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ラジオ広告の効果はどう測る?聴取率や電話の数の先にある「売上にいくら効いたか」の確かめ方

ラジオ広告を出したあと、「効果はどうだった?」と聞かれて、聴取率や放送後にかかってきた電話の本数を答えにしていないでしょうか。番組がどれくらい聴かれているかも、電話が何本鳴ったかも分かる。けれど、その放送で売上が実際にいくら増えたのかは言い切れない——ラジオ広告を使っている会社の宣伝担当者から、よく聞く悩みです。

たとえば、朝の情報番組の時間帯に1か月スポットCMを流し、放送中の専用番号に120件の電話が来たとします。その120人は全員、ラジオがなければ連絡してこなかった人でしょうか。また、CMで社名を覚えて後日検索し、Webから申し込んだ人はどこに数えられているでしょうか。反応の数だけでは、ラジオを続けるべきか、ほかの施策に予算を回すべきかを決めきれません。

そこでこの記事では、ラジオ広告でふだん見ている指標が何を表し、何を表さないのかを整理したうえで、売上への効果(増分)を確かめる3つの方法と、費用対効果の出し方を順に説明します。

対象は、地域の小売・サービス業、通販、消費財メーカーなどで、ラジオCMとWeb広告やチラシを併用している宣伝・マーケティングの担当者です。統計の専門知識がなくても、「自社のデータで何を確かめればよいか」を判断できる水準で書いています。

広告効果の分析サービスを実際に提供している立場から解説します。

【結論】ラジオ広告の売上への効果は「放送した地域・時期と、しなかった地域・時期の差」で測る

聴取率は「どれだけの人に届きうるか」、電話や専用URLの数は「すぐに反応した人の一部」を表します。ラジオ広告で売上がいくら増えたかは、放送した地域・時期の売上と、放送しなかった地域・時期の売上を比べた差(増分)で確かめます。方法は、エリア・時期を分けた比較、指名検索や問い合わせを放送時刻と並べる確認、週ごとの売上と出稿量からほかの施策と一緒に推定する方法の3つです。

ラジオを聴く場面の多くは、車の運転や家事・仕事と重なっています。聴いたその場でメモを取ったり電話をかけたりできる人は限られ、多くの人は社名や商品名を覚えておき、後日の検索や来店で行動します。そのため、放送直後に数えられる反応だけでラジオの価値を判断すると、効果を小さく見積もりがちです。反対に、もともと申し込むつもりだった人が専用番号にかけてきた分は、ラジオがなくても得られた売上です。

指標表すもの答えられる問い売上への効果との関係
聴取率・リーチ番組・時間帯を聴いている人の割合や人数どの枠なら多くの人に届きうるか届いた後に行動したかは分からない
電話・専用URL・キーワードの反応数放送をきっかけに、すぐ行動した人の一部どの枠・どの原稿に反応があったか後日の行動は漏れ、もともと買う人は混ざる
放送あり・なしの売上の差(増分)ラジオがなかった場合と比べて増えた売上ラジオで売上がいくら増えたか売上への効果そのもの

この区別が大事なのは、ラジオの広告費が限られた予算の中で、ほかの施策と比べられる立場にあるからです。電通「2025年 日本の広告費」では、地上波ラジオの広告費は1,153億円(前年比99.2%)でした。一方、ポッドキャストなどの音声メディアを含むラジオデジタルは38億円(同111.8%)と二桁の伸びで、ターゲットに合わせて出稿できるデジタル音声広告への新規出稿が増えたことが理由に挙げられています。地上波とデジタルのどちらに、どれだけ出すかを決めるにも、売上への効果を同じ基準で並べる必要があります。

参照

ラジオ広告でふだん見ている指標と、その範囲

ラジオでふだん使う指標は、「届いた量」と「すぐに起きた反応」を表すものです。どちらも枠や原稿を選ぶには役立ちますが、売上への効果とは数える対象が違います。

聴取率・リーチ

聴取率は、ある時間帯にその局・番組を聴いていた人の割合を調査で推計したものです。そこから、何人くらいに届いたか(リーチ)や、同じ人が何回聴いたか(フリークエンシー)を見積もります。どの局・どの時間帯に出せば狙う層に多く届くかを決めるには欠かせない指標です。

ただし、聴取率が表すのは「その時間にラジオを聴いていた人」で、CMの内容を覚えたか、その後に行動したかまでは分かりません。届いた量が同じでも、原稿の分かりやすさや、商品が今まさに必要とされている時期かどうかで、売上への効き方は大きく変わります。

電話・専用URL・キーワードでの反応

反応を数えるには、CMの中で専用の電話番号やURL、「ラジオを聴いたと伝えると特典」といった合言葉を案内し、その経路から来た数を記録します。通販のように放送後すぐに注文が入る商品では、どの番組・どの時間帯・どの原稿に反応があったかを比べる材料として役に立ちます。

一方で、この方法で数えられるのは、手がかりを残して行動した人だけです。番号を覚えきれずに社名で検索した人、店頭で商品を手に取った人、数日後に思い出して申し込んだ人は、どの経路にも残りません。

反応の数と、売上が増えた分は違う

反応の数と増分のずれは、少なく数える方向と多く数える方向の両方に起きます。ラジオで動いたのに経路を通らなかった人は数えられず、ラジオがなくても申し込んでいた人は、専用番号を使えば数えられます。

反応として数えた数ラジオがなくても買った人ラジオで増え、反応に数えられた人ラジオで増えたが反応に残らなかった人売上への効果(増分)例:後日に社名で検索して申し込み/店頭で手に取って購入/数日後に思い出して来店
申し込み・購入した人を3つに分けた図。反応として数えた数(左2つ)と、ラジオで売上が増えた分(右2つ)は、重なりはあっても一致しない。区切りの位置は説明用の架空の例で、実案件の推定値ではありません

反応の数が増分より多いのか少ないのかは、反応の数だけを見ていても分かりません。「ラジオがなかった場合の売上」を用意して、実際の売上と比べるのが次の3つの方法です。考え方は増分売上・増分ROASの記事で詳しく扱っています。

方法1:放送エリア・時期を分けて売上を比べる

ラジオを流した地域と流さなかった地域、または流した期間と流さなかった期間の売上の動きを比べる方法です。地上波ラジオは局ごとに放送エリアが決まっているため、地域を分けた比較と相性のよい媒体です。

地域で分ける

県域局や地域のコミュニティFMは、電波の届く範囲がある程度決まっています。複数の県に店舗やお客さまがいる会社なら、ある県の局では放送し、条件の近い別の県では放送しない、という組を作れます。比べる相手になる、放送しなかった地域のことを対照群と呼びます。

比べるのは売上の水準ではなく変化です。放送前の数週間、2つの地域の売上がほぼ同じように動いていたことを確かめたうえで、放送期間中にどれだけ差が開いたかを見ます。たとえば、放送した県の売上が前の期間より6%伸び、放送しなかった県が1%伸びたなら、差の5ポイント分がラジオの効果の目安です(数値は説明用の架空の例です)。

時期で分ける

放送エリアが1つしかない会社は、地域では分けられません。その場合は、放送する期間と休む期間を交互に作り、休んだ期間の売上と比べます。ただし、時期で分ける比較は、季節や給料日、天候などの影響をそのまま受けます。1回の「放送した月・しなかった月」の比較で決めつけず、放送と休止を何度か繰り返す、前年の同じ時期の動きと合わせて見る、といった工夫が必要です。

ゆがみやすい点

ラジオの電波は県境で止まるわけではありません。放送しなかったはずの地域でも聴こえていたり、インターネット配信で他の地域の局を聴く人がいたりすると、差は小さく出ます。また、放送期間にチラシやWeb広告、値引きを同時に強めていると、増えた売上のうちどれがラジオの分かを分けられません。比較の期間中は、ほかの施策をできるだけ両方の地域で同じにしておきます。

地域を分けた比較が難しい場合の代わりの方法は、テレビCMの地域テストができないときの記事も参考になります。

放送した時刻の直後に、社名・商品名の検索や問い合わせ、サイトへのアクセスがどれだけ増えたかを見る方法です。どの枠・どの原稿が人を動かしたかを細かく比べられますが、すぐに行動した人しか見えない点に注意が必要です。

やり方は単純で、CMの放送時刻の一覧と、時間ごと(できれば分ごと)の指名検索数・電話の着信数・サイトのアクセス数を並べます。放送の直後に山ができていれば、その枠がすぐの行動を生んだ目安になります。山の高さを枠ごと、原稿ごとに比べれば、朝の通勤時間と昼の番組のどちらが反応を生んだか、といった比較ができます。

ふだん約20件67840910111213341415161718361920放送放送放送時台件数は1時間あたりの指名検索数
ある1日の、時間帯ごとの指名検索数。CMを放送した7時台・12時台・17時台の次の時間帯(青)に山ができ、8時台はふだんの水準(約20件)の約2倍になっている。数値は説明用の架空の例です

この方法の限界は、数時間以内に行動した人しか見えないことです。数日後や週末にまとめて調べる人、店頭で思い出して買う人の分は、ふだんの検索数の中に埋もれます。また、検索や問い合わせが増えても、それが売上の増加につながったかは別に確かめる必要があります。枠や原稿を選ぶための指標として使い、売上への効果は方法1か方法3で確かめる、という分担にすると混乱がありません。

方法3:週ごとの売上と出稿量から、ほかの施策と一緒に推定する

過去の週ごとのラジオの出稿量(費用や放送本数)と売上を、Web広告やチラシなどほかの施策と同じ表に並べ、それぞれがどれだけ売上を増やしたかを統計的に推定する方法です。ラジオの効果を、ほかの施策と同じ基準で比べられます。

ラジオの出稿は、年度末やキャンペーンの時期に厚くなり、それ以外は薄くなる、といった波があることが多いものです。この増減と同じ時期の売上の動きを合わせて見れば、ラジオの効果を推定する材料になります。ただし、ラジオを厚くした週はほかの施策も強めていることが多いため、単純に並べただけでは効果が混ざります。そこで売上を「施策がなくても立つ売上」「季節や価格などの影響」「施策ごとの貢献」に分けて推定します。こうした推定は、マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)と呼ばれる手法で行うのが一般的です。

ラジオならではの注意点

一つ目は、効果が放送した週のあとにも残ることです。ラジオで覚えた社名をしばらくしてから検索する人がいるため、効果は数週間かけて少しずつ表れ、薄れていきます。推定では、この持ち越しを前提に組み立てます。

二つ目は、出稿量が小さく、変動も少ない場合です。ラジオの費用がほかの施策に比べて小さく、毎週ほぼ同じ本数を流し続けていると、売上の中からラジオの分を取り出すのが難しくなり、推定の幅が広く出ます。地域別のデータが使える場合は、推定が安定しやすくなります。Googleのオープンソースの分析ツール「Meridian」の公式ドキュメントも、使えるなら地域別のデータを使うことを勧めています。

三つ目は、売上だけでは測りにくい効果があることです。社名を覚えてもらう、好感を持ってもらうといった効果は、すぐには売上に表れないことがあります。こうした認知や好意の変化を確かめたい場合は、ブランドリフト調査のように、広告に触れた人と触れていない人の意識を比べる方法を組み合わせます。テレビCMも同時に出している場合の考え方は、テレビCMの効果測定の記事で扱っています。

参照

ラジオ広告の費用対効果を、増えた売上から出す

ラジオ広告の費用対効果は、反応1件あたりの費用ではなく、ラジオで増えた売上(増分)をかかった費用で割って出します。さらに判断は、売上ではなく粗利で行います。

費用には、放送枠の料金だけでなく、原稿づくりや収録などの制作費も入れます。制作費を除くと、費用対効果を大きく見積もってしまいます。そのうえで、増分売上を費用で割ったものが増分ROAS、増分売上から原価を引いた増分粗利で費用を回収できたかを見るのがROIです。

項目金額・計算
放送枠の料金(4週間)120万円
制作費(原稿・収録)30万円
費用の合計150万円
推定した増分売上300万円
増分ROAS(増分売上÷費用)300万円÷150万円=200%
増分粗利(粗利率40%)300万円×40%=120万円
ROI((増分粗利−費用)÷費用)(120万円−150万円)÷150万円=−20%

この例では、増分ROASは200%で、使った費用の2倍の売上が増えています。それでも粗利で見ると30万円足りず、この4週間だけでは費用を回収できていません。ここで判断を分けるのは、増えたお客さまがその後も買い続けるかどうかです。定期購入や来店の習慣につながる商品なら、数か月先までの粗利を含めると回収できることもあります。どこまでの期間の粗利を数えるかは、出す前に決めておきます。

反応1件あたりの費用(電話1本あたり何円か)は、枠や原稿を比べるには便利です。ただ、反応の数そのものが増分とずれているため、その費用で売上が増えたかの判断には使えません。増分ROASとROIの考え方は、増分売上・増分ROASの記事も参考にしてください。

DOREGAの場合|ラジオ広告もほかの施策と並べて売上への貢献を出す

TAMKOが提供するDOREGAは、統計学による広告効果の分析サービスです。この記事の方法3——週ごとの売上と出稿量から、ほかの施策と一緒に推定する方法——にあたる分析を、Googleのオープンソースの分析エンジン「Meridian」で行い、前後のデータ整形とレポート作成は独自ツールで標準化しています。

ラジオ広告の週ごとの費用は、Web広告やチラシと同じ入力の1つとして、初回分析(15万円・標準範囲の分析)に入れられます。標準範囲は「1事業・主要KPI 1つ。Web広告もチラシ・イベントも入れられます」です。お渡しするものは「レポート・予算配分案・結果説明会」で、期間は「最短1週間(必要データ共有後)」です。KPIや事業が複数ある場合や、価格や販促の影響まで分けて見たい場合は本格分析(30万円〜・標準範囲を超える分析)になり、費用と期間は着手前にご案内します。

なお、短期の単発キャンペーンだけの評価は対象外です。ラジオの出稿にほとんど変動がない場合も、ラジオの効果を取り出せないことがあります。

よくある質問(FAQ)

Q01radikoなどインターネット配信のラジオ広告も、同じ考え方で測れますか?

測れます。売上への効果は、地上波と同じく増分で確かめます。

配信の広告は、地域や年齢などで配信先を絞れることが多く、配信した地域・しなかった地域を分けた比較(方法1)を設計しやすい面があります。週ごとの配信費用が記録できれば、地上波とは別の施策として週次の推定(方法3)にも入れられます。地上波と分けて記録しておくと、どちらにどれだけ出すかの判断材料になります。

Q022週間だけの集中出稿でも、効果を測れますか?

地域や時期を分けた比較なら確かめられることがありますが、週ごとの推定には向きません。

週ごとの推定は、出稿量が増えたり減ったりする期間が何度もあることを前提にしています。1回きりの短い出稿では材料が足りないため、短期の単発キャンペーンだけの評価は対象外です。1回の集中出稿を確かめたい場合は、放送しない地域を対照群として残す比較(方法1)を、出す前に設計しておくのが現実的です。

Q03地方局1局だけに出していても、分析できますか?

できる場合があります。ただし、地域で分けた比較は難しくなります。

放送エリアが1つだけなら、放送と休止を繰り返して時期で比べるか、週ごとの推定でほかの施策と並べることになります。週ごとの推定では、ラジオの出稿量に増減があること、売上が週ごとに記録されていることが条件です。費用がほかの施策に比べてとても小さい場合は、推定の幅が広く出ることがあります。

Q04テレビCMと一緒に出しています。ラジオの分だけ分けられますか?

出稿の時期や量がずれていれば、分けて推定できます。

テレビとラジオをいつも同じ週に同じ比率で出していると、どちらの効果かを統計的に分けられません。片方だけを出した週がある、比率が時期によって違う、出した地域が違う、といったずれがあれば、それが分ける手がかりになります。これから出す予定なら、あえて時期をずらす週を作っておくと、後で確かめやすくなります。

ラジオ広告は、反応の数ではなく放送した地域・時期の売上の差で測る|まとめ

聴取率はどれだけの人に届きうるか、電話や専用URLの数はすぐに反応した人の一部を表す指標で、ラジオ広告で売上がいくら増えたかは教えてくれません。売上への効果は、放送した地域・時期と、しなかった地域・時期の売上の差で確かめます。方法は、放送エリア・時期を分けた比較、指名検索や問い合わせを放送時刻と並べる確認、週ごとの売上と出稿量からほかの施策と一緒に推定する方法の3つです。費用対効果は、制作費も含めた費用と増分売上から増分ROASを出し、最後は粗利で判断します。まずは、週ごとの放送本数・費用と売上を、ほかの施策と同じ表に揃えておくことが出発点です。

この記事のポイント

  • 聴取率は「どれだけの人に届きうるか」、電話・専用URL・合言葉の数は「すぐに反応した人の一部」を表す。どちらも枠や原稿を選ぶには役立つが、売上が増えた分は分からない。
  • 反応の数は増分とずれる。後日検索した人や店頭で買った人は数えられず、ラジオがなくても申し込んでいた人は数えられてしまう。
  • 売上への効果は、放送エリア・時期を分けた比較、指名検索や問い合わせを放送時刻と並べる確認、週ごとの売上と出稿量からほかの施策と一緒に推定する方法の3つで確かめる。
  • ラジオは効果が後の週に持ち越され、出稿量が小さいと推定の幅が広くなる。地域別のデータや出稿量の増減があると確かめやすい。
  • 費用対効果は、放送枠の料金に制作費を加えた費用と増分売上から増分ROASを出し、最後は粗利で回収できたかを判断する。