TAMKO
計測と評価

Amazonのスポンサーブランド広告の動画は、共通の検索語句でコレクションとACOSを比較し、動画のみの検索語句を別に評価して、配信の継続を判断する

Amazonのスポンサーブランド広告で動画を配信している場合、動画のACOS(広告費売上高比率。広告費÷広告経由の売上)がコレクションより高く、配信を継続するか否かの判断が難しいことがあります。

診断サンプルのK社(キッチン用品メーカー、自社ブランド「ケイライフ」。いずれも架空)の12か月の実績では、自社ブランド名を含まないキーワード(以下、一般語)を対象とするスポンサーブランド広告キャンペーンの広告費が765,344円、売上が3,244,704円でした。このキャンペーンを動画とコレクションの広告グループに分けた内訳(説明用の架空の数値)では、ACOSは動画が40.0%、コレクションが18.2%で、動画のACOSは損益分岐ACOS(35%と仮定)を上回ります。ただし、動画とコレクションでは広告が表示された検索語句の構成が異なるため、この21.8ポイントの差だけでは、動画の効率がコレクションより低いとは判断できません。

この記事では、動画とコレクションの両方に記録された検索語句に限定してACOSを比較し、動画の広告グループだけに記録された検索語句は別に評価して、動画の配信を継続するか否かを判断する手順を整理します。動画の指標と広告掲載枠(以下、掲載枠)の仕様に関する記述は、2026年10月30日にAmazon Adsの公式ヘルプとガイドで確認した内容にもとづきます。

対象読者は、Amazonに自社ブランドの商品を出品し、スポンサーブランド広告で動画とコレクションを配信している担当者です。

TAMKOは、Amazon広告のアカウント診断で、広告の種類ごとのACOSと検索語句ごとの成果を確認しています。以下では、診断で用いている手順にもとづいて解説します。

【結論】スポンサーブランド広告の動画は、共通の検索語句でコレクションとACOSを比較して、配信の継続を判断する

動画の広告グループ全体のACOSには、同グループだけに記録された検索語句の成果も含まれるため、そのままではコレクションと比較できません。比較の前に、キャンペーンの目標と課金方式・ターゲティング・評価期間の3つの条件をそろえ、掲載する商品の違いを確認します。そのうえで検索語句を3つの区分に分け、共通の検索語句で動画のACOSを損益分岐ACOSおよびコレクションと比較して、配信の継続を判断します。

Amazonのスポンサーブランド広告で動画の配信を継続するか否かを、3つの条件の統一、検索語句の3区分、共通の検索語句でのACOSの比較、ACOS以外の指標の確認、区分ごとの対応の決定の5段階で判断する手順を示した図
動画とコレクションでは、全体のACOSの差に検索語句の構成の違いも含まれる。ACOSは共通の検索語句に限定して比較し、動画のみの検索語句は別に評価する。

この記事では、検索ワードレポートに記録された検索語句(1回以上の広告クリックにつながった検索語句)のうち、動画とコレクションの両方の広告グループにあるものを「共通の検索語句」、動画の広告グループだけにあるものを「動画のみの検索語句」、コレクションの広告グループだけにあるものを「コレクションのみの検索語句」と呼びます。コレクションのみの検索語句は、動画の配信を継続するか否かの判断には用いません。

損益分岐ACOSは、販売価格から原価・Amazonの販売手数料・配送費などを差し引いた後の利益率をもとに算出します(詳しくは「Amazon広告のTACOSとは?損益分岐ACOSでキャンペーンを種類ごとに仕分ける方法」で解説しています)。K社については、原価・手数料などを差し引いた後の利益率を35%と仮定し、損益分岐ACOSを35%とします(診断サンプルの値)。

なお、公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告動画を理解する」では、スポンサープロダクト広告の動画は米国でのみ利用可能とされているため、この記事では扱いません。ディスプレイ広告(旧スポンサーディスプレイ広告)にも動画のクリエイティブがありますが、その配信を継続するか否かの判断は「Amazonのディスプレイ広告(旧スポンサーディスプレイ広告)の継続を判断する指標」で扱っています。

スポンサーブランド広告の動画とは:コレクションとの違い(表示の形式・掲載枠とオークション・ランディングページ・指標)

よくある場面

動画とコレクションの広告グループを、同じスポンサーブランド広告のキャンペーンで配信している。

スポンサーブランド広告の動画は、検索結果ページなどで6〜45秒の映像を自動再生する広告フォーマットです。公式ガイド「スポンサーブランド広告完全ガイド」によると、動画はコレクションとは別の掲載枠とオークションで配信されます。売上の計上期間(広告のクリックから14日間)と計上する商品の範囲は、動画とコレクションで同じです。

Amazonのスポンサーブランド広告の動画とコレクションを、表示の形式、配信される掲載枠とオークション、ランディングページ、利用できる指標で比較した図
売上の計上期間と計上する商品の範囲は、動画とコレクションで同じである(スポンサーブランド広告の条件)。2つの広告フォーマットの違いは、表示の形式、配信される掲載枠とオークション、ランディングページ、利用できる指標にある。

公式ヘルプ「スポンサーブランド広告を理解する」によると、スポンサーブランド広告には、コレクション・ストアスポットライト・動画の3つの広告フォーマットがあります。公式の広告仕様(Amazon Ads「スポンサーブランド動画広告 - 広告仕様とガイドライン」)では、動画は広告のピクセルの50%が画面に表示された時点で自動的に再生され、音声は初期設定ではオフとされています。公式ガイド「スポンサーブランド動画広告を始める」には、動画が表示される可能性のある場所として、検索結果ページの上部と一覧の中、および商品詳細ページが挙げられています(キャンペーンの目標ごとの掲載枠は、次の章で扱います)。

公式ガイド「スポンサーブランド広告完全ガイド」では、スポンサーブランド動画広告には独自の広告掲載枠とオークションがあり、他のセルフサービス広告キャンペーンと競合しないとされています。同ガイドは、動画が表示されるのは、商品に関連する一部のキーワードで検索された場合の検索結果であるとも説明しています。そのため、2つの広告グループに同じキーワードを指定しても、動画とコレクションで広告が表示される検索語句の構成は一致しません。

コレクションは、2026年に仕様が変わりました。公式ヘルプ「商品コレクションからスポンサーブランド広告コレクションへの移行」によると、2026年4月に提供が始まったスポンサーブランド広告コレクションは、従来の商品コレクションに代わる形式で、1つの広告に3〜10点の商品を掲載します。種類は、マニュアルコレクションと、Amazonが掲載する商品を選ぶオートコレクション(ターゲティングはキーワードのみ)の2つです。従来の商品コレクションは2027年2月以降サポートされなくなります。広告主がスポンサーブランド広告コレクションの配信を開始すると、4週間は従来の商品コレクションと同時に掲載されます。この記事では、従来の商品コレクションとスポンサーブランド広告コレクションをまとめて「コレクション」と呼びます。

売上の計上条件は、広告フォーマットによって変わりません。公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」では、スポンサーブランド広告の売上は、広告のクリック(vCPMのキャンペーンでは閲覧を含む)から14日間に発生した、ランディングページの商品および同じブランドの他の商品の購入額とされています。スポンサーブランド広告とスポンサープロダクト広告では計上期間が異なり(14日間と7日間)、この2つの広告のACOSを比較する手順は「スポンサーブランド広告とは?スポンサープロダクト広告とACOSを比較する手順」で解説しています。

比較の前にそろえる3つの条件と、確認する掲載商品:キャンペーンの目標と課金方式・ターゲティング・評価期間

よくある場面

動画とコレクションの広告グループで、指定しているキーワードと入札額が異なる。

動画とコレクションは、キャンペーンの目標と課金方式、キーワード・マッチタイプ・入札額、評価期間をそれぞれ同じにして比較し、あわせて掲載する商品の違いを確認します。

Amazonのスポンサーブランド広告の動画とコレクションのACOSを比較する前にそろえる3つの条件(キャンペーンの目標と課金方式、ターゲティング、評価期間)と、確認する掲載商品を示した図
3つの条件が異なると、ACOSの差に広告フォーマット以外の要因が含まれる。動画とコレクションは別の掲載枠とオークションで配信されるため、掲載枠の条件はそろえられない。

公式ヘルプ「スポンサーブランド広告のキャンペーン目標」によると、目標はキャンペーンごとに1つで、作成後は変更できません。目標によって掲載枠も異なり、「ページ訪問数の促進」ではAmazonトップページも含まれ、「ブランドインプレッションシェアの拡大」では検索結果上部に限られます。動画とコレクションでキャンペーンの目標が異なる場合は、一方の広告グループを、もう一方と同じ目標のキャンペーンに作成し直して比較します。目標が「ブランドインプレッションシェアの拡大」のキャンペーン(vCPM)では、売上に広告を閲覧した人の購入額も含まれるため、ACOSの算出には「クリックによる売上」など、クリックだけを集計した指標を用います。

動画とコレクションは別の広告グループになるため、キーワードは広告グループごとに設定します。2つの広告グループで、キーワード・マッチタイプ・入札額を同じにします。公式ガイド「スポンサーブランド広告完全ガイド」は、キャンペーンを複製して1回につき1つの変数を変更する方法で、広告フォーマットを比較する例を挙げています。ただし、掲載枠の条件はそろえられないため、次の章で検索語句を区分して比較します。

公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」によると、レポートの売上は広告のクリックなどが発生した日付で計上され、ルックバックウィンドウ(スポンサーブランド広告は14日間)が終了するまで確定しません。2つの広告グループの評価期間はそろえ、終了日を、レポートを確認する日(以下、確認日)の14日以上前に設定します。従来の商品コレクションからスポンサーブランド広告コレクションに移行した場合は、2つが同時に掲載される4週間を評価期間から除きます。

公式の広告仕様によると、動画の広告には、商品詳細ページの主な商品画像と、その商品に関連する情報が自動的に表示されます。一方、コレクションには3〜10点の商品が掲載されます。動画で紹介する商品とコレクションに掲載する商品の価格帯が異なると、注文1件あたりの売上(売上÷注文)にも差が生じます。2つの広告グループの注文1件あたりの売上に大きな差がある場合は、掲載する商品の違いを確認してからACOSを比較します。

検索ワードレポートで、共通の検索語句に限定して動画とコレクションのACOSを比較する

よくある場面

動画の広告グループのACOSがコレクションより高いため、動画の配信停止を検討している。

検索ワードレポートを広告グループ名で動画とコレクションに分け、共通の検索語句だけを集計してACOSを比較します。K社の例(説明用の架空の数値)では、全体のACOSは動画が40.0%、コレクションが18.2%ですが、共通の検索語句に限定すると動画が29.8%、コレクションが26.8%で、差は約3ポイントです。

Amazonのスポンサーブランド広告の動画とコレクションのACOSを、全体と、検索語句の区分(共通の検索語句、動画のみ/コレクションのみの検索語句)ごとに比較した横棒グラフ。全体では動画40.0%、コレクション18.2%で21.8ポイント、共通の検索語句では29.8%と26.8%で約3ポイントの差であり、動画のみの検索語句は57.4%で損益分岐ACOS 35%を上回る
診断サンプルK社のスポンサーブランド広告(一般語)のACOSを、動画とコレクションの広告グループ別に示した(説明用の架空の数値)。動画の広告グループ全体のACOSが損益分岐ACOSを上回る主な要因は、動画のみの検索語句である。35%は、原価・手数料などを差し引いた後の利益率から算出した仮定の値。
広告グループ検索語句の区分広告費クリック売上注文ACOS
動画全体320,000円3,300回800,000円220件40.0%
動画共通の検索語句150,000円1,600回504,000円140件29.8%
動画動画のみの検索語句170,000円1,700回296,000円80件57.4%
コレクション全体445,344円5,473回2,444,704円681件18.2%
コレクション共通の検索語句280,000円3,111回1,044,000円290件26.8%
コレクションコレクションのみの検索語句165,344円2,362回1,400,704円391件11.8%

検索ワードレポートを広告グループ名で分ける

公式ヘルプ「スポンサーブランド広告の検索ワードレポート」によると、このレポートに含まれるのは、1回以上の広告クリックにつながった検索語句だけです。列には、キャンペーン名・広告グループ名・お客様の検索用語(この記事の検索語句)・クリック数・コスト(広告費)・売上・商品購入数(注文)などがあります。スポンサーブランド広告では広告フォーマットを広告グループごとに設定するため、広告グループ名の列で、検索語句の行を動画とコレクションに分けられます。

このレポートで取得できるのは、過去65日間のデータです。12か月など長い期間で比較する場合は、毎月ダウンロードして保存したレポートを合算します。統合レポートを使う場合は、「検索用語」のディメンション(対象はスポンサーブランド広告とスポンサープロダクト広告)で出力します。公式ヘルプ「統合レポートのデータ提供期間」によると、時間の単位を「期間」にした場合は、最大72か月分を取得できます。統合レポートには「広告フォーマット」のディメンションもありますが、公式ヘルプ「ディメンション」で対象とされているのはAmazon DSPだけです(2026年10月30日確認)。動画とコレクションの区別は、広告グループ名で行います。

共通の検索語句を抽出して集計する

検索語句ごとに、動画とコレクションの両方の広告グループに行があるかを確認し、3つの区分に分けます。次に、区分ごとに広告費・クリック・売上・注文を広告グループ別に合計し、ACOSを算出します。

K社の例(説明用の架空の数値)では、動画の広告グループにおける広告費320,000円のうち、共通の検索語句が150,000円、動画のみの検索語句が170,000円(約53%)です。共通の検索語句のACOSは動画が29.8%、コレクションが26.8%で、差は約3ポイントです(全体では21.8ポイント)。動画の広告グループ全体のACOSが損益分岐ACOSの35%を上回る主な要因は、動画のみの検索語句(57.4%)です。K社のコレクションは、期間中に移行していないものとします(説明用の前提)。

共通の検索語句のACOSの差の要因は、ACOS=クリック単価(CPC)÷(購入率×注文1件あたりの売上)の式で分解して確認できます。K社の例では、CPCは動画が約94円(150,000円÷クリック1,600回)、コレクションが約90円(280,000円÷クリック3,111回)、購入率(注文÷クリック)は動画が8.75%、コレクションが9.32%で、注文1件あたりの売上はいずれも3,600円です。ACOSの差は、CPCと購入率のわずかな違いが重なった結果です。一方、動画のみの検索語句の購入率は4.71%(注文80件÷クリック1,700回)で、共通の検索語句での動画の購入率8.75%を大きく下回ります。動画のみの検索語句には、K社の商品との関連性が低い検索語句が含まれている可能性があります。

ACOS以外の確認項目:ブランド新規顧客による売上の割合と、動画の視聴の指標

よくある場面

動画の5秒間の視聴率を毎月確認しているが、その数値を、動画の配信を継続するか否かの判断にどのように用いるかが決まっていない。

ブランド新規顧客による売上の割合は、動画とコレクションの両方で確認できるため、動画の配信を継続するか否かの判断の補足に使います。5秒間の視聴率などの指標は動画にしかないため、コレクションとの比較には使わず、動画の内容を見直すか否かの判断に使います。

Amazonのスポンサーブランド広告の指標を、動画とコレクションで比較できるもの(CPC・購入率・ACOS・ブランド新規顧客による売上の割合)と、動画にしかない視聴の指標(5秒間の視聴率・ビュースルー率・動画再生25%〜100%時点での視聴数・ミュート解除数)に分けた図
視聴の指標には、コレクション側に対応する値がない。そのため、2つの広告フォーマットの比較には用いず、同じ広告グループの中で動画の広告どうしの比較に用いる。

ブランド新規顧客による売上の割合は、キーワードレポートで比較する

ブランド新規顧客とは、過去365日間にそのブランドの商品を購入していなかったお客様です(公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」)。ブランド新規顧客による売上の割合は、動画とコレクションのどちらでも確認できます。ただし、公式ヘルプ「スポンサーブランド広告の検索ワードレポート」の列の定義には、ブランド新規顧客の指標が含まれていません。そのため、この割合と広告グループ名の列がある「スポンサーブランド広告のキーワードレポート」を用いて、2つの広告グループのキーワードごとに割合を比較します。ACOSの比較は検索語句の単位、この割合の比較はキーワードの単位です。

K社の例(説明用の架空の数値)では、2つの広告グループのキーワードについて、ブランド新規顧客による売上の割合は動画が68%、コレクションが55%です。共通の検索語句で動画とコレクションのACOSの変動の幅が重なる場合(次の章で解説)、ブランド新規顧客による売上の割合が高いことは、動画の配信を継続する根拠の1つになります。公式ガイド「スポンサーブランド広告完全ガイド」も、スポンサーブランド広告では高いROAS(広告経由の売上÷広告費。ACOSの逆数)を主な成功指標にせず、新規顧客の獲得はブランド新規顧客の指標で計測することを推奨しています。損益分岐ACOSとの比較は、採算が合うか否かの確認に用います。

視聴の指標は、動画の広告どうしの比較に使う

公式ヘルプ「スポンサーブランド広告のキャンペーンレポート」には、動画の視聴の指標として、5秒間の視聴数・5秒間の視聴率・ビュースルー率(VTR。公式ヘルプでは、閲覧数をインプレッション数で割った値と定義)・動画再生25%〜100%時点での視聴数・動画のミュート解除数が記載されています。動画のビューアブルインプレッションは、広告のピクセルの50%以上が2秒以上画面に表示された時点で計上されます。

スポンサーブランド広告では、1つの広告グループの中に同じフォーマットの広告を複数作成できます。視聴の指標は、統合レポートの「広告名」のディメンションを用いて、同じ広告グループ内の動画広告どうしで比較します。5秒間の視聴率が低い動画は、冒頭の構成を見直します。公式ガイド「スポンサーブランド動画広告を始める」は、最初の2秒で商品を表示し、最初の5秒に商品の機能を含めることを推奨しています。

なお、公式ヘルプ「レポート」では、検索用語のインプレッションシェア(SIS)・キーワード掲載枠・カテゴリーベンチマーク(CBR)の各レポートは、スポンサーブランド動画広告キャンペーン(この記事のスポンサーブランド広告の動画)では利用できないとされています。

動画の配信を継続するかの判断:共通の検索語句で損益分岐ACOSおよびコレクションと比較し、動画のみの検索語句は検索語句ごとに対応する

よくある場面

動画の広告グループ全体のACOSは損益分岐ACOSを上回っているが、共通の検索語句に限定すると下回っている。

共通の検索語句で、動画のACOSの変動の幅を損益分岐ACOSおよびコレクションと比較して配信の継続を判断し、動画のみの検索語句は検索語句ごとに対応を決めます。K社の例(説明用の架空の数値)では、共通の検索語句における動画の変動の幅(27.2〜32.3%)の上限が損益分岐ACOSの35%を下回り、コレクション(25.2〜28.4%)とも重なるため、動画の配信を継続します。

Amazonのスポンサーブランド広告の動画について、共通の検索語句でのACOSの変動の幅を、損益分岐ACOSとの大小とコレクションとの重なりの2つで分け、配信の継続、内容の見直しの検討、キーワードと入札額の見直し、内容の見直しと停止の検討の4つの対応に振り分けた図
縦軸は、共通の検索語句での動画のACOSの変動の幅と損益分岐ACOSの関係(上限が下回るか、下限が上回るか)、横軸は、共通の検索語句での動画とコレクションの変動の幅の比較。動画の変動の幅が損益分岐ACOSを含む場合は、4つのいずれにも当てはめず、評価期間を延長して注文数が増えてから判断する。変動の幅はACOS±ACOS÷√注文数で算出する。

ACOSの分母である売上は、注文数の偶然の増減によって変動します。この記事では、ACOS±ACOS÷√注文数を変動の幅の目安とします(根拠は「Amazon広告の掲載枠とは?入札額の引き上げ率を掲載枠ごとのACOSと注文数で決める方法」の「掲載枠ごとのACOSの差の有無は、注文数による変動の幅と比較して判断する」の章で解説しています)。変動の幅は、端数処理前のACOSから算出しています。

共通の検索語句:損益分岐ACOSとコレクションの両方と比較する

K社の例では、共通の検索語句におけるACOSの変動の幅は、動画が27.2〜32.3%(ACOS 29.8%・注文140件)、コレクションが25.2〜28.4%(ACOS 26.8%・注文290件)です。2つの幅は重なるため、約3ポイントの差は注文数の偶然の増減で生じうる範囲にあり、動画の効率がコレクションより低いとは判断しません。動画の変動の幅の上限(32.3%)も損益分岐ACOSの35%を下回ります。この結果から、動画の配信を継続します。ブランド新規顧客による売上の割合で動画がコレクションを上回ることも、継続の根拠です。動画の変動の幅が損益分岐ACOSを含む場合は、評価期間を延長し、注文数が増えてから判断します。

動画のみの検索語句:検索語句ごとに対応する

動画のみの検索語句の変動の幅は51.0〜63.9%(ACOS 57.4%・注文80件)で、下限も損益分岐ACOSを上回ります。ただし、この57.4%は、複数の検索語句の広告費と売上を合算して算出した値です。検索語句ごとに同じ方法で変動の幅を算出し、次の表のとおり対応します。

検索語句ごとの変動の幅対応
下限が損益分岐ACOSを上回る動画の広告グループに除外キーワードとして追加するか、対応するキーワードの入札額を引き下げる
上限が損益分岐ACOSを下回るそのまま配信する
損益分岐ACOSを含む評価期間を延長し、注文数が増えてから対応を判断する
注文が0件で算出できないクリック数と広告費を確認して、個別に対応を判断する

公式ヘルプ「除外キーワードまたは除外商品ターゲティングを追加する」によると、除外キーワードのマッチタイプはフレーズ一致と完全一致で、有効になるまでに72時間のバッファー期間があります。そのため、除外キーワードを追加した場合の評価期間は、追加日から72時間の経過後に開始します。

動画の配信停止を検討する場合は、影響をセラーセントラルの全体の売上で検証する

共通の検索語句でも動画の変動の幅の下限が損益分岐ACOSを上回り、コレクションより高い場合は、まず動画の内容を見直し、ACOSが改善しない場合に配信停止を検討します。ただし、停止による売上の減少額は、動画の広告グループに計上されていた額より小さくなる可能性があります。公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」によると、ブランドを宣伝する広告(スポンサーブランド広告・ディスプレイ広告・ベンダーのスポンサープロダクト広告など)どうしでは、1件のコンバージョンは最も関連性の高い1つの広告インタラクションにのみ計上されます。そのため、配信を停止すると、動画とコレクションの両方をクリックしたお客様の購入の一部が、コレクションに計上される可能性があります。

停止の影響は、停止前後で同じ日数の期間を設け、広告によらない売上も含むセラーセントラルの全体の売上を比較して確認します。停止日から14日間の売上には、停止前の動画のクリックに起因する購入額が計上されうるため、この期間は比較に含めません。広告を停止して全体の売上から影響を算出する方法は、「Amazon広告の指名の広告は必要か?停止して自然検索に残る売上を検証する方法」で解説しています。

TAMKOのAmazon広告アカウント診断で確認すること

TAMKOのAmazon広告アカウント診断では、スポンサーブランド広告を含む広告の種類ごとのACOSと、検索語句ごとの成果を確認しています。

TAMKOのAmazon広告アカウント診断の確認項目から広告の種類ごとのACOSを、納品物からキャンペーン・検索語句・日ごとの分析の明細(Excel)とオンラインの説明会を、それぞれ示した図
診断ページの「Amazon広告ならではの確認項目」と納品物の表から、この記事の手順に関わる3つを記載のまま引用。

TAMKOは診断ページに、「いまの使い方で続けてよいか。やめるべきものはあるか。広告で伸ばせるか。」「配信と売上の記録をもとに、根拠を添えてお答えします。」と記載しています。料金は、診断・報告書・説明会まで無料(毎月2社まで)です。

詳しくは、診断ページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q01スポンサーブランド広告の動画のACOSに目安はありますか?

公式の目安はありません。

動画のACOSは、原価・手数料などを差し引いた後の利益率から算出した損益分岐ACOSに加え、共通の検索語句でのコレクションのACOSとも比較し、ブランド新規顧客による売上の割合も確認します。

Q02動画とコレクションを同じ広告グループで配信して比較できますか?

できません。

公式ヘルプ「広告グループ」によると、スポンサーブランド広告では広告フォーマットを広告グループごとに設定し、1つの広告グループには同じフォーマットの広告を作成します。動画とコレクションは別の広告グループで配信し、検索ワードレポートの広告グループ名で区別します。

Q03スポンサーブランド広告の動画の長さとサイズの仕様を教えてください。

公式の広告仕様「スポンサーブランド動画広告 - 広告仕様とガイドライン」では、再生時間は6〜45秒(20秒以下を強く推奨)、動画のサイズは1280x720・1920x1080・3840x2160ピクセルのいずれか、ファイルサイズは500MB以下、形式は.MP4または.MOV、アスペクト比は16:9のみとされています。

一方、公式ガイド「スポンサーブランド動画広告を始める」には縦型(9:16)にも対応するとあり、2つのページで内容が異なるため、入稿時は作成画面の表示を確認してください。

スポンサーブランド広告の動画は、共通の検索語句でコレクションとACOSを比較して配信の継続を判断し、動画のみの検索語句は除外を検討する|まとめ

スポンサーブランド広告の動画は、コレクションとは別の掲載枠とオークションで配信されるため、全体のACOSの差には検索語句の構成の違いが含まれます。3つの条件をそろえ、掲載する商品の違いを確認したうえで、共通の検索語句に限定してACOSを比較します。動画のACOSの変動の幅の上限が損益分岐ACOSを下回り、コレクションの変動の幅と重なる場合は、動画の配信を継続します。動画のみの検索語句は、検索語句ごとに除外キーワードの追加か入札額の引き下げを検討します。

この記事のポイント

  • 動画とコレクションは別の掲載枠とオークションで配信され、広告が表示される検索語句の構成が異なる。
  • 売上の計上条件(広告のクリックから14日間・同じブランドの他の商品を含む)は、動画とコレクションで同じである。
  • 比較の前に、キャンペーンの目標と課金方式・ターゲティング・評価期間の3つの条件をそろえ、掲載する商品の違いを確認する。
  • 検索ワードレポートを広告グループ名で分け、共通の検索語句に限定してACOSを比較する。
  • 共通の検索語句で動画のACOSの変動の幅の上限が損益分岐ACOSを下回り、コレクションと重なる場合は動画の配信を継続し、動画のみの検索語句は除外キーワードの追加か入札額の引き下げを検討する。
  • 5秒間の視聴率などの指標は、動画の内容を見直すか否かの判断に使う。