TAMKO
Advantage+

Advantage+ クリエイティブのエンハンスの採否は、変更対象で分けたグループごとにオンとオフをA/Bテストで比較し、購入件数の差が偶然の範囲を超えたかどうかで判断する

Meta広告で、Advantage+ クリエイティブのエンハンスをオンにしたまま配信を継続してよいか、判断が難しいと感じることはありませんか。

例えば、エンハンスがオンの広告の購入単価がオフの広告より低くても、その差の原因がエンハンスにあるのか、画像・動画の内容、配信期間、配信対象者の違いにあるのかは、広告単位の数値からは判別できません。

エンハンスの運用では、次の3つの場面が多く見られます。

そこでこの記事では、エンハンスの種類と初期状態、設定の確認方法、オンとオフの比較方法、テスト対象の選び方、必要な購入件数と期間、採否の判断と反映の手順を、Metaビジネスヘルプセンター(以下、公式ヘルプ)の記載に基づいて整理します。

想定読者は、自社ECサイトでの販売やD2C事業でMeta広告(Instagram広告・Facebook広告)を運用し、購入単価やROASで成果を評価している担当者の方です。

この記事は、Meta広告アカウント診断で購入件数を正しく集計したうえで費用対効果を確認しているTAMKOの立場から解説します。

Advantage+ クリエイティブのエンハンスとは:画像・動画・テキストを配信先に合わせて調整する機能で、一部は初期状態でオンになる

よくある場面

担当者が作成時に選択していないエンハンスが、配信中の広告の編集画面でオンになっている。

Advantage+ クリエイティブのエンハンスは、アップロードした画像・動画・テキストを、配信対象者や配置に合わせて調整する機能です。利用できる種類は、広告フォーマット・配置・カタログ使用の有無・キャンペーンの目的などによって異なり、一部は初期状態でオンになっています。オンになったエンハンスは、いつでもオフにできます。

Meta広告で利用できるAdvantage+ クリエイティブのエンハンス31種類を、画像・動画を変更・生成するもの(9)、テキストを変更・追加するもの(8)、情報や表示形式を追加するもの(14)の3つのグループに分けた図
グループはこの記事独自の分類で、広告マネージャの画面上のカテゴリとは一致しない場合がある。種類の数は、2026年10月時点の公式ヘルプの一覧による。

公式ヘルプによれば、Advantage+ クリエイティブをオンにした場合、画像や動画は、オーディエンスが反応しやすい形に最適化されます。キャンペーンの主要なメッセージは維持されますが、アップロードしたメディアやテキストは調整される場合があり、適用されるエンハンスも、配信対象者や最適化の状況によって異なることがあります。

2026年10月時点の公式ヘルプの一覧には、31種類のエンハンスが掲載されています。この記事では、これを変更対象によって次の3つのグループに分け、以下、それぞれ「画像・動画のグループ」「テキストのグループ」「情報や表示形式のグループ」と呼びます。広告マネージャの[エンハンス]の画面では、エンハンスがメディア・テキスト・インタラクティビティの3カテゴリに分けて表示されます。ただし、各エンハンスの所属カテゴリは一覧に記載がなく、画面のカテゴリとこの記事のグループは一致しない場合があります。

グループエンハンスの名称(公式ヘルプの表記)
画像・動画を変更・生成する(9種類)アニメーションを追加、音楽を追加、動画エフェクトを追加、明るさとコントラストを調整、背景生成、画像生成、画像のタッチアップ、動画のタッチアップ、ビジュアルのタッチアップ
テキストを変更・追加する(8種類)オーバーレイを追加、CTAエンハンス、メディアテキストを強化、概要を表示、テキスト生成、テキストの改善、翻訳、動画の字幕
情報や表示形式を追加する(14種類)広告レイアウトに詳細を追加、ダイナミックオーバーレイを追加、商品閲覧機能を追加する、商品タグを追加、標準ラベルを追加、スタンプのCTAを作成、ダイナミック説明、柔軟性のあるメディア、カルーセルカードのハイライト、プロフィールエンドカード、関連度が高いコメント、詳細を段階的に表示、スポットライトを表示、店舗所在地

31種類のうち、実際に利用できるエンハンスは広告によって異なります。一覧の注記によると、[背景生成]や[画像のタッチアップ]はAdvantage+ カタログ広告でのみ、[カルーセルカードのハイライト]はカルーセル広告でのみ、[概要を表示]はFacebookフィードとInstagramフィードでのみ利用できます。自社ECサイト向けにシングル画像広告やシングル動画広告を配信している場合、管理画面に表示されるのはその一部です。また、キャンペーンの目的に「認知」を選択する場合や、ダイナミッククリエイティブを使用する場合は、Advantage+ クリエイティブをオンにできません。

エンハンスの中には、初期状態(デフォルト)でオンになるものがあります。例えば、広告フォーマットに[シングル画像または動画]を選ぶと、[詳細を段階的に表示]・[スポットライトを表示]・[概要を表示]が初期状態でオンになっている場合があります。また、広告を公開したときに初めて自動でオンになるエンハンスもあります(確認方法は次の章で説明します)。各エンハンスの内容と対応するフォーマットは、章末の参照に挙げたページで確認できます。

オンになっているエンハンスの把握方法:一括編集の画面と[詳細プレビュー]の両方で、広告ごとの設定を確認する

よくある場面

担当者が、配信中の20本の広告で、どのエンハンスがオンになっているかを把握できていない。

複数の広告に設定されたエンハンスは、一括編集の画面で広告別に確認できます。ただし、一部のエンハンスは編集画面の[広告クリエイティブ]に表示されず、[詳細プレビュー]でのみオフにできるため、[詳細プレビュー]も確認します。作成中の広告については[デフォルトを確認]と[審査待ち]タブ、広告アカウント全体の設定については[広告設定]の[新しいクリエイティブ機能をテスト]を参照します。

Meta広告でAdvantage+ クリエイティブのエンハンスの設定を確認する4つの単位とそれぞれの画面(広告アカウントの[新しいクリエイティブ機能をテスト]、作成中の広告の[デフォルトを確認]と[審査待ち]タブ、配信中の1本の広告の編集画面と[詳細プレビュー]、配信中の複数の広告の一括編集の画面)を示した図
配信中の広告は一括編集の画面でまとめて確認し、[詳細プレビュー]でのみオフにできるエンハンスは広告1本ごとに確認する。

配信中の広告をまとめて確認する場合は、一括編集の画面を使います。公式ヘルプの手順では、広告マネージャの[広告]タブで対象の広告を選び、[編集]の横の[メニュー]から[Advantage+ クリエイティブ]を選択すると、広告別にオンになっているエンハンスが表示されます。一括編集の対象はフォーマットが同一の広告に限られるため、フォーマットごとに分けて選択します。

1本ずつ確認する場合は、広告の編集画面の[Advantage+ クリエイティブ]セクションを開きます。このセクションには、オンになっているエンハンスの数が表示されます。ただし、一部のエンハンスは[詳細プレビュー]でのみオフにでき、編集画面の[広告クリエイティブ]には表示されません。これらのエンハンスが一括編集の画面に表示されるかは記載がないため、すべてのエンハンスの状態を把握するには、編集画面と[詳細プレビュー]の[Advantage+ クリエイティブ]タブの両方を確認します。

作成中の広告では、[詳細プレビュー]の横にある[デフォルトを確認]で、初期状態でオンになっているクリエイティブ機能(エンハンスを含む)をカテゴリ別に一覧で確認できます。手動で選択した機能は、[デフォルトを確認]には表示されません。また、[エンハンス]の[審査待ち]タブには、まだアクティブでないエンハンスと、広告を公開したときに初めて自動でオンになるエンハンスが表示されます。作成時にオフだったエンハンスが公開後にオンになっている場合、そのエンハンスはこのタブに表示されていたものである可能性があります。

広告アカウント全体の設定も確認します。[広告設定]の[クリエイティブ機能]にある[新しいクリエイティブ機能をテスト]を選択する(オプトインする)と、エンハンスなどのクリエイティブ機能が、該当するキャンペーンに適用されることがあります。この項目は対象となる広告主だけが選択できるため、表示されない場合もあります。

エンハンスのオンとオフの比較方法:広告単位の数値ではなく、A/Bテストで検証する

よくある場面

担当者が、エンハンスをオンにした広告とオフにした広告の購入単価を、広告マネージャ上で1本ずつ比較している。

広告単位の購入単価の差には、エンハンスの効果のほか、画像・動画の内容、配信期間、配信対象者の違いによる影響が含まれます。公式ヘルプに掲載されているレポートの内訳には、エンハンス別に結果を分ける項目が記載されていません。エンハンスの効果は、その設定だけが異なる2つのバージョンをA/Bテストで比較して確認します。

Meta広告でAdvantage+ クリエイティブのエンハンスの効果を確認する2つの方法の対比:広告単位の数値では画像・期間・配信対象者の違いによる影響を切り分けられず、A/Bテストではエンハンスの設定だけが異なる2つのバージョンを比較できる
配信を手動で停止・再開して比較する方法では、オーディエンスが重複し、結果の信頼性が下がることがある。

広告マネージャで、エンハンスがオンの広告とオフの広告の購入単価を比較した場合、その差には複数の要因が含まれます。2つの広告は、画像や動画、テキスト、配信期間、所属する広告セットが異なることが多く、配信対象者も異なります。一部の人は、両方の広告を見ていることもあります。このため、差がエンハンスの設定によるものかを判別できません。

レポートの内訳を使っても、エンハンスの効果は切り分けられません。公式ヘルプ「Meta広告レポートの内訳、指標、フィルターについて」に挙げられている区分は、レベル(キャンペーン・広告セット・広告など)、時間、利用者層、地域、配信(配置・プラットフォーム・インプレッションデバイス・メディアタイプなど)で、エンハンス別の項目は記載されていません(2026年10月時点)。

また、広告セットやキャンペーンの配信を手動で停止・再開して比較するような略式のテストは、推奨されていません。この方法ではオーディエンスが重複することがあり、結果の信頼性が低下するおそれがあるためです。

A/Bテストは、変数だけが異なる2つのバージョンを、同じ人が両方を見ないように配信対象者を分けて配信し、[結果の単価]で比較する機能です。購入を成果として設定している場合、[結果の単価]は購入単価に相当します。公平な比較のため、2つのバージョンには同額の予算を割り当てることが推奨されています。広告マネージャでは、ツールバーの[A/Bテスト]から、既存の広告・広告セット・キャンペーンをテンプレートにしてテストを作成できます。変数に[カスタム]を選ぶと、対象のキャンペーンや広告セットを複製したうえで、任意の項目を編集できます。エンハンスを比較する場合は、複製した側でエンハンスの設定だけを変更します。

広告マネージャには、既存のキャンペーンの中でテスト広告を比較するクリエイティブテストもあります。クリエイティブテストは、入札戦略が最大数量のキャンペーンでのみ利用できます。テスト予算は既存予算の20%以内が推奨され、結果に信頼性レベルは表示されません。テスト広告ごとにエンハンスの設定を変えられるかは記載がないため、管理画面で確認してください。テスト予算の規模が判断に及ぼす影響は、「テストの期間」の章で試算します。

テストするエンハンスの選び方:表示内容で採否が決まるものを先に除き、残りを3つのグループに分ける

よくある場面

担当者が、オンになっている10種類以上のエンハンスについて、1種類ずつA/Bテストを行う計画を立てている。

エンハンスを1種類ずつ検証すると、テストの回数が増え、判断までの期間が長くなります。先に[詳細プレビュー]で表示内容を確認し、自社の広告表現の基準に合わないものはテストせずにオフにします。残りは3つのグループに分け、1回のテストでオンとオフを切り替えるのは1つのグループだけにします。

Meta広告でAdvantage+ クリエイティブのエンハンスを検証する手順:[詳細プレビュー]で表示内容を確認し、広告表現の基準に合わないものはテストせずにオフにして、残りを3つのグループに分け、1回のテストで1つのグループのオンとオフだけを切り替える
表示内容の確認で採否を決められるエンハンスは、購入単価の比較を待たずに結論を出す。

最初に、エンハンスが適用された表示内容を確認します。公式ヘルプは、広告を公開する前に、エンハンスによってクリエイティブがどのように調整されるかをプレビューで確認するよう案内しています。[詳細プレビュー]の[Advantage+ クリエイティブ]タブでは、エンハンスによる最適化の内容を確認できます。特に確認が必要なのは、テキストのグループです。例えば、[メディアテキストを強化]では、元のテキストオーバーレイ(画像に重ねた文字)が別の表現に言い換えられることがあり、同機能のプレビューで公開前にバリエーションを確認できます。[CTAエンハンス]では、[購入する]などのCTAに「X オフ」や「送料無料」といった情報が追加されることがあり、[カスタマイズ]で表示されるプロモーションを確認して、表示したくないものの選択を解除できます。化粧品など広告で使用できる表現に制約がある商品では、確認した文言が自社の基準に合わない場合、購入単価を比較する前に、その文言を表示するエンハンスをオフにします。

次に、残りのエンハンスを表1の3つのグループに分けます。公式ヘルプ「A/Bテストのベストプラクティス」は、テストする変数を1つに絞り、それ以外はすべて同じ内容にすることを推奨しています。この記事では、1グループのオンとオフを1つの変数として扱い、1回のテストで切り替えるのはそのグループだけにします。1種類ずつ検証しないのは、判断までの期間が長くなるためです。次の章のF社の例では、各バージョン約130件の購入を集めるのに30日程度を要します。10種類を1種類ずつ検証すると、すべての判断を終えるまでに10か月程度かかります。

テキストのグループのオンとオフを切り替える場合は、[テキストを利用者ごとに最適化]の状態にも注意が必要です。この機能のヘルプによると、画像広告でこの機能を無効にするには、[ビジュアルのタッチアップ]、[関連度が高いコメント]、[オーバーレイを追加]、[テキストの改善]の4つのエンハンスをすべてオフにします。動画広告では、[動画のタッチアップ]、[関連度が高いコメント]、[テキストの改善]の3つをオフにします。このうち、[ビジュアルのタッチアップ]と[動画のタッチアップ]は画像・動画のグループ、[関連度が高いコメント]は情報や表示形式のグループに含まれます。このため、テキストのグループだけをオフにしたバージョンでも、この機能が有効なままになる可能性があります。テストの前に、広告の編集画面の[広告クリエイティブ]で[テキストを利用者ごとに最適化]の状態を確認し、2つのバージョンの違いを記録します。

テストの順序は、テキストのグループ、画像・動画のグループ、情報や表示形式のグループの順を提案します。テキストのグループを最初にするのは、表示されるメッセージへの影響が大きいためです。なお、この順序はMetaが定めたものではありません。

テストの期間:各バージョンの購入件数から偶然の範囲を計算し、必要な期間を見積もる

よくある場面

担当者が、A/Bテストを7日間で終了し、購入単価が低かったバージョンの設定を、すべての広告に反映しようとしている。

購入件数は、同じ条件で配信しても偶然によって変動します。2つのバージョンの消化金額がほぼ同じ場合、偶然によって生じうる購入件数の差の目安は「2×√(2つのバージョンの購入件数の合計)」です。この記事では、この目安を「偶然の範囲」と呼びます。件数が少ないほど、偶然の範囲が1バージョンの件数に占める割合は大きくなるため、テストの期間は、各バージョンの購入件数が十分に集まる長さに設定します。

Meta広告のA/Bテストで、各バージョンの購入件数ごとに、偶然の範囲(偶然によって生じうる購入件数の差の目安)を1バージョンの件数に対する割合で示した横棒グラフ:各25件で57%、各50件で40%、各100件で28%、各130件で25%、各200件で20%、各400件で14%(試算)
2つのバージョンの購入件数が等しく、消化金額がほぼ同じ場合の目安。購入件数の変動をポアソン分布で近似した試算であり、Metaの判定基準ではない。各130件は、診断サンプルの架空の会社(F社)の規模で30日間テストした場合の見込み。

同じ広告を同じ予算で配信しても、購入件数は週ごとに変動します。ポアソン分布による近似では、1つのバージョンの購入件数の偶然による変動幅(標準偏差)は、その件数の平方根程度です。2つのバージョンの購入件数の差の標準偏差は、2つの件数の合計の平方根程度になります。その約2倍(約95%の範囲)を目安とすると、偶然の範囲は次の式で計算できます。

偶然の範囲 = 2 × √(バージョンAの購入件数 + バージョンBの購入件数)

例えば、各バージョンの購入件数が50件の場合、偶然の範囲は2×√100=20件で、1バージョンの件数の40%にあたります。各200件では2×√400=40件で、20%です。購入件数が4倍になっても偶然の範囲は2倍にしかならないため、件数が多いほど、小さな差でも偶然によるものかを判断できるようになります。この式は判断のための目安であり、Metaの判定基準ではありません。

診断サンプルの架空の会社(F社)の例で、テストの期間を見積もります。F社の「Advantage+ セールス|全商品」キャンペーンの12か月の実績は、消化金額9,113,704円、重複を除いた購入3,151件、購入単価2,892円です。週あたりの購入件数は約60件(3,151件÷365日×7日)です。この規模の購入がA/Bテストの2つのバージョンに半分ずつ配分されると仮定した場合、各バージョンの購入件数は週約30件、30日間で約130件です。このときの偶然の範囲は2×√260=約32件で、1バージョンの件数の約25%にあたります。30日間テストしても、購入件数の差が約32件に満たない場合は偶然の範囲に収まり、エンハンスの設定による差とは判断できません。

消化金額がより小さいキャンペーンでは、判断できる差はさらに大きなものに限られます。説明用の仮定として、F社と同じ購入単価で、30日間の消化金額が30万円のキャンペーンを2つのバージョンに半分ずつ分けた場合、各バージョンの購入件数は約52件(150,000円÷2,892円)です。偶然の範囲は2×√104=約20件で、1バージョンの件数の約39%にあたります。

クリエイティブテストで同じ比較を行う場合は、件数がさらに少なくなります。推奨に沿って既存予算の20%をテストに充てると、F社(診断サンプルの架空の会社)のこのキャンペーンでは、テスト予算は週約35,000円(週の消化金額約174,800円の20%)になります。購入単価が変わらないと仮定した場合、テスト広告全体の購入件数は週約12件で、2本に半分ずつ配分されれば各約6件、30日間で各約26件です。偶然の範囲は2×√52=約14件で、1本の件数の約55%にあたるため、差がエンハンスの設定によるものかを判断するには件数が不足します。

A/Bテストの期間について、公式ヘルプは7日間以上の実施を推奨し、上限を30日としています。利用者が広告を見てから購入するまでに8日以上かかることが分かっている商品では、期間をより長く(10日など)設定する例が示されています。30日間で必要な件数に届かない見込みの場合は、テスト予算を増やすか、テストしているグループについてはテスト前の設定を維持します。

なお、この試算は、購入件数が正しく計上されていることが前提です。MetaピクセルとコンバージョンAPIの両方から送信された購入イベントが重複して計上されていないかの確認方法は、購入の二重計上に関する記事で解説しています。

残すエンハンスの判断:購入件数の差が偶然の範囲を超えたかどうかで採否を決め、一括編集で反映する

よくある場面

担当者が、A/Bテストでテキストのグループをオフにしたバージョンの購入単価がオンのバージョンより約10%高かったため、テキストのグループをオンのまま残そうとしている。

2つのバージョンの消化金額がほぼ同じ場合は、購入件数の差を偶然の範囲と比較します。差が偶然の範囲を超えた場合に限り、購入単価が低いバージョンの設定を採用します。差が偶然の範囲に収まる場合は、購入単価からは採否を判断できないため、テスト前の設定を維持します。決定した設定は、一括編集で一度に反映します。

Meta広告でAdvantage+ クリエイティブのエンハンスの採否を判断する図:A/Bテストの購入件数の差が偶然の範囲を超えた場合は購入単価が低いほうの設定を採用し、偶然の範囲に収まる場合はテスト前の設定を維持する
偶然の範囲は2×√(2つのバージョンの購入件数の合計)。両バージョンの消化金額がほぼ同じ場合に用いる。

以下は説明用の架空の数字です。テキストのグループをオンにしたバージョンとオフにしたバージョンを、30日間のA/Bテストで比較した例です。消化金額は、どちらも375,000円とします。

バージョン消化金額購入件数購入単価
テキストのグループがオン375,000円130件2,885円
テキストのグループがオフ375,000円118件3,178円

(購入単価は1円未満を四捨五入)

オフのバージョンの購入単価はオンのバージョンより約10%高いものの、購入件数の差は12件(130件−118件)で、偶然の範囲である2×√248=約31件に収まります。したがって、この結果からは、テキストのグループをオンにしたほうが購入単価が低いとは判断できません。なお、公式ヘルプによると、A/Bテストの結果画面では、「勝者」(パフォーマンスが最も高いバージョン)が見つからなかった場合は、テストの概要と、可能であれば次のステップの推奨事項が表示されます。データの収集期間が不足していた場合は、テストの延長が推奨されます。

購入件数の差が偶然の範囲に収まる場合、購入単価にはオンとオフのどちらかを選ぶ根拠がないため、テスト前の設定を維持します。設定を変更すると、情報収集期間に再び入る可能性があるためです(後述)。この例では、テキストのグループはテスト前にオンだったため、オンのまま残します。ただし、この結果は、テキストのグループをオフで配信している別の広告で、そのグループをオンにする根拠にはなりません。差を判断したい場合は、テスト予算を増やすか期間を延ばし、購入件数を増やしたうえで改めてテストします。また、配信中に表示内容を確認し、自社の基準に合わない文言が見つかった場合は、テストの結果にかかわらず、その文言を表示するエンハンスをオフにします。

購入単価の差がCPM・CTR・CVRのいずれに起因するかは、購入単価の分解に関する記事の方法で確認できます。ROASで評価している場合も、購入件数の差で判断します。購入金額は1件ごとに異なるため、ROASの差には購入件数の変動に加えて金額のばらつきも含まれ、購入件数の差より偶然の影響を大きく受けます。

決定した設定は、一括編集の画面の[選択したすべての広告を編集]で反映します。オンにするエンハンスを選び、オフにするものの選択を解除すると、その内容が対象の広告ごとに適用されます。フォーマットが混在する場合は、フォーマットごとに分けて編集します。一括編集の画面に表示されないエンハンスがある場合は、広告1本ごとに[詳細プレビュー]でオフにします。

公式ヘルプは、広告セットが再び情報収集期間に入る「大幅な編集」の例として、クリエイティブの変更を挙げています。エンハンスのオンとオフの切り替えがこれに含まれるかは明記されていないため、情報収集期間に再び入る可能性を考慮して、変更は一度に行います。変更後は、変更前と同じ日数の期間で購入単価を比較し、情報収集期間に入ったことによる成果の悪化が続いていないかを確認します(この比較は、エンハンスの効果の判断には用いません)。情報収集期間と大幅な編集の詳細は、情報収集期間と広告セットの統合に関する記事で解説しています。

新しく作成する広告では、一部のエンハンスが再び初期状態でオンになることがあります。作成のたびに[デフォルトを確認]を開き、テストで決めた設定にそろえます。A/Bテストで検証していない機能の自動適用を避ける場合は、[新しいクリエイティブ機能をテスト]の選択を解除します。また、公式ヘルプの一覧を定期的に確認し、エンハンスが新たに追加されていた場合は、それが属するグループで改めてテストします。

TAMKOのMeta広告アカウント診断で確認すること

TAMKOのMeta広告アカウント診断では、購入件数を正しく集計したうえで、キャンペーンごとの費用対効果を確認します。

Meta広告アカウント診断の結果の伝え方:改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添える
判断できないものには、A/Bテストの設計などの検証の方法を添える。

診断で確認する項目には、「Metaピクセルとコンバージョン APIの重複排除と、購入の数の正しさ」と「Advantage+ セールスキャンペーンと手動のキャンペーンの分け方」が含まれます。エンハンスのA/Bテストのように購入件数で判断する検証は、その件数が正しく計上されていることが前提です。改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添えます。診断・報告書・説明会まで無料(毎月2社まで)。エグゼクティブサマリー・調査報告書・分析の明細(Excel)をお渡しし、オンラインの説明会を1回行います。

エンハンスのA/Bテストの実施や設定の変更までご依頼いただく場合は、Meta広告のお試し運用から始められます。1施策を、1か月・5万円でお預かりします(税別)。お預かりする施策の広告費は月30万円までです。この上限の規模では、「テストの期間」の章の試算のとおり、F社と同じ購入単価の場合、30日間のA/Bテストで判断できるのは購入件数に約4割の差がある場合に限られます。

詳しい内容は、診断ページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q01Advantage+ クリエイティブのエンハンスを、一度にすべてオフにできますか?

1本の広告では、[詳細プレビュー]の[Advantage+ クリエイティブ]タブで[すべての最適化]をオフにすると、全エンハンスを一度に無効にできます。

公式ヘルプ「Meta広告マネージャで[テキストを利用者ごとに最適化]機能をオンまたはオフにする」に、この手順が記載されています。複数の広告を一括で変更する場合は、一括編集の画面を使います(選択した広告のフォーマットが同じ場合に限ります)。なお、キャンペーンの目的に「認知」を選択する場合や、ダイナミッククリエイティブを使用する場合は、Advantage+ クリエイティブをオンにできません。

Q02エンハンスで生成・編集された広告画像には、生成AIの使用を示す表示が付きますか?

表示が付く場合があります。

公式ヘルプによると、Metaの生成AI機能で作成または大幅に編集された広告画像については、3点メニュー内の[この広告について]画面に[AI情報]が表示されるか、[広告]ラベルの横に[AI情報]ラベルが付く場合があります。

Q03[テキスト生成]と[テキストの改善]には、どのような違いがありますか?

[テキスト生成]はメインテキストと見出しのバリエーションを作成する機能、[テキストの改善]は広告文に含まれる語句をテキストオーバーレイや見出しとして表示する機能です。

[テキスト生成]では、メインテキストと見出しのバリエーションを最大5つ作成できるほか、ペルソナを使用して作成することもできます。[テキストの改善]は、広告文から重要な語句を取り出し、テキストオーバーレイ、フッター、見出しとして、クリエイティブの上や周囲に表示します。この記事の分け方では、どちらもテキストのグループに含まれるため、表示される文言の確認が必要です。

Q04管理画面に表示されないエンハンスがあるのはなぜですか?

広告フォーマット・配置・カタログ使用の有無のほか、業種や国などによって、利用できるエンハンスが異なるためです。

エンハンスの一覧には、Advantage+ カタログ広告やカルーセル広告でのみ利用できるエンハンスが含まれています。また、特定の業種(金融サービス、製薬および健康など)、特別な広告カテゴリ、一部の国では、生成AIの一部の機能を直ちに利用できない場合があります。なお、アカウント単位の[新しいクリエイティブ機能をテスト]も、対象となる広告主にだけ表示される設定です。

Advantage+ クリエイティブのエンハンスの採否は、グループごとのA/Bテストで購入件数の差を確認して判断する|まとめ

Advantage+ クリエイティブのエンハンスは、公式ヘルプの一覧で31種類あり、一部は初期状態または公開時に自動でオンになります。配信中の広告の設定は、一括編集の画面と[詳細プレビュー]の両方で確認します。レポートの内訳にはエンハンス別の項目が記載されていないため、エンハンスの効果は、その設定だけが異なる2つのバージョンをA/Bテストで比較して確認します。表現の基準に合わないものはテストせずにオフにし、残りは3つのグループに分け、1回のテストで1つのグループだけを切り替えます。購入件数の差が偶然の範囲(2×√(2つのバージョンの購入件数の合計))を超えた場合に限り購入単価が低い設定を採用し、偶然の範囲に収まる場合はテスト前の設定を維持します。

この記事のポイント

  • Advantage+ クリエイティブのエンハンスは、公式ヘルプの一覧で31種類ある。一部は、初期状態または公開時に自動でオンになる。
  • 配信中の広告に設定されたエンハンスは、一括編集の画面と[詳細プレビュー]の両方で確認する。広告アカウント全体については、[新しいクリエイティブ機能をテスト]の状態も確認する。
  • レポートの内訳にエンハンス別の項目は記載されていない。エンハンスの効果は、その設定だけが異なる2つのバージョンをA/Bテストで比較して確認する。
  • 表現の基準に合わないエンハンスはテストせずにオフにし、残りは3つのグループに分けて、1回のテストでオンとオフを切り替えるのは1つのグループだけにする。
  • 偶然の範囲(偶然によって生じうる購入件数の差の目安)は、2×√(2つのバージョンの購入件数の合計)である。差が偶然の範囲に収まる場合は購入単価では判断せず、テスト前の設定を維持する。