TAMKO
計測と評価

Meta広告でインクリメンタルアトリビューションに切り替える前に、既存のキャンペーンでインクリメンタル比率と購入単価の順位を確認し、切り替えた後の評価の基準を決める

Meta広告の広告セットを作成する画面では、アトリビューションモデルとして、標準アトリビューションのほかに[インクリメンタル]を選択できます。[インクリメンタル]への切り替えを検討する際に、インクリメンタルアトリビューションで計上される購入件数がこれまでとどの程度異なるかを確認しないまま、新しいキャンペーンを作成する例が見られます。

Metaの公式ヘルプによると、インクリメンタルアトリビューションで計上されるのは、広告によって発生したと予測される購入だけです。そのため同じ広告でも、標準アトリビューションと比較して購入件数は少なく、購入単価は高く表示されます。また、アトリビューションモデルはキャンペーンの公開後に変更できません。

この切り替えに関して、よく見られる場面は次の3つです。

本記事では、Metaビジネスヘルプセンターの記載に基づき、インクリメンタルアトリビューションに切り替える前に行う手順を整理します。具体的には、既存のキャンペーンと広告セットで2つのアトリビューションモデルの結果を表示し、インクリメンタル比率(インクリメンタルアトリビューションの購入件数÷標準アトリビューションの購入件数)と購入単価の順位を確認したうえで、切り替えた後の評価の基準を決めます。

本記事の対象は、ECサイトでの購入をコンバージョンとしてMeta広告を運用し、購入単価やROASで成果を評価している担当者の方です。

解説は、Meta広告のアカウント診断で購入の計上方法を確認しているTAMKOが担当します。

【結論】インクリメンタルアトリビューションに切り替える前に、既存のキャンペーンで、標準とインクリメンタルの両方のアトリビューションモデルによる結果を確認する

Meta広告のアトリビューションモデルはキャンペーンの公開後に変更できないため、標準アトリビューションから切り替えるには、新しいキャンペーンを作成する必要があります。新しいキャンペーンを作成する前に、既存のキャンペーンと広告セットで[アトリビューションモデルを比較]から[インクリメンタル]を選択し、インクリメンタルアトリビューションに基づく結果を表示します。そのうえで、判断に十分な購入件数があるかを見極め、インクリメンタル比率と購入単価の順位を確認して、切り替え元のキャンペーンと、切り替えた後の評価の基準を決めます。

Meta広告で、インクリメンタルアトリビューションに切り替える前に行う4つの手順の図:①既存のキャンペーンと広告セットで2つのアトリビューションモデルの結果を表示する、②購入件数が判断に十分かを確認する、③インクリメンタル比率を算出する、④購入単価の順位をアトリビューションモデルごとに付け、評価の基準を決める
アトリビューションモデルはキャンペーンの公開後に変更できない。そのため、新しいキャンペーンを作成する前に、既存のキャンペーンの数字から、切り替えた後の変化を見込む。

切り替える前に確認する理由は3つあります。1つ目は、アトリビューションモデルが異なる広告セットの結果は、キャンペーン概要テーブルでは比較できないことです。2つ目は、アトリビューションモデルがインクリメンタルの場合は計上される購入が少なくなり、同じ広告でも購入単価が高く表示されることです。3つ目は、キャンペーンの購入単価の順位が、2つのアトリビューションモデルで異なる場合があることです。

既存のキャンペーンと広告セットの結果は、アトリビューションモデルの設定を変えずに、インクリメンタルアトリビューションに基づく数字として表示できます。この数字から、切り替えた後の変化を見込み、評価の基準を決めておきます。

本記事では、既存のキャンペーンのうち、インクリメンタルアトリビューションで作り直すものを「切り替え元のキャンペーン」と呼びます。また、切り替え元のキャンペーンについて、切り替える前の期間にインクリメンタルアトリビューションで算出した購入単価を「評価の基準」と呼びます。

インクリメンタルアトリビューションとは:標準アトリビューションとの違い

よくある場面

広告セットの作成画面に、アトリビューションモデルの選択肢として[インクリメンタル]が表示されているが、標準アトリビューションとの違いを把握できていない。

インクリメンタルアトリビューションで計上するのは、広告によって発生したと予測される購入(インクリメンタルコンバージョン)だけで、配信もこのコンバージョンを対象に最適化されます。標準アトリビューションは、アトリビューション設定で選択した期間内に、広告のリンククリック・インプレッション・リンク以外のクリックの後に発生した購入をすべて計上します。どちらのモデルも、広告セットを作成する際に選択します。

Meta広告の標準アトリビューションとインクリメンタルアトリビューションを比較した図:標準アトリビューションはアトリビューション設定の期間内の購入をすべて計上する。インクリメンタルアトリビューションで計上するのは、広告によって発生したと予測される購入だけで、その購入を対象に配信を最適化する
どちらのアトリビューションモデルも、広告セットを作成する際に選択する。アトリビューション設定(クリックスルー1日・7日、ビュースルー1日、エンゲージスルー1日)を選択できるのは、標準アトリビューションだけ。

アトリビューションモデルを説明した公式ヘルプによると、アトリビューションモデルには標準・インクリメンタル・カスタムの3つがあり、選択したモデルは、広告の配信と、どのコンバージョンを成果として計上するかの両方に反映されます。カスタムアトリビューションは、外部の分析ツールのアトリビューションデータをMetaと共有する方式です。

標準アトリビューションでは、さらにアトリビューション設定を選択し、選択した期間と利用者の行動をもとに配信が最適化されます。Webサイトのコンバージョンでは、リンククリックから1日または7日以内のクリックスルー、インプレッションから1日以内のビュースルー、リンク以外のクリック(動画広告では5秒以上の再生などを含む)から1日以内のエンゲージスルーを利用できます。

一方、インクリメンタルアトリビューションでは、コンバージョンが広告によって発生したかどうかをMetaが予測し、インクリメンタルコンバージョンを対象に配信が最適化されます。

なお、本記事の「インクリメンタルアトリビューションの購入単価」は、広告によって発生したとMetaが予測した購入をもとに計算します。予算の増額前後の費用と購入件数の差から計算する「増額分の購入単価」とは別の指標で、増額分の購入単価は予算の増額を扱った記事で説明しています。

インクリメンタルアトリビューションを利用できる条件と、切り替えに伴う3つの制約

よくある場面

公開済みのキャンペーンで、アトリビューションモデルをインクリメンタルに変更できない。

インクリメンタルアトリビューションは、キャンペーンの目的が[売上]・[エンゲージメント]・[リード]のいずれかで、コンバージョンの場所が[ウェブサイト]または[ウェブサイトとアプリ]、コンバージョンの目標が[コンバージョン数の最大化]または[コンバージョン値の最大化]の広告セットで選択できます。アトリビューションモデルはキャンペーンの公開後に変更できず、入札コントロールも使用できません。また、新しく作成した広告セットは、情報収集期間から始まります。

Meta広告で、インクリメンタルアトリビューションに切り替える際の3つの制約をまとめた図:キャンペーンの公開後はアトリビューションモデルを変更できないため、新しいキャンペーンを作成する。入札コントロールを使用できない。新しい広告セットは情報収集期間から始まる
制約は、Metaビジネスヘルプセンター「Meta広告マネージャでインクリメンタルアトリビューションを使用する方法」と「情報収集期間について」の記載による。

使用方法を説明した公式ヘルプの設定の手順では、キャンペーンの目的として[売上]・[エンゲージメント]・[リード]のいずれかを選びます。広告セットでは、コンバージョンの場所を[ウェブサイト]または[ウェブサイトとアプリ]とし、[コンバージョンの目標]を[コンバージョン数の最大化]または[コンバージョン値の最大化]に設定します。続いて[その他のオプション]を開き、[アトリビューションモデル]の[オプション]で[インクリメンタル]を選択します。

切り替えに伴う制約は、次の3つです。

  1. キャンペーンの公開後は、アトリビューションモデルを変更できない:変更する場合は新しいキャンペーンを作成するよう、使用方法を説明した公式ヘルプで案内されています。そのため、新しいキャンペーンの結果を、切り替え元のキャンペーンの結果と比較する手順が必要になります。
  2. 入札コントロールを使用できない:この制約は、同じヘルプの設定の手順に注記として記載されています。どの入札戦略が入札コントロールにあたるかは、このヘルプには記載されていません。既存の広告セットで結果の単価目標・ROAS目標・入札価格上限のいずれかを使用している場合は、新しい広告セットの作成画面で、選択できる入札戦略を確認します。
  3. 新しい広告セットは情報収集期間から始まる:情報収集期間は広告セットの作成時に始まり、通常は広告セットが1週間以内に約50件の結果を獲得した後に終了します。この期間はパフォーマンスが安定せず、通常は購入単価が高くなるため、評価は情報収集期間の終了後の週で行います。なお、アトリビューションモデルがインクリメンタルの広告セットで、約50件の結果にどの購入が計上されるかは、公式ヘルプに記載がありません。情報収集期間の詳細は、「情報収集が不十分」を扱った記事で説明しています。

[アトリビューションモデルを比較]:既存のキャンペーンと広告セットについて、インクリメンタルアトリビューションに基づく結果を表示する

よくある場面

インクリメンタルアトリビューションに切り替える前に、既存の広告セットの購入件数がインクリメンタルアトリビューションではどの程度になるかを確認する必要がある。

標準アトリビューションのキャンペーンや広告セットでも、[列: パフォーマンス]の[アトリビューションモデルを比較]から[インクリメンタル]を選択すると、インクリメンタルアトリビューションに基づく結果を表示できます。2025年4月1日より前は対象外のため、集計期間はそれ以降に設定します。

Meta広告の[結果]列で、標準アトリビューションの100件のうち70件がインクリメンタルとみなされ、インクリメンタルアトリビューションの件数として表示されることを示した図。この場合のインクリメンタル比率は70%
件数は、Metaビジネスヘルプセンター「Meta広告マネージャでインクリメンタルアトリビューションの結果を確認する方法」の例による。この場合のインクリメンタル比率は、70件÷100件=70%。

表示の手順は次のとおりです。

  1. 広告マネージャで[キャンペーン]または[広告セット]をクリックする
  2. [列: パフォーマンス]のドロップダウンメニューをクリックする
  3. [アトリビューションモデルを比較]から[インクリメンタル]を選択する
  4. [適用]をクリックする

[適用]をクリックすると、インクリメンタルアトリビューションに基づく値が表示されます。結果の確認方法を説明した公式ヘルプによると、この値にはインクリメンタルとみなされるコンバージョンだけが含まれ、結果の単価(本記事の購入単価)などの派生指標も同じ件数をもとに計算されます。

同じヘルプの例では、合計100件のコンバージョンのうち70件がインクリメンタルとみなされた場合、[結果]列の件数は、インクリメンタルアトリビューションが70件、標準アトリビューションが100件です。本記事では、この70件÷100件=70%のように、インクリメンタルアトリビューションの購入件数を標準アトリビューションの購入件数で割った値を「インクリメンタル比率」と呼びます。

同じヘルプでは、インクリメンタルと標準のように異なるアトリビューションモデルの間ではなく、同じモデルの中で結果を比較することが推奨されています。そのため、インクリメンタル比率は、成果の優劣を判断するためではなく、切り替えた後に数字がどの程度変わるかを見込むために使います。

購入イベントが二重に計上されている場合は、標準アトリビューションの購入件数が実際の注文より多く表示され、インクリメンタル比率の分母が大きくなります。比率を算出する前に、購入の二重計上を扱った記事の手順で、購入イベントの数とストアの注文数を照合します。

購入件数の少ない広告セット:集計期間を延ばすか、キャンペーン単位で合計してインクリメンタル比率を算出する

よくある場面

週の購入件数が10件前後の広告セットで、インクリメンタル比率が週ごとに大きく変動している。

購入件数の少ない広告セットでは、1件の増減でインクリメンタル比率が大きく変わります。1件あたりの変動幅(100÷標準アトリビューションの購入件数)を計算し、その幅が、比較する広告セット間で生じているインクリメンタル比率の差より十分小さくなるまで、集計期間を延ばします。延ばしても件数が足りない場合は、キャンペーン単位で合計して比率を算出します。

Meta広告の広告セットで、集計期間を1週・4週・12週と延ばすと、1件あたりの変動幅(購入1件の増減でインクリメンタル比率が変わる幅)が約9.4ポイント・約2.4ポイント・約0.8ポイントと小さくなることを示した図(週10.6件の広告セットの場合)
1件あたりの変動幅(ポイント)=100÷標準アトリビューションの購入件数。F社の例で、12週は週10.6件の購入が続くと仮定した説明用の値。統計的な検定の基準ではない。

標準アトリビューションの購入件数が少ない広告セットは、インクリメンタルアトリビューションに基づく購入件数がさらに少なくなります。本記事では、購入1件の増減でインクリメンタル比率が変わる幅を「1件あたりの変動幅」と呼び、100を標準アトリビューションの購入件数で割った値(ポイント)で表します。

F社の手動|新規(興味・関心)には8つの広告セットがあり、直近4週の平均で、標準アトリビューションの週の購入件数は最も多い「ヨガ・ウェルネス」で10.6件、最も少ない「20代・スキンケア」で1.3件です(診断サンプルの架空の会社の例)。8つすべて、[配信]列の表示は「情報収集が不十分」です。

ヨガ・ウェルネスの場合、1週の集計では1件あたりの変動幅が約9.4ポイント、直近4週の合計(約42件)では約2.4ポイントです。説明用に、同じ件数が12週続くと仮定すると、約127件で約0.8ポイントになります。20代・スキンケアは、12週(約16件)で集計しても約6.4ポイントです。

本記事では目安として、1件あたりの変動幅が、比較する広告セット間で生じているインクリメンタル比率の差より十分小さくなるまで、集計期間を延ばします。例えば、インクリメンタル比率が68%と45%の2つの広告セットを比較し、どちらも4週で約42件(1件あたりの変動幅が約2.4ポイント)の場合、差の23ポイントは約10件分の購入にあたります(説明用の想定)。この目安は統計的な検定ではないため、比率の差が数件分の購入にとどまる場合は、判断を保留します。

集計期間を延ばしても件数が足りない場合は、[キャンペーン]のタブで同じ列を表示し、キャンペーン単位で合計して比率を算出します。F社の手動|新規(興味・関心)の8つの広告セットを合計すると週48件で、4週の集計では1件あたりの変動幅は約0.5ポイントです。F社の例は、次の章から、キャンペーン単位の値で示します。

件数の少ない広告セットをそのまま新しいキャンペーンに移すと、移行後も情報収集期間が終了しない可能性があります。広告セットをまとめて件数を増やす方法は、「情報収集が不十分」を扱った記事で説明しています。

キャンペーン別のインクリメンタル比率:切り替えた後に購入件数と購入単価がどの程度変わるかを見込む

よくある場面

広告マネージャで表示したインクリメンタルアトリビューションの購入単価が、標準アトリビューションの約2倍になっている。

インクリメンタルアトリビューションの購入単価は、標準アトリビューションの購入単価をインクリメンタル比率で割った値になります。比率が低いキャンペーンほど、標準アトリビューションからの倍率(1÷インクリメンタル比率)が大きくなります。2つのモデルでは計上する購入が異なるため、この差は成果の悪化を示すものではありません。

Meta広告のインクリメンタル比率をキャンペーンごとに示した横棒グラフ:F社の例では、手動|新規(興味・関心)が68.0%、手動|新商品(美容液)が59.9%、Advantage+ セールス|全商品が45.0%、手動|リターゲティングが24.0%(説明用の架空の数字)
比率が低いほど、切り替えた後の購入単価の、標準アトリビューションからの倍率は大きくなる。診断サンプルの架空の会社(F社)の例で、インクリメンタルアトリビューションの購入件数は説明用の架空の数字。

診断サンプルの架空の会社(F社・スキンケアブランド・自社EC)の12か月間(2025年10月1日〜2026年9月30日)のデータを例にします。前の章のとおり広告セットの購入件数が少ないため、キャンペーン内の広告セットを合計したキャンペーン単位で示します。費用と標準アトリビューションの購入件数(二重計上を除いた件数)は診断サンプルの数字です。一方、インクリメンタルアトリビューションの購入件数は、二重計上を除いた件数として想定した説明用の架空の数字です。

キャンペーン(広告セットの数)費用購入件数(標準)購入件数(インクリメンタル)インクリメンタル比率購入単価(標準)購入単価(インクリメンタル)
手動|新規(興味・関心)(8)12,525,001円3,187件2,167件68.0%3,930円5,780円
Advantage+ セールス|全商品(1)9,113,704円3,151件1,418件45.0%2,892円6,427円
手動|リターゲティング(2)3,286,388円1,596件383件24.0%2,059円8,581円
手動|新商品(美容液)(2)1,459,167円372件223件59.9%3,922円6,543円
アカウント全体(13)26,384,260円8,306件4,191件50.5%3,177円6,295円

アカウント全体のインクリメンタル比率は50.5%で、購入単価は、標準アトリビューションでは3,177円、インクリメンタルアトリビューションでは6,295円です(約1.98倍)。手動|リターゲティングは比率が24.0%のため、購入単価は2,059円から8,581円(約4.2倍)になります。一方、手動|新商品(美容液)は比率が59.9%で倍率は約1.7倍ですが、標準アトリビューションの購入単価が高く、インクリメンタルアトリビューションの購入単価(6,543円)はAdvantage+ セールス|全商品(6,427円)を上回ります。

切り替えた後の購入単価を、標準アトリビューションの購入件数をもとに決めた目標値と比較すると、成果が悪化したと誤って判断するおそれがあります。比較の相手は、切り替え元のキャンペーンについて、同じインクリメンタルアトリビューションで算出した購入単価です(次の章で説明します)。

インクリメンタル比率がキャンペーンごとに異なる理由について、公式ヘルプの説明は、広告によって発生したかどうかをMetaが予測するという内容にとどまります。参考として、購入のうち既存顧客が占める割合を確認できます。F社の例では、既存顧客の割合(手動|新規(興味・関心)12.9%・手動|新商品(美容液)19.1%・Advantage+ セールス|全商品61.8%・手動|リターゲティング84.5%)が高いキャンペーンほど、インクリメンタル比率が低いと想定しています。既存顧客の割合の算出方法は、Advantage+ セールスキャンペーンの既存顧客を扱った記事で説明しています。

キャンペーン別の購入単価の順位と評価の基準:アトリビューションモデルごとに順位を付け、切り替えた後の比較の基準を決める

よくある場面

標準アトリビューションで購入単価が最も低いリターゲティングのキャンペーンの予算を、増額しようとしている。

キャンペーンの購入単価の順位は、標準アトリビューションとインクリメンタルアトリビューションで異なることがあります。2つのモデルそれぞれで順位を付け、順位が変わるキャンペーンを特定します。切り替え元のキャンペーンについては、切り替える前の期間にインクリメンタルアトリビューションで算出した購入単価を、評価の基準として記録します。

Meta広告のキャンペーンの購入単価の順位を、標準アトリビューションとインクリメンタルアトリビューションで比較した図:F社の例では、手動|リターゲティングは標準アトリビューションで1位(2,059円)、インクリメンタルアトリビューションで4位(8,581円)、手動|新規(興味・関心)は4位(3,930円)から1位(5,780円)になる(説明用の架空の数字)
2つのモデルの購入単価どうしは比較しない。診断サンプルの架空の会社(F社)の例で、インクリメンタルアトリビューションの購入単価は、説明用の架空の数字から算出したもの。

F社の例では、標準アトリビューションで購入単価が最も低い手動|リターゲティング(2,059円)は、インクリメンタルアトリビューションでは4位(8,581円)になります。一方、標準アトリビューションで4位の手動|新規(興味・関心)(3,930円)は、インクリメンタルアトリビューションでは1位(5,780円)になります。これらのインクリメンタルアトリビューションでの値は、説明用の架空の数字から算出しています。標準アトリビューションの順位だけを根拠に予算を増額する前に、インクリメンタルアトリビューションでの順位も確認します。予算配分の判断に使うアトリビューションモデルは、キャンペーンごとに変えず、アカウント全体で1つに決めておきます。

切り替えた後は、アトリビューションモデルが異なる広告セットの結果を、キャンペーン概要テーブルで比較することはできません。アトリビューションモデルを説明した公式ヘルプは、正確に比較するにはアトリビューション設定の比較機能を使用するよう案内しています。本記事では、切り替え元のキャンペーンについても[アトリビューションモデルを比較]から[インクリメンタル]を選択し、インクリメンタルアトリビューションに基づく購入単価どうしを比較します。

前の章の表1の値は12か月の集計のため、そのまま評価の基準にはしません。評価の基準は、季節による変動の影響を抑えるため、切り替える直前の数週間について、新しいキャンペーンを評価する期間と同じ週数で算出します。新しいキャンペーンの購入単価は、広告セットの情報収集期間が終了した後に同じ週数で集計し、評価の基準と比較します。

TAMKOのMeta広告アカウント診断で確認すること

TAMKOのMeta広告アカウント診断は、ECサイトでの購入とROASを基準にアカウントを確認します。診断ページに記載している確認項目のうち、本記事の手順に関係するのは、「Metaピクセルとコンバージョン APIの重複排除と、購入の数の正しさ」と「Advantage+ セールスキャンペーンと手動のキャンペーンの分け方」の2つです。購入の計上方法については、診断ページのよくある質問に「アトリビューション設定の期間と新規のお客さまの数え方を、商品の検討期間に合わせてヒアリングで決めてから判断します。」と記載しています。

TAMKOのMeta広告アカウント診断で、購入の計上とキャンペーンの構成に関して確認する3つの項目(購入の数の正しさ、キャンペーンの分け方、購入の数え方)をまとめた図
1と2は診断ページの確認項目、3は診断ページのよくある質問から抜粋した。

納品物の分析の明細(Excel)では、報告書の数字の出どころを、キャンペーン・配置・日別に確認できます。現状の配分を続けてよいという判断も、診断の結論です。改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添えます。料金は、診断ページに記載のとおり「診断・報告書・説明会まで無料(毎月2社まで)」です。

設定の変更までご依頼の場合は、Meta広告のお試し運用をご利用いただけます。お試し運用では、1施策を、1か月・5万円(税別)でお預かりします。お預かりする施策の広告費は月30万円までです。

診断の詳細は、診断ページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q01既存のキャンペーンで、アトリビューションモデルを途中からインクリメンタルに変更できますか?

変更できません。キャンペーンの公開後にアトリビューションモデルは選択し直せないため、新しいキャンペーンを作成して切り替えます。

新しいキャンペーンは、広告セットの情報収集期間が終了した後の週で評価します。比較の相手には、切り替え元のキャンペーンについて、切り替える前の期間にインクリメンタルアトリビューションで算出した購入単価(評価の基準)を使います。

Q02アトリビューションモデルがインクリメンタルの場合も、クリックスルー7日などのアトリビューション設定を選択しますか?

選択しません。アトリビューション設定を選択できるのは、標準アトリビューションだけです。

標準アトリビューションでは、クリックスルー(1日または7日)・ビュースルー(1日)・エンゲージスルー(1日)の中から、購入を計上する期間を選択します。

Q03標準アトリビューションのキャンペーンや広告セットで、インクリメンタルアトリビューションに基づく購入件数を確認できますか?

確認できます。[列: パフォーマンス]の[アトリビューションモデルを比較]から[インクリメンタル]を選択します。

2025年4月1日より前の期間の結果は表示されません。結果の確認方法を説明した公式ヘルプでは、異なるアトリビューションモデルの間ではなく、同じモデルの中で結果を比較することが推奨されています。

Q04インクリメンタルアトリビューションの購入件数は、実験で計測した、広告による購入の増加分と同じですか?

同じではありません。アトリビューションモデルがインクリメンタルの場合の購入件数は、Metaの予測による値で、実験で計測したものではありません。

実験で計測する方法として、Metaにはコンバージョンリフトテストがあります。この手法では、広告を見る機会があるテストグループと、広告が表示されないコントロールグループを比較します。実施には、コンバージョンAPIなど質の高いコンバージョンのデータソースが1つ以上必要です。

インクリメンタルアトリビューションに切り替える前に、インクリメンタル比率と購入単価の順位を確認し、切り替えた後の評価の基準を決める|まとめ

Meta広告のアトリビューションモデルのうち、インクリメンタルアトリビューションで計上されるのは、広告によって発生したと予測される購入だけです。アトリビューションモデルはキャンペーンの公開後に変更できないため、切り替える前に、既存のキャンペーンと広告セットで[アトリビューションモデルを比較]から[インクリメンタル]を選択し、インクリメンタルアトリビューションに基づく結果を表示します。購入件数の少ない広告セットは、1件あたりの変動幅を計算し、集計期間を延ばすか、キャンペーン単位で合計します。切り替えた後の購入件数と購入単価の変化はインクリメンタル比率から見込み、購入単価の順位はアトリビューションモデルごとに付けます。そのうえで、切り替え元のキャンペーンについて切り替える前の期間にインクリメンタルアトリビューションで算出した購入単価を評価の基準とし、情報収集期間が終了した後の新しいキャンペーンの購入単価と比較します。

この記事のポイント

  • Meta広告のアトリビューションモデルのうち、インクリメンタルアトリビューションで計上されるのは、広告によって発生したと予測される購入(インクリメンタルコンバージョン)だけで、その購入を対象に配信が最適化される。アトリビューション設定(クリックスルー・ビュースルー・エンゲージスルー)を選択できるのは、標準アトリビューションだけ。
  • アトリビューションモデルはキャンペーンの公開後に変更できず、切り替えるには新しいキャンペーンを作成する必要がある。入札コントロールは使用できず、新しい広告セットは情報収集期間から始まる。
  • 標準アトリビューションのキャンペーンや広告セットでも、[アトリビューションモデルを比較]から[インクリメンタル]を選択すると、2025年4月1日以降の期間について、インクリメンタルアトリビューションに基づく結果を表示できる。Metaは、同じアトリビューションモデルの中で結果を比較することを推奨している。
  • 購入件数の少ない広告セットは、1件あたりの変動幅(100÷標準アトリビューションの購入件数)を計算し、集計期間を延ばすか、キャンペーン単位で合計してインクリメンタル比率を算出する。
  • インクリメンタル比率が50%の場合、購入単価は2倍に表示される。比率が低いほど、標準アトリビューションからの倍率は大きくなる(F社の例では、比率24.0%の手動|リターゲティングで約4.2倍。インクリメンタルアトリビューションの購入件数は説明用の架空の数字)。
  • 購入単価の順位はアトリビューションモデルごとに付ける(F社の例では、手動|リターゲティングは、標準アトリビューションでは1位、インクリメンタルアトリビューションでは4位)。切り替え元のキャンペーンについて切り替える前の期間にインクリメンタルアトリビューションで算出した購入単価を評価の基準とし、情報収集期間が終了した後の新しいキャンペーンの購入単価と比較する。