が予算切れの前と変わらなければ、増加分のACOS(広告費の増加額÷売上の増加額)はキャンペーンのACOSと同じ水準になり、そのACOSが損益分岐ACOSを下回る限り利益は増加します。一方、ACOSが損益分岐ACOS以上のキャンペーンで日予算を増額すると、ACOSが損益分岐ACOSを上回る配信が拡大します。

公式ガイド「スポンサープロダクト広告の予算の基本とベストプラクティス」は、予算を使い切ってもコンバージョンが発生している場合の対応策として予算の増額や再配分を、発生していない場合の対応策として入札・ターゲティング・商品詳細ページの最適化を挙げています。この記事では、コンバージョンの有無に代えて、ACOSと損益分岐ACOSの比較で対応を判断します。

診断サンプルのK社の例では、一般語のキャンペーンのACOSは23.7%で、損益分岐ACOS 35%を11.3ポイント下回ります。広告枠レポート(掲載枠ごとの実績を出力するレポート)で掲載枠別のACOSを確認すると、検索結果の最上部(最初のページ)が16.5%、その他の検索結果が29.9%、商品ページが36.2%です。キーワードの入札額を一律に引き下げると、ACOSが最も低い検索結果の最上部で落札できる回数も減る可能性があります。前章のとおり予算切れの日は特定の曜日にも大型セールの期間にも集中しておらず、必要な増額は停止する配信の費用で賄えるため(次章)、K社の例では日予算の増額を選びます。

配信が停止した時刻は、必要な増額幅の目安になります。1時間あたりの広告費が終日一定の場合、「予算内に収まっていた時間の平均」が90%の日(21時36分前後に停止)は、終日配信するために必要な広告費は日予算の約1.1倍ですが、50%の日(12時前後に停止)は約2倍です。必要な増額幅が大きいほど、予算切れの後の時間帯の購入率がそれ以前と異なった場合の影響も大きくなるため、日予算は段階的に引き上げます。

必要な増額を賄えない場合は、ほかのキャンペーンのうちACOSが損益分岐ACOSを上回っている配信を停止し、その費用を増額の原資に充てます。公式ガイドは、予算を使い切っていないほかのキャンペーンから予算の一部を再配分する方法を挙げています。原資が不足する場合は、このキャンペーンでACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワードと商品ターゲティングの入札額を引き下げ、同じ日予算で配信できる時間を延ばします(引き下げの方法は「入札額を引き下げる場合」の章で扱います)。

日予算の増額幅の目安:現在の日予算÷予算切れの日の「予算内に収まっていた時間の平均」で算出し、変更後4週間の結果で確認する

よくある場面

一般語のキャンペーンの日予算の増額を検討しているが、増額幅と、増額分の広告費が利益につながるかを判断できない。

終日配信するための日予算の目安は、現在の日予算÷予算切れの日の「予算内に収まっていた時間の平均」です。増加分のACOSをキャンペーンのACOSと同じと仮定して売上と利益の増加を試算し、増加分のACOSが損益分岐ACOSを下回れば利益は増加すると判断します。変更後4週間の「予算内に収まっていた時間の平均」と増加分のACOSで、結果を確認します。

Amazon広告で終日配信するための日予算の目安を、現在の日予算÷予算切れの日の「予算内に収まっていた時間の平均」で算出する式と、6,900円・75%で9,200円となる例を示した図
1時間あたりの広告費が終日一定で、予算切れの日の広告費が日予算と同じ(予算の自動の増額がない)と仮定した目安。日予算6,900円は診断サンプル(架空の会社K社)の値、75%は説明用の数字。

この目安は、1時間あたりの広告費が終日一定で、予算切れの日の広告費が日予算と同じ(予算の自動の増額がない)と仮定した値です。トラフィックの多い日に予算が自動で増額された日は、日予算の代わりに、その日の広告費(予算レポートのコスト)を使います。実際には時間帯によって検索数やクリック単価が異なるため、キャンペーンマネージャーの推奨予算もあわせて確認します。公式ガイド「スポンサープロダクト広告の予算の基本とベストプラクティス」によると、推奨予算は、機械学習モデルで推定した逃したクリック数に、キャンペーンの過去のクリック単価などを基にした想定クリック単価を掛けて算出されます。

診断サンプルのK社の例で日予算を9,200円に増額した場合、予算切れの114日に1日あたり2,300円(9,200円−6,900円)の広告費が増加し、年間の増加額は262,200円です(予算切れでない日の広告費は変わらないものとした説明用の試算)。増加分のACOSがキャンペーン全体と同じ23.7%であれば、売上は約110.6万円、利益は約12.5万円増加します(約110.6万円×広告費を差し引く前の利益率35%−262,200円。この記事では、損益分岐ACOSをこの利益率と同じ35%と仮定しています)。増加分のACOSが損益分岐ACOSの35%に達すると、利益は増加しません。

診断サンプルのK社の例では、注文0件の検索語句4語(年150,000円)と、素材の異なる競合の商品ページ2件の指定(年433,000円)、合計年583,000円の配信を停止し、その費用を検索結果の最上部の入札額の調整と日予算に充てる案を示しています。日予算の増額による広告費の増加(年262,200円)を差し引いても、検索結果の最上部の入札額の調整に年320,800円を充てられます。

日予算は、目安の金額まで一度に引き上げず、段階的に増額します(例:6,900円から8,000円、その後9,200円。説明用の架空の設定)。日予算を増額すると、月の広告費の上限も上がります。日予算が9,200円の場合、30日の月の広告費の上限は276,000円です(増額前は207,000円)。公式ヘルプ「予算を編集する」によると、月の途中で日予算を変更した場合、その月の広告費は、変更時点までの支出に、新しい日予算×その月の残りの日数を加えた額を超えません。

変更後4週間の「予算内に収まっていた時間の平均」と予算切れの日数を、変更前の同じ長さの期間と比較し、増加分のACOSを算出します。増加分のACOSの考え方は「Amazon広告の掲載枠とは?入札額の引き上げ率を掲載枠ごとのACOSと注文数で決める方法」で解説しています。入札戦略、または掲載枠ごとの入札額の調整(引き上げ率)と同時に日予算を変更すると、どの変更の効果かを区別できないため、1つの変更の結果を確認してから、次の変更を行います。季節による需要の変化を考慮して変更前後を比較する方法は「Amazon広告の入札戦略はどれを選ぶ?掲載枠の実績と切り替え前後の比較で決める方法」で扱っています。

公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」によると、出品者のスポンサープロダクト広告の売上にはクリックから7日以内の購入が計上され、この7日の計上期間が終わるまで指標は確定しません。また、公式ヘルプ「キャンペーン支出を理解する」によると、広告費はトラフィックの検証により、クリックから最大72時間変動する場合があります。そのため、変更後4週間の結果は、その期間が終了してから7日後に確認します。

入札額を引き下げる場合:ACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワードと商品ターゲティングを対象とし、掲載枠ごとの売上の変化を確認する

よくある場面

ACOSが損益分岐ACOS以上のキャンペーンで予算切れが続いているが、入札額を引き下げるキーワードと引き下げ後の金額を判断できない。

ターゲティングレポートでキーワードと商品ターゲティングごとのACOSを確認し、入札額は一律ではなく、ACOSが損益分岐ACOSを上回る対象から順に引き下げます。引き下げ後の入札額の目安は、1クリックあたりの売上に損益分岐ACOSを掛けた損益分岐クリック単価です。引き下げた後は、広告枠レポートで掲載枠ごとの広告費と売上の推移を確認し、ACOSの低い掲載枠で売上が減少していないかを点検します。

Amazon広告の予算切れへの対応として、入札額を一律に引き下げる方法と、ACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワード・商品ターゲティングに絞って引き下げる方法を比較した図
配信が停止する時刻を遅らせることではなく、ACOSが損益分岐ACOSを上回る配信を減らすことを目的に、入札額を引き下げる対象を選ぶ。

公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告のターゲティングレポート」によると、ターゲティングレポートでは、キーワードと商品ターゲティングごとの売上と成果の指標を、概要または日次で出力できます(遡って出力できる期間は90日)。この章の方法は、ACOSが損益分岐ACOS以上のキャンペーンのほか、ACOSが損益分岐ACOSを下回るキャンペーンで増額の原資が不足する場合にも使います。注文数が少ないキーワードのACOSは、偶然の影響で大きく変動します。注文数による変動の幅の考え方は、掲載枠ごとのACOSを例に「Amazon広告の掲載枠とは?入札額の引き上げ率を掲載枠ごとのACOSと注文数で決める方法」で解説しています。

注文0件の検索語句は、入札額を引き下げても配信が続くため、除外キーワードに追加して配信を停止します。損益分岐クリック単価の算出方法と、動的な入札や掲載枠ごとの入札額の調整による引き上げ後の最大額との比較方法は「Amazon広告の推奨入札額で入札してよいか?損益分岐クリック単価を算出して比較する」で解説しています。

入札額を引き下げた後も1日の広告費が日予算に到達する場合は、1クリックあたりの支払額が減った分、同じ日予算で獲得できるクリック数が増え、配信が停止する時刻は遅くなります。ただし、配信時間の延長が利益の増加につながるのは、引き下げたキーワードのACOSが損益分岐ACOSを下回る水準になった場合です。

公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告の入札戦略」は、「動的な入札 - ダウンのみ」が適する場合の1つとして、予算に余裕がない場合(ヘルプの表記は「厳しい予算」)を挙げています。入札戦略の選び方は「Amazon広告の入札戦略はどれを選ぶ?掲載枠の実績と切り替え前後の比較で決める方法」で解説しています。キーワードの入札額の引き下げと入札戦略の変更も、同時に行うと効果を区別できないため、順に実施し、それぞれの結果を確認します。

入札額を引き下げると、掲載枠ごとの配信の割合が変わる可能性があります。引き下げの前後4週間で、広告枠レポートの掲載枠別の広告費と売上を比較します。診断サンプルのK社の一般語のキャンペーンで、仮に入札額を一律に引き下げた場合は、ACOSが最も低い検索結果の最上部(16.5%)の売上が減少し、キャンペーン全体のACOSが上昇する可能性があります。確認が遅れた場合や、比較する期間を延ばす場合に備えて、変更前の期間のレポートは変更する日に保存します。

TAMKOのAmazon広告アカウント診断で確認すること

この記事で扱った予算切れの日と、掲載枠ごとのACOSは、TAMKOのAmazon広告アカウント診断で確認している項目です。

TAMKOのAmazon広告アカウント診断で確認する項目のうち、費用と売上がずれやすい場所の「在庫と日予算」と、「掲載枠(検索結果の最上部・商品ページなど)ごとのACOSと入札額の調整」の2つを示した図
診断ページに記載している、費用と売上がずれやすい場所と確認項目のうち、この記事に関わる2つ(文言は同ページの記載のまま)。

診断ページのK社の例では、「一般語のキャンペーンが日予算に届き、配信が停止した日」を年114日と示し、「やめた分の費用を検索結果の最上部の入札額の調整と日予算に回す手順と、在庫の補充の時期の目安をお渡しします。」と記載しています。診断では、改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添えます。料金は、診断・報告書・説明会まで無料(毎月2社まで)です。

詳しくは、診断ページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q01予算ルールとは何ですか?日予算の増額とはどのように使い分けますか?

予算ルールは、日予算を変更せずに、特定の期間中、またはROASなどの成果指標が基準値以上の場合に、予算を自動で増額する機能です。ACOSが損益分岐ACOSを下回るキャンペーンで、予算切れが特定の曜日や大型セールの期間に集中している場合は予算ルールを、集中していない場合は日予算の増額を検討します。

公式ヘルプ「スポンサー広告の予算ルールの理解」によると、スケジュールに基づくルールは、特別なイベントやカスタム期間に予算を指定した割合だけ増額する機能で、増額を特定の時間帯に限定することもできます。パフォーマンスに基づくルールは、ROASなどの指標が指定した値以上のときに予算を増額します。有効な予算ルールは毎日評価され、その結果に基づいて翌日の予算が決まります。複数のルールが条件を満たした場合は、増額が累積して適用されます。

Q02日予算を変更すると、当日の配信にはいつ反映されますか?

公式ヘルプ「予算を編集する」では、日予算の変更内容は即時に反映されると説明されています。一方、公式ヘルプ「広告ステータスに関するトラブルシューティング」は、予算超過のキャンペーンの予算を変更した後、変更が有効になり、ステータスが「配信中」に更新されるまで、通常1〜2時間待つよう求めています。

公式ヘルプ「予算を編集する」によると、同じ日に日予算を複数回変更した場合、当日はそのうちの最高額が適用され、翌日以降は最後に設定した額が適用されます。公式ヘルプ「広告ステータスに関するトラブルシューティング」は、同じ日に頻繁に予算を変更しないよう求めています。

Q03日予算を増額しても配信が再開されない場合は、何を確認しますか?

キャンペーンが属するポートフォリオの予算上限と、スポンサープロダクト広告の1日の予算上限を確認します。

公式ヘルプ「ポートフォリオの予算」によると、ポートフォリオの予算上限に達すると、ポートフォリオ内のすべてのキャンペーンの配信が停止します。公式ヘルプ「広告ステータスに関するトラブルシューティング」は、この場合の対応として、ポートフォリオの予算上限を増やすか、キャンペーンをポートフォリオから削除する方法を挙げています。アカウント単位で設定するスポンサープロダクト広告の1日の予算上限は、すべてのスポンサープロダクト広告キャンペーンの1日の支出合計に適用されます。

Q04新商品のキャンペーンでも、同じ方法で日予算を決めてよいですか?

この記事の判断基準は、そのまま適用できません。新商品のキャンペーンは、レビューと注文が少ない時期にACOSが損益分岐ACOSを上回りやすいため、「ACOSが損益分岐ACOS以上の場合は増額せず、入札額を引き下げる」という基準を適用すると、立ち上げ期に必要な配信まで減少する可能性があります。

新商品に投じる広告費の上限と期間の決め方は「Amazon広告で新商品に投じる広告費の上限は?レビューと注文が少ない時期の判断方法」で解説しています。

Amazon広告の予算切れへの対応は、ACOSと損益分岐ACOSの差、予算切れの日の曜日・期間の偏りで決め、増額幅は配信が停止した時刻から見積もる|まとめ

管理画面の「予算超過」は、キャンペーンの広告費がその日の予算に到達し、翌日の午前0時まで配信が停止した状態です。日次の予算レポートの「予算内に収まっていた時間の平均」に24時間を掛けると、配信が停止したおおよその時刻を算出できます。予算切れのキャンペーンのACOSが損益分岐ACOSを下回る場合は、入札額を一律に引き下げず、予算切れが特定の曜日や期間に集中するときは予算ルールを使い、集中しないときは現在の日予算÷予算切れの日の「予算内に収まっていた時間の平均」を目安に、日予算を段階的に増額します。必要な増額を賄えないときは、ほかのキャンペーンでACOSが損益分岐ACOSを上回る配信を停止して、増額の原資に充てます。キャンペーンのACOSが損益分岐ACOS以上の場合は、ACOSが損益分岐ACOSを上回るキーワードと商品ターゲティングを対象に入札額を引き下げ、掲載枠ごとの売上の推移を確認します。

この記事のポイント

  • 管理画面の「予算超過」は、日予算を超えた支出ではなく、広告費がその日の予算に到達して翌日の午前0時まで配信が停止した状態を指す。日予算は1か月の平均の上限で、トラフィックの多い日は最大100%まで増額される。
  • 配信が停止する原因には、キャンペーンの日予算のほか、ポートフォリオの予算上限と、スポンサープロダクト広告の1日の予算上限がある。
  • 日次の予算レポートの「予算内に収まっていた時間の平均」×24時間が、配信が停止した時刻の目安になる(当日に日予算の変更やキャンペーンの一時停止がない場合)。
  • ACOSが損益分岐ACOSを下回るキャンペーンは日予算を増額し(予算切れが特定の曜日や期間に集中するときは予算ルールを設定し、必要な増額を賄えないときは、ほかのキャンペーンでACOSが損益分岐ACOSを上回る配信を停止して原資に充てる)、損益分岐ACOS以上のキャンペーンは、ACOSが損益分岐ACOSを上回る対象の入札額を引き下げる。
  • 終日配信するための日予算の目安は、現在の日予算÷予算切れの日の「予算内に収まっていた時間の平均」。日予算は段階的に増額し、変更後4週間の「予算内に収まっていた時間の平均」と増加分のACOSで結果を確認する。