Amazonのスポンサーブランド広告のACOSは、評価期間や売上の範囲などをそろえ、在庫切れの日を除いてからスポンサープロダクト広告と比較し、計上期間の違いの影響は2つのACOSの大小関係で判断して、ブランド新規顧客による売上の割合とあわせて評価する
Amazon広告で、スポンサーブランド広告とスポンサープロダクト広告のACOS(広告費売上高比率。広告費÷広告経由の売上)を比較して、予算の配分先を決めようとしたことはありませんか。
診断サンプルのK社(キッチン用品メーカー、自社ブランド「ケイライフ」。いずれも架空)の12か月の実績では、自社ブランド名を含まないキーワード(以下、一般語)を対象とするキャンペーンのACOSは、スポンサーブランド広告が23.6%、スポンサープロダクト広告が23.7%で、差は0.1ポイントでした。ただし、2つの広告は売上の計上期間と計上する商品の範囲が異なるため、ACOSの差が小さくても、2つの広告の効率が同等であるとは言えません。
そこでこの記事では、2つの広告の売上の計上条件の違いをAmazon Adsの公式ヘルプで確認します。そのうえで、比較の前に行う4つの処理を示し、ブランド新規顧客の指標(スポンサープロダクト広告では確認できない指標)を加えて評価する手順を整理します。
対象読者は、Amazonに自社ブランドの商品を出品し、スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告を運用している担当者です。
TAMKOは、Amazon広告のアカウント診断で、スポンサーブランド広告を含む広告の種類ごとのACOSを確認しています。以下では、その診断の手順にもとづいて、比較と評価の方法を解説します。
【結論】スポンサーブランド広告のACOSは、4つの処理を行ってからスポンサープロダクト広告と比較し、ブランド新規顧客の指標とあわせて評価する
管理画面のACOSは、売上の計上期間が長く、計上する商品の範囲も広いスポンサーブランド広告のほうが低く算出されやすいため、そのままでは比較できません。評価期間の設定・在庫切れの日の除外・クリックによる売上の使用・売上の範囲の統一の4つの処理を行ってから比較します。そろえられない違い(計上期間と他の出品者による販売)の影響は、2つのACOSの大小関係で判断します。そのうえで、ブランド新規顧客による売上の割合を加えて、スポンサーブランド広告を評価します。

損益分岐ACOSは、販売価格から原価・Amazonの販売手数料・配送費などを差し引いた後の利益率をもとに算出します。算出方法は「Amazon広告のTACOSとは?損益分岐ACOSでキャンペーンを種類ごとに仕分ける方法」で解説しています。この記事では、K社について手数料などを差し引いた後の利益率を35%と仮定し、損益分岐ACOSも35%とします(診断サンプルの仮定の値です)。
なお、ディスプレイ広告(旧スポンサーディスプレイ広告)も、売上の計上期間(ルックバックウィンドウ)はスポンサーブランド広告と同じ14日間です。ディスプレイ広告の評価は「Amazonのディスプレイ広告(旧スポンサーディスプレイ広告)の継続を判断する指標」で扱っており、ここでは、スポンサーブランド広告をスポンサープロダクト広告と比較する場合に限定して解説します。
スポンサーブランド広告とは:スポンサープロダクト広告との違いと、キャンペーンの目標・課金方式
スポンサーブランド広告の中に、目標を「ブランドインプレッションシェアの拡大」とするキャンペーンが含まれている。
スポンサーブランド広告は、ブランドのロゴ・見出しと複数の商品や動画を組み合わせて、Amazonの商品検索結果ページなどに表示する広告です。利用にはAmazonブランド登録が必要です。課金方式は3つあり、目標が「ブランドインプレッションシェアの拡大」のキャンペーンでは、vCPM(1,000件当たりのビューアブルインプレッション単価)で入札します。

公式ガイド「スポンサーブランド広告完全ガイド」によると、スポンサーブランド広告は、ブランドロゴ・見出し・動画・ライフスタイルイメージ・複数の商品を掲載する広告です。表示される場所は、トップページ、商品詳細ページ、商品検索結果ページ(上部と検索結果の中)です。広告フォーマットは、複数の商品を紹介するコレクション、ブランドストアへの訪問を促すストアスポットライト、動画の3つです。公式ヘルプ「スポンサーブランド広告の利用資格要件」では、出品者はAmazonブランド登録による登録済みブランドの所有者であることが必要とされています。スポンサープロダクト広告は、大口出品者やベンダーなどが利用できます(公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告利用資格要件」)。
公式ヘルプ「スポンサーブランド広告を理解する」によると、キャンペーンの目標は「ページ訪問数の促進」「ブランドインプレッションシェアの拡大」「シェア・オブ・ボイスの確保」の3つです。課金方式は、クリック課金制(CPC)、vCPM、前払い制の固定課金体系の3つから選択できます。公式ヘルプ「入札を理解する」では、キャンペーンの目標が「ページ訪問数の促進」の場合はCPC、「ブランドインプレッションシェアの拡大」の場合はvCPMで入札するとされています。スポンサープロダクト広告では、CPCで入札します。
2つの広告は、おすすめ出品との関係も異なります。公式ヘルプ「おすすめ出品の利用資格について」では、広告に掲載した商品の自社の出品がおすすめ出品に選定されていない場合、スポンサープロダクト広告はキャンペーンのステータスにかかわらずインプレッションが「0」になるとされています。スポンサーブランド広告(動画を含む)はこの影響を受けず、広告に掲載した商品がAmazonで購入可能であれば、別の出品者の出品がおすすめ出品に選定されている場合でも配信が続きます。
スポンサーブランド広告の売上の計上条件:ルックバックウィンドウ(14日間と7日間)・ブランドハロー効果・他の出品者による販売・閲覧による購入
スポンサーブランド広告とスポンサープロダクト広告のACOSがほぼ同じで、予算の配分先を決められない。
公式ヘルプによると、出品者のスポンサープロダクト広告では、広告のクリックから7日間に発生した購入のうち、広告に掲載した商品と、同じ出品者が販売するその他の商品の購入額が売上に計上されます。スポンサーブランド広告では、広告のクリック(vCPMのキャンペーンでは閲覧を含む)から14日間に発生した購入のうち、ランディングページの商品と、同じブランドの他の商品の購入額が計上されます。計上する購入には、Amazonや他の出品者による販売が含まれる場合もあります。計上条件が異なるため、ACOSが同じでも効率が同じとは言えません。
| 項目 | スポンサープロダクト広告(出品者) | スポンサーブランド広告 |
|---|---|---|
| ルックバックウィンドウ(売上の計上期間) | 7日間 | 14日間 |
| 計上する商品 | 広告に掲載した商品と、同じ出品者が販売するその他の商品 | ランディングページの商品と、同じブランドの他の商品(ブランドハロー効果)。Amazonや他の出品者による新品・中古品の販売を含む場合がある |
| 計上する広告インタラクション | クリックのみ | CPCのキャンペーンはクリック、vCPMのキャンペーンはクリックと閲覧 |
| ブランド新規顧客の指標 | 利用できない | 利用できる |

診断サンプルのK社の12か月の実績では、一般語を対象とするキャンペーンの広告費と売上は、スポンサーブランド広告が765,344円と3,244,704円(ACOS 23.6%)、スポンサープロダクト広告が2,080,018円と8,769,024円(ACOS 23.7%)でした。2つのACOSは計上条件の異なる売上をもとに算出されているため、0.1ポイントの差では、どちらの広告に予算を配分すべきかを判断できません。
計上期間の違いは、統合レポートの指標名には表れません。公式ヘルプ「統合レポートについて」によると、以前のレポートでは「7日間の売上合計」「14日間の売上合計」のように指標名に期間が含まれていましたが、統合レポートではこの表記が削除されています。適用される期間は、スポンサープロダクト広告が出品者で7日間・ベンダーで14日間、スポンサーブランド広告を含むその他の広告が標準で14日間です。同じ「売上」の列でも、広告の種類によって計上期間が異なります。
自社ブランドの商品を他の出品者も販売している場合は、スポンサーブランド広告の売上に、他の出品者による販売額が含まれる可能性があります。管理画面の売上は、セラーセントラルの注文データと照合してください。
比較の前に行う4つの処理と、そろえられない2つの違いの扱い
スポンサーブランド広告の売上に、広告に掲載していない商品の購入額が多く含まれている。
評価期間の終了日は確認日の14日以上前に設定し、在庫切れなどでスポンサープロダクト広告が配信されなかった日は評価期間から除きます。vCPMのキャンペーンについてはクリックによる売上を用い、2つの広告ともACOSを売上(プロモーション)で算出し直します。そろえられない計上期間と他の出品者による販売の違いは、いずれもスポンサーブランド広告のACOSを低くする要因であるため、その影響は2つのACOSの大小関係で判断します。

評価期間の設定:終了日を確認日の14日以上前にする
公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」によると、キャンペーンレポートの売上は、購入日ではなく広告のクリックなどが発生した日付で計上され、各日の指標はルックバックウィンドウが終わるまで確定しません。スポンサーブランド広告では直近14日分(スポンサープロダクト広告では直近7日分)の売上に、後から購入額が加算されます。2つの広告を比較する評価期間は同じ期間とし、終了日を確認日の14日以上前に設定します。
在庫切れの日の除外:スポンサープロダクト広告だけが配信されない日を評価期間から除く
「スポンサーブランド広告とは」の章で示したとおり、自社の出品がおすすめ出品に選定されていない日には、スポンサープロダクト広告が配信されない一方、スポンサーブランド広告は商品がAmazonで購入可能であれば配信されます。このため、在庫切れなどの日は、2つの広告の配信条件が異なります。K社の例では、ステンレス保存容器 5点セットが12か月のうち20日間(12月19日〜12月30日、3月24日〜3月31日)在庫切れでした(診断サンプルの値)。同商品を掲載する広告を比較する場合は、この20日間を評価期間から除きます。
クリックによる売上の使用:vCPMのキャンペーンでは、閲覧による購入を除く
目標が「ブランドインプレッションシェアの拡大」のキャンペーン(vCPM)では、売上やROAS(広告経由の売上÷広告費)などの標準の指標に、広告を閲覧した人の購入額も含まれます。スポンサープロダクト広告と比較する場合は、統合レポートの「クリックによる売上」など、クリックだけを集計した指標を用います。目標が「ページ訪問数の促進」のキャンペーン(CPC)では閲覧による購入が計上されないため、統合レポートの該当する列は「0」と表示されます。
売上の範囲の統一:売上(プロモーション)でACOSを算出し直す
統合レポートでは、売上を、広告に掲載した商品の「売上(プロモーション)」と、それ以外の関連性の高い商品の「売上(Halo)」に分けて出力できます。売上(Halo)に含まれるのは、スポンサーブランド広告では同じブランドの他の商品の購入額、出品者のスポンサープロダクト広告では同じ出品者が販売するその他の商品の購入額であり、範囲が異なります。2つの広告ともACOSを売上(プロモーション)で算出すると、売上の範囲が、広告に掲載した商品の購入額にそろいます。vCPMのキャンペーンでは、「クリックによる売上(プロモーション)」を用いると、クリックによる売上の使用と売上の範囲の統一を同時に行えます。
購入された商品は、統合レポートのテンプレート「コンバージョンにつながった商品」で確認できます。従来のダウンロード可能なレポート(スポンサー広告レポート)では、スポンサーブランド広告は「広告経由の購入」、スポンサープロダクト広告は「広告対象商品」と「購入商品」(出品者のみ)で確認できます。ただし、公式ヘルプ「統合レポートについて」には、スポンサー広告レポートは2026年12月31日までに廃止される旨が記載されているため、それ以降は統合レポートで確認します。
説明用の架空の数字として、K社のスポンサーブランド広告の売上3,244,704円の内訳を、売上(プロモーション)2,600,000円、売上(Halo)644,704円(約20%)とします。同様に、スポンサープロダクト広告の売上8,769,024円の内訳を、売上(プロモーション)8,000,000円、売上(Halo)769,024円(約9%)とします。売上(プロモーション)で算出したACOSは、スポンサーブランド広告が29.4%(765,344円÷2,600,000円)、スポンサープロダクト広告が26.0%(2,080,018円÷8,000,000円)です。管理画面のACOSはスポンサーブランド広告のほうが0.1ポイント低いのに対し、売上(プロモーション)で算出したACOSはスポンサーブランド広告のほうが3.4ポイント高く、2つのACOSの大小関係は逆になります。いずれも損益分岐ACOSの35%を下回っています。
そろえられない2つの違い:計上期間と他の出品者による販売の影響は、2つのACOSの大小関係で判断する
14日間と7日間という計上期間の差は、前述の4つの処理では統一できません。公式ヘルプ「統合レポートについて」では、売上などの基本の指標は必ずキャンペーンタイプに適した計上期間を反映し、スポンサーブランド広告を含むその他の広告は標準で14日間とされています。広告主が選択した期間が指標に反映される例外として挙げられているのは、フレキシブルなルックバックウィンドウを使用するAmazon DSPのキャンペーンです。他の出品者による販売も、広告に掲載した商品を他の出品者が販売している場合は売上(プロモーション)に含まれうるため、4つの処理では除けません。
ただし、計上期間が長いほど、同じ広告費に対して計上される購入は同数以上になります。他の出品者による販売も、計上される売上を増やす要因です。スポンサーブランド広告の売上を仮に7日間のルックバックウィンドウで計上し、他の出品者による販売を除いた場合のACOSは、4つの処理を行った後のACOSを下回りません。そのため、4つの処理を行った比較でスポンサーブランド広告のACOSのほうが高い場合は、そろえられない2つの違いを考慮しても、その大小関係は変わらないと判断できます。反対に、スポンサーブランド広告のACOSのほうが低い場合は、その差がそろえられない違いによるものか否かを判別できません。
K社の例(説明用の架空の内訳)では、スポンサーブランド広告の29.4%がスポンサープロダクト広告の26.0%を上回っているため、仮に計上期間などを統一した場合でも、差は3.4ポイント以上になると判断できます。
ブランド新規顧客の指標:スポンサープロダクト広告にはない評価軸
スポンサーブランド広告のACOSがスポンサープロダクト広告より高いため、その予算の減額を検討している。
ブランド新規顧客の指標は、スポンサーブランド広告とディスプレイ広告で利用でき、スポンサープロダクト広告では利用できません。公式ガイドは、スポンサーブランド広告では高いROASを主な成功指標にせず、ブランド新規顧客の獲得はブランド新規顧客の指標で計測することをすすめています。スポンサーブランド広告のACOSがスポンサープロダクト広告より高い場合も、ブランド新規顧客による売上の割合を確認してから、予算を減額するか否かを判断します。

公式ヘルプ「スポンサー広告のブランド新規顧客指標」によると、ブランド新規顧客の指標はスポンサーブランド広告とディスプレイ広告で利用でき、スポンサープロダクト広告では利用できません。そのため、この指標で2つの広告を比較することはできません。この指標は、スポンサーブランド広告の売上の内訳を確認するために用います。
最初に確認するのは、管理画面の「売上の割合(ブランド新規顧客)」と「商品購入数の割合(ブランド新規顧客)」の列です。この記事では、前者をブランド新規顧客による売上の割合と呼びます。診断サンプルのK社のスポンサーブランド広告の売上3,244,704円について、ブランド新規顧客による売上の割合を62%(説明用の架空の数字)とすると、ブランド新規顧客による購入額は約201万円です。これは、過去12か月間にケイライフの商品を購入していなかったお客様による購入額です。
公式ガイド「スポンサーブランド広告完全ガイド」によると、スポンサーブランド広告の目的は、購入する商品を探しているお客様にブランドと商品を見つけてもらうことにあります。また、初回購入の獲得はリピート購入より費用がかかることが多いため、高いROASを主な成功指標にすべきではないとされています。スポンサーブランド広告のACOSがスポンサープロダクト広告より高くても、ブランド新規顧客による売上の割合が高い場合は、その広告費にブランド新規顧客の獲得費用が含まれていると解釈できます。
自社ブランド名を含むキーワード(以下、指名のキーワード)への配信が多いキャンペーンは、ブランドをすでに知っている人への配信が中心になると考えられるため、ブランド新規顧客による売上の割合を一般語のキャンペーンと分けて確認します。また、公式ヘルプでは、広告グループがないスポンサーブランド広告のキャンペーンを従来のキャンペーンとし、従来のキャンペーンでは「閲覧による商品詳細ページの閲覧数(ブランド新規顧客)」「カートに入れる」「ブランド検索」の3つの指標は使用できないとされています。これらの列に「0」などの値が表示されていても、判断には用いません。
長期的な売上(LTS)は、予測値として参考にする
公式ヘルプ「長期的な売上」によると、この指標は、14日間の売上に、ブランド新規顧客の行動(商品詳細ページの閲覧・ブランドの検索・カートへの追加・購入)から予測した今後12か月間の売上を加えたものです。この指標は日本でも利用でき、対象にはスポンサーブランド広告が含まれます。数値はダウンロード可能なレポートで確認します(統合レポートでは「長期売上」の指標)。長期的な売上の表示には、12か月分のキャンペーンデータ、月間30件の注文、月間4,500回の商品詳細ページの閲覧が必要です。長期的な売上は予測値のため、参考として確認するにとどめ、この記事では判断の根拠にブランド新規顧客による売上の割合を用います。
スポンサーブランド広告の継続と予算配分の判断:損益分岐ACOSとの比較とブランド新規顧客による売上の割合で、キャンペーンを4つに分ける
スポンサーブランド広告の予算の一部を、スポンサープロダクト広告に振り替えようとしている。
売上(プロモーション)で算出したACOSを損益分岐ACOSと比較し、ブランド新規顧客による売上の割合とあわせて、スポンサーブランド広告のキャンペーンを4つに分けます。予算配分を変更する場合は、同じ広告主では1件の購入が1つの広告にのみ計上されるため、変更の影響を広告別の売上ではなく、全体の売上の変化で検証します。

キャンペーンを4つに分けるときは、ACOSが損益分岐ACOSを上回るか下回るかを先に確認します。ACOSが損益分岐ACOSを下回るキャンペーンは継続し、そのうちブランド新規顧客による売上の割合が高いものを予算増額の候補にします。ACOSが損益分岐ACOSを上回り、かつブランド新規顧客による売上の割合が低いキャンペーンは、既存顧客の購入が中心で採算が合わないため、ターゲティングを絞り込みます。ACOSが損益分岐ACOSを上回るものの、ブランド新規顧客による売上の割合が高いキャンペーンは、ブランド新規顧客の獲得にどこまで広告費を投じるかが論点になるため、「予算配分の変更の影響は、全体の売上で検証する」の手順で検証してから判断します。
ブランド新規顧客による売上の割合の高低の基準は、自社のキャンペーンの実績から設定します。説明用の架空の数字として、K社がスポンサーブランド広告の前年のブランド新規顧客による売上の割合(50%)を基準とした場合、62%は高い側に入ります。
診断サンプルのK社のスポンサーブランド広告は、売上(プロモーション)で算出したACOSが29.4%(説明用の架空の内訳による値)で、損益分岐ACOSの35%を下回ります。ACOSが損益分岐ACOSと等しくなる売上は約2,186,697円(765,344円÷0.35)で、売上(プロモーション)2,600,000円との差は約413,303円です。これを、売上(プロモーション)に対応する注文1件あたりの売上(2,600,000円÷商品購入数(プロモーション)722件=約3,601円。722件は説明用の架空の数字)で換算すると、約115件分に相当します。注文が数件減少してもACOSが損益分岐ACOSを上回ることはないため、この判断は注文数の変動では変わりません。差が数件分にとどまる場合は、評価期間を延長し、注文の件数が十分に蓄積してから判断します。K社の例は、ブランド新規顧客による売上の割合を62%(説明用の架空の数字)とすると、継続し、予算増額の候補とする区分に当たります。
予算配分の変更の影響は、全体の売上で検証する
公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」には、ブランドを宣伝する広告(スポンサーブランド広告・ディスプレイ広告・ベンダーのスポンサープロダクト広告など)のあいだでは、1件の購入は1つの広告インタラクションにのみ計上されると記載されています。出品者のスポンサープロダクト広告は、アトリビューションにおいてこれらの広告と競合しません。ただし、同じ広告主が出品者とブランドの両方としてアトリビューションの対象になった場合は、より関連性の高い広告が選ばれ、1件の購入は広告主ごとに1つの広告にのみ計上されます。
そのため、スポンサーブランド広告の予算を減額すると、それまで同広告に計上されていた購入の一部が、スポンサープロダクト広告に計上される可能性があります。広告別の売上の増減からは、減額による影響額を算出できません。予算の変更前後で同じ日数の期間を設定し、広告によらない売上も含む全体の売上(セラーセントラル)の変化を比較します。変更日以降の14日間は、変更日より前の広告のクリックによる購入が計上されうるため、比較から除きます。広告を停止し、全体の売上の変化から増分を算出する方法は、「Amazon広告の指名の広告は必要か?停止して自然検索に残る売上を検証する方法」で解説しています。
TAMKOのAmazon広告アカウント診断で確認すること
TAMKOのAmazon広告アカウント診断では、広告の種類ごとのACOSを、在庫切れの日や全体の売上とあわせて確認しています。全体の売上に対する広告費は、TACOS(広告費÷広告以外も含む全体の売上。Amazon Adsの公式の用語ではありません)として算出します。

TAMKOは診断ページに、「現状の配分を続けてよいという判断も、診断の結論です。」「改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添えます。」と記載しています。料金は、診断・報告書・説明会まで無料(毎月2社まで)です。
詳しくは、診断ページをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q01スポンサーブランド広告のACOSの目安はどの程度ですか?
公式の目安はありません。
手数料などを差し引いた後の利益率から損益分岐ACOSを求め、売上(プロモーション)で算出したACOSと比較します。公式ガイドは、スポンサーブランド広告では高いROASを主な成功指標にしないことを推奨しているため、ブランド新規顧客による売上の割合もあわせて確認します。
Q02ベンダーの場合も、スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告で計上期間は異なりますか?
異なりません。
公式ヘルプでは、ベンダーのスポンサープロダクト広告は、ルックバックウィンドウが14日間で、同じブランドの他の商品の購入も計上するとされています。ただし、ベンダーのスポンサープロダクト広告の計上の対象は、Amazonが販売する商品に限られます。
Q03スポンサーブランド広告の売上を、7日間のルックバックウィンドウで集計し直すことはできますか?
管理画面とレポートの基本の指標では、できません。
公式ヘルプ「統合レポートについて」では、売上などの基本の指標は必ずキャンペーンタイプに適した計上期間を反映し、スポンサーブランド広告の計上期間は標準の14日間とされています。広告主が選択した期間が反映される例外として挙げられているのは、フレキシブルなルックバックウィンドウを使用するAmazon DSPのキャンペーンです。この記事では、計上期間の違いを数値で補正せず、4つの処理を行った比較でスポンサーブランド広告のACOSのほうが高い場合に限って、スポンサーブランド広告のACOSのほうが高いと判断します。
Q04スポンサープロダクト広告で、ブランド新規顧客による売上の割合を確認できますか?
確認できません。
公式ヘルプ「スポンサー広告のブランド新規顧客指標」では、ブランド新規顧客の指標はスポンサーブランド広告とディスプレイ広告で利用でき、スポンサープロダクト広告では利用できないとされています。
スポンサーブランド広告のACOSは4つの処理を行ってからスポンサープロダクト広告と比較し、ブランド新規顧客による売上の割合とあわせて評価する|まとめ
スポンサーブランド広告は、売上の計上期間が出品者のスポンサープロダクト広告より長い14日間で、同じブランドの他の商品の購入額も売上に含めます。そのため、管理画面の値のまま比較すると、スポンサーブランド広告のACOSが低く算出されやすくなります。評価期間の設定・在庫切れの日の除外・クリックによる売上の使用・売上の範囲の統一の4つの処理を行って比較し、計上期間と他の出品者による販売の違いの影響は、2つのACOSの大小関係で判断します。そのうえで、売上(プロモーション)で算出したACOSを損益分岐ACOSと比較し、スポンサープロダクト広告では確認できないブランド新規顧客による売上の割合を加えてキャンペーンを4つに分け、予算配分を変更する場合はその影響を全体の売上の変化で検証します。
この記事のポイント
- 売上の計上期間は、出品者のスポンサープロダクト広告が7日間、スポンサーブランド広告が14日間で、スポンサーブランド広告は同じブランドの他の商品の購入額も売上に含める。
- 管理画面のACOSは、スポンサーブランド広告のほうが低く算出されやすい。
- 評価期間の設定・在庫切れの日の除外・クリックによる売上の使用・売上の範囲の統一の4つの処理を行ってから比較する。
- 4つの処理を行った比較でスポンサーブランド広告のACOSのほうが高い場合は、計上期間などそろえられない違いを考慮しても、その大小関係は変わらないと判断できる。
- ブランド新規顧客の指標はスポンサーブランド広告とディスプレイ広告で利用でき、スポンサープロダクト広告では利用できない。
- 予算配分を変更する場合は、その影響を広告別の売上ではなく全体の売上の変化で検証する。