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計測と評価

BtoBのMicrosoft広告は、問い合わせ単価の上限で評価する——資料DLとの分け方と、商談化率が分からないときの判断

Microsoft広告の問い合わせ単価がGoogle広告より安い、あるいは高い。その比較だけで、配信を続けるかどうかを判断していないでしょうか。

アカウント全体の問い合わせ単価が8,000円台でも、問い合わせの7割が社名・製品名の検索から来ていれば、製品の一般語で出しているキャンペーンの単価は2万円台後半ということがあります。管理画面の「収益」も、目標に設定した値を足し上げた数字で、受注の金額ではありません。

そこでこの記事では、BtoBのMicrosoft広告を、受注1件の粗利から出した「問い合わせ単価の上限」とキャンペーンごとに比べて評価する手順を整理します。あわせて、資料DLを問い合わせと分けて数える方法と、商談化率が分からないときの判断の分岐を、診断サンプルの架空の会社(C社)の数字で示します。

対象は、BtoBでMicrosoft広告を運用している担当者の方です。成果を問い合わせと資料DLで見ていて、Google広告と並行して運用している方を想定しています。

Microsoft広告のアカウント診断で、BtoBの問い合わせを基準に評価している立場から解説します。

【結論】BtoBのMicrosoft広告は、問い合わせ単価の上限とキャンペーンごとに比べて評価する

BtoBのMicrosoft広告は、受注1件の粗利から出した問い合わせ単価の上限を基準にし、キャンペーンごとの単価がその内側にあるかで評価します。商談化率が分からない場合は、「商談化率が何%以上なら続けてよいか」という分岐の形で判断します。

評価の手順は次の5点です。

  1. 上限を出す。問い合わせ単価の上限=受注1件の粗利×問い合わせから受注までの率×広告に回してよい割合。
  2. 問い合わせと資料DLを別の目標として数える。評価に使うのは問い合わせの単価と件数で、資料DLは補助の材料にする。
  3. 管理画面の「収益」は目標に設定した値の合計なので、それを費用で割った数字を結論の根拠にしない。
  4. 上限の内か外かは、アカウント全体の平均ではなく、キャンペーンごとに判定する。
  5. 商談化率が分からなければ、キャンペーンごとに「必要な商談化率」を逆算する。

問い合わせの件数が少ないキャンペーンでは、単価の上下だけで結論を出さず、判断を保留して、どれだけの期間と件数を集めれば判断できるかを先に決めます(最後の節で扱います)。

問い合わせ単価の上限の出し方(受注1件の粗利×受注率×広告に回してよい割合)

問い合わせ単価の上限は、受注1件の粗利に、問い合わせから受注までの率と、広告に回してよい割合を掛けて出します。売上ではなく粗利を使うのは、広告費が粗利の中から支払われるためです。

計算式は1行です。

問い合わせ単価の上限 = 受注1件の粗利 × 問い合わせから受注までの率 × 広告に回してよい割合

3つの数字はいずれも、広告の管理画面には出てきません。営業と経理の記録から取る数字です。

受注1件の粗利:受注単価ではなく、粗利で置く

受注単価をそのまま使うと、上限は粗利で置いた場合より大きく出ます。原価の高い商材ほど差が開き、広告費が粗利を上回っていても上限の内側に見えてしまいます。継続取引が前提の商材なら、初回の受注だけでなく、一定期間の取引から見込める粗利で置く方法もあります。どちらで置いたかを記録しておけば、後から数字を差し替えられます。

問い合わせから受注までの率:商談化率と、商談からの受注率に分ける

1つの率でまとめて置くより、商談化率と商談からの受注率に分けて置くほうが、後の判断に使えます。広告で変わりやすいのは商談化率のほうで、検索語句や配信先によって、条件に合わない問い合わせの比率が変わるためです。商談からの受注率は、営業の進め方や商材の競争環境に左右される部分が大きく、キャンペーンによる差は出にくい数字です。

広告に回してよい割合:受注1件の粗利のうち、獲得の費用に充ててよい分

粗利のすべてを広告に使えば、利益は残りません。展示会や営業の人件費など、ほかの獲得費用との釣り合いから、粗利のうち広告に充ててよい割合を決めます。この割合は事業の方針で決める数字で、広告の側から正解を出せるものではありません。

架空の会社C社の例:上限は30,000円

診断サンプルの架空の会社(C社・精密部品メーカー)の例です。ヒアリングでの仮置きの数字で、受注1件の粗利は300万円、商談化率は30%、商談からの受注率は約3分の1、したがって問い合わせから受注までの率は10%です。広告に回してよい割合は10%と置いています。

3,000,000円 × 10% × 10% = 30,000円

C社の問い合わせ単価の上限は30,000円です(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です)。

3つの数字がそろっていない会社でも、仮置きで計算できます。そのときは「仮置き」であることと、誰がどの根拠で置いたかを記録しておき、実績が分かった時点で差し替えます。

問い合わせと資料DLを分けて数える

問い合わせと資料DLは別のコンバージョン目標にし、評価に使う「コンバージョン」列には問い合わせだけが入るように設定します。資料DLは「すべてのコンバージョン」列で、問い合わせに対する比率として見ます。

ここでいう問い合わせは、見積もり・相談・商談の申し込みなど、営業が対応する行動です。資料DLは、カタログやホワイトペーパーのダウンロード、ウェビナーの申し込みなど、検討の途中の行動を指します。

2つを1つの目標にまとめると、件数は増え、問い合わせ単価は実際より安く表示されます。資料DLは問い合わせより件数が多くなりやすいため、まとめた単価を上限と比べても、評価になりません。

「コンバージョン」列には問い合わせの目標だけを入れる

Microsoft広告のコンバージョン目標には、「コンバージョンに含める」という設定があります。この設定を外した目標は、「コンバージョン」列には表示されず、「すべてのコンバージョン」列にだけ表示されます。

この設定は、自動入札にも関わります。公式ドキュメントでは、「コンバージョンに含める」を外した目標のコンバージョンは、自動入札の計算に使われなくなると説明されています。問い合わせの目標だけを含め、資料DLの目標は外しておけば、入札が学習に使う成果と、評価に使う成果が同じ問い合わせになります。

資料DLは、キャンペーンごとの「問い合わせに対する比率」で見る

資料DLの件数そのものより、キャンペーンごとに「資料DL÷問い合わせ」を出して並べるほうが、判断に使えます。資料DLが多いのに問い合わせがほとんど出ないキャンペーンは、停止や縮小の候補として確認する対象になります。

診断サンプルの架空の会社(C社)の例では、12か月で資料DLは2,319件、問い合わせは892件で、比率は約2.6倍です。キャンペーン別に見ても、どのキャンペーンも約2.6倍で、特定のキャンペーンに偏ってはいません(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です)。

比率が1つのキャンペーンだけ大きく離れている場合は、次の2点を確認します。

  • 着地ページ:資料DLの入口が目立ち、問い合わせの入口が見つけにくい作りになっていないか。
  • 検索語句:「とは」「仕組み」「比較」など、情報を集める段階の語句に配信が偏っていないか。

Google広告から取り込んだ目標とUETの目標が、両方「コンバージョン」列に入っていないか

Google広告からキャンペーンをインポートすると、コンバージョン目標も取り込めます。取り込んだ目標と、UETタグで作った目標が同じ問い合わせを数えていて、両方が「コンバージョン」列に含まれていると、1件の問い合わせが2件として数えられ、単価は半分近くに見えます。どちらか一方だけを「コンバージョンに含める」にして、もう一方は「すべてのコンバージョン」列で件数を並べて確認します。

「収益」(目標の値)は売上ではない

Microsoft広告の「収益」列は、コンバージョン目標に設定した値の合計で、受注の金額ではありません。問い合わせに値を置いている場合、「収益」を費用で割った数字は参考にとどめ、評価は問い合わせ単価と件数で行います。

コンバージョン目標には、1件あたりの値を設定できます。毎回同じ値を置く方法と、件ごとに異なる値を渡す方法があり、管理画面の「収益」列は、その値を足し上げた数字です。

設定値の「収益」で割った数字を、結論に使わない

たとえば問い合わせ1件に1,000円という値を置いていれば、問い合わせが100件の月の「収益」は10万円です(説明用の架空の数字です)。この10万円は受注の金額でも粗利でもなく、置いた値×件数にすぎません。

管理画面の広告費用対効果の列は、この「収益」を費用で割った割合です。分子が設定値である以上、割合が高くても低くても、採算の判断材料にはなりません。採算を見るなら、前の節で出した問い合わせ単価の上限と、実際の問い合わせ単価を比べます。

受注の金額で評価したいときは、オフラインコンバージョンを取り込む

受注の金額を値として使いたい場合は、CRMに記録した受注を、オフラインコンバージョンとしてMicrosoft広告に取り込む方法があります。広告のクリックごとに付くMicrosoft Click ID(MSCLKID)を問い合わせのデータと一緒に保存しておき、受注が決まったら、クリックID・目標名・日時と、必要に応じて値を記入したファイルをアップロードします。

公式ヘルプでは、見込み顧客の獲得を目的とする場合にオフラインコンバージョンの利用を勧めています。最後のクリックから90日を超えてアップロードしたコンバージョンは取り込まれないため、受注までの期間が長い商材では、商談化の時点で取り込むといった区切り方の検討が必要です。使える機能や手順は変わることがあるため、管理画面とヘルプで最新の内容を確認してください。

全体の平均ではなく、キャンペーンごとに上限と比べる

アカウント全体の問い合わせ単価は、社名・製品名の検索が大きく引き下げます。続けるかどうかは、社名・製品名を除いた単価と、キャンペーンごとの単価を上限と並べて判断します。

社名・製品名の検索を分けて、単価を出し直す

社名や製品名で検索する人は、すでにその会社を知っています。問い合わせ単価は低くなりやすく、件数も多いため、アカウント全体の平均を大きく下げます。全体の平均が上限の内側にあっても、それは社名・製品名の検索の成績が混ざった結果で、ほかのキャンペーンが上限の内側にあることを意味しません。

架空の会社C社の例:全体8,776円、製品の一般語は27,861円

診断サンプルの架空の会社(C社)の12か月の数字です。費用は7,825,207円、問い合わせは892件で、全体の問い合わせ単価は8,776円です。上限30,000円の約3割にあたります。

ただし、問い合わせの69.6%は社名・製品名の検索から来ています。社名・製品名の検索を除くと、問い合わせ単価は約24,600円になります。

キャンペーン(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です)費用問い合わせ問い合わせ単価上限30,000円に対して
検索|社名・製品名1,158,186円621件1,864円約6%
P-MAX|カタログ2,314,253円111件20,917円約7割
オーディエンス広告|業界988,566円39件25,367円約8割
検索|製品の一般語3,364,203円121件27,861円約9割
アカウント全体7,825,207円892件8,776円約3割

全体では上限の約3割でも、製品の一般語の検索は上限の約9割です。新しい顧客を連れてくるのは主に社名・製品名以外のキャンペーンなので、続けるか、予算を増やすかの判断は、このキャンペーン単位で行います。

商談化率が分からないときは、分岐で判断する

商談化率が分からない場合は、式を逆にして「このキャンペーンを続けてよいには、商談化率が何%以上必要か」を出します。その数字と、CRMの記録から分かる実際の商談化率を比べて判断します。

必要な商談化率を、キャンペーンごとに逆算する

上限の式を商談化率について解くと、次の形になります。

必要な商談化率 = 問い合わせ単価 ÷(受注1件の粗利 × 商談からの受注率 × 広告に回してよい割合)

商談化率そのものが分からなくても、「この線を超えていれば続けてよい」という基準は出せます。答えが「分からない」で終わらず、何を確認すれば判断できるかが決まります。

架空の会社C社の例:製品の一般語は商談化率28%以上で続けてよい

診断サンプルの架空の会社(C社)の仮置きの数字(受注1件の粗利300万円、商談からの受注率 約3分の1、広告に回してよい割合10%)で計算すると、分母は約10万円です。

キャンペーン(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です)問い合わせ単価必要な商談化率
アカウント全体8,776円約9%以上
P-MAX|カタログ20,917円約21%以上
オーディエンス広告|業界25,367円約25%以上
検索|製品の一般語27,861円約28%以上

C社が仮置きしている商談化率は30%です。製品の一般語の検索は、必要な線(約28%)との差が2ポイントほどしかありません。この場合の判断は「続けてよいが、商談化率の実績を確認するまで予算は増やさない」という形になります。実績が28%を下回っていれば、検索語句や着地ページの見直しが先になります(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です)。

商談化率を確認する方法:問い合わせ数件分を、CRMの記録と照合する

全件を照合する必要はありません。キャンペーンごとに直近の問い合わせを数件から十数件選び、CRMや営業の記録で、商談につながったかどうかを照合します。どのキャンペーンから来た問い合わせかは、問い合わせのデータにMSCLKIDや広告のパラメータを残しておけば追えます。

判断を変えるのは、問い合わせの件数より、商談につながった問い合わせの件数です。単価が同じ2つのキャンペーンでも、商談化率が倍違えば、商談1件にかかる費用は倍違います。

問い合わせの件数が少ないときに、判断を保留する条件

BtoBの問い合わせは、キャンペーンごとに見ると月に数件という規模になりがちで、月ごとの単価の上下は偶然でも大きく動きます。件数が少ないキャンペーンは月単位で判断せず、どれだけの期間と件数を集めれば判断できるかを先に決めます。

次の順で考えます。

  1. キャンペーンごとの月の問い合わせ件数を先に見る。件数が少なければ、月ごとの単価の上下で判断しない。
  2. 「いまは判断できない」も1つの答えとして扱い、判断に使う期間と件数を決めておく。
  3. CRMに商談・受注の記録があれば、件数の少なさを補う材料として、単価より先にそれを使う。

何件あれば判断できるかについて、Microsoft広告のヘルプに一律の基準はありません。この記事でも件数を断定しません。キャンペーンの目的と、上限との差の大きさによって、必要な件数は変わります。上限との差が大きいキャンペーンは少ない件数でも判断でき、差が小さいキャンペーンほど多くの件数が要ります。

診断サンプルの架空の会社(C社)の例では、オーディエンス広告|業界の問い合わせは、集計期間の12か月で39件です(配信は6月末まで)。月あたりでは数件にとどまるため、月ごとの単価の上下では判断せず、期間全体の単価と、商談につながった件数で評価します(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です)。

TAMKOのMicrosoft広告アカウント診断で確認すること

この記事で挙げた評価の手順——問い合わせと資料DLの分け方、問い合わせ単価と上限の比較、商談化率による判断の分岐——は、TAMKOのMicrosoft広告アカウント診断で、BtoBの問い合わせを基準に確認している内容です。

料金は無料(毎月2社まで・広告費は月50万円以上が目安)。エグゼクティブサマリー・調査報告書・分析の明細(Excel)・オンラインの説明会1回をお渡しします。閲覧のみの権限で拝見し、診断のあいだ設定には触れません。改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添えます。

修正まで任せたい場合は、お預かりする施策の広告費が月30万円までなら、Microsoft広告のお試し運用(1施策・1か月で5万円・税別)から始められます。

よくある質問(FAQ)

Q01BtoBのMicrosoft広告で、問い合わせ単価はいくらまでなら続けてよいですか?

一律の金額はありません。

受注1件の粗利×問い合わせから受注までの率×広告に回してよい割合で上限を出し、キャンペーンごとに比べます。診断サンプルの架空の会社(C社)の例では30,000円です。

Q02資料DLも成果として「コンバージョン」列に入れてよいですか?

問い合わせと資料DLは別の目標にし、評価に使う列には問い合わせだけを入れます。

資料DLは「すべてのコンバージョン」列で、問い合わせに対する比率をキャンペーンごとに見ます。

Q03管理画面の「収益」が費用を上回っていれば、採算は合っていますか?

判断できません。

「収益」は目標に設定した値の合計で、受注の金額ではありません。受注の金額で見るには、CRMの受注記録をオフラインコンバージョンとして取り込みます。

Q04商談化率が分からない場合はどう判断しますか?

「続けてよいには商談化率が何%以上必要か」をキャンペーンごとに逆算し、直近の問い合わせをCRMの記録と照合して、その線を超えているかを確認します。

BtoBのMicrosoft広告は、受注1件の粗利から出した上限で評価する|まとめ

BtoBのMicrosoft広告は、受注1件の粗利×問い合わせから受注までの率×広告に回してよい割合で問い合わせ単価の上限を出し、その上限と比べて評価します。問い合わせと資料DLは別の目標として数え、「コンバージョン」列には問い合わせだけを入れます。管理画面の「収益」は設定した値の合計なので、費用で割った数字を結論に使いません。アカウント全体の平均は社名・製品名の検索が引き下げるため、キャンペーンごとに上限と並べます。商談化率が分からなければ必要な商談化率を逆算して分岐で判断し、件数が少ないキャンペーンは判断を保留して、集める期間と件数を決めてください。

この記事のポイント

  • 問い合わせ単価の上限=受注1件の粗利×問い合わせから受注までの率×広告に回してよい割合。売上ではなく粗利で置く。
  • 問い合わせと資料DLは別の目標として数え、評価に使う「コンバージョン」列には問い合わせだけを入れる。
  • 管理画面の「収益」は目標に設定した値の合計で、売上ではない。値÷費用は結論の根拠にしない。
  • 全体の平均は社名・製品名の検索が引き下げるため、キャンペーンごとに上限と比べる。
  • 商談化率が分からなければ、必要な商談化率を逆算して分岐で判断する。件数が少ないときは判断を保留し、集める期間を決める。