Microsoft広告の検索パートナーは、自社の検索と成果を比べて、外す配信先を選ぶ
Microsoft広告の管理画面で費用をネットワーク別に分けたとき、「シンジケート検索パートナー」に想定以上の費用が出ていて、外すべきか迷ったことはありませんか。
診断サンプルの架空の会社(C社・精密部品メーカー)の例では、12か月の費用のうち20.2%が検索パートナーに出ていて、問い合わせと資料DLの合計に占める割合は15.8%でした。ネットワーク全体で見れば、費用の割に成果が少ない状態です。ところが配信先ごとに分けると、問い合わせや資料DLが出ている配信先と、クリックばかり多くて0件の配信先が混在していました。
そこでこの記事では、検索パートナーの成果を自社の検索(Microsoft サイトと選択トラフィック)と比べて外す候補かを判断する目安、配信先ごとに外す所を選ぶ手順、件数が少なくて判断できないときの扱いを、Microsoft広告の公式ヘルプを根拠に整理します。
対象は、Microsoft広告を運用している担当者の方、なかでもBtoBで成果が問い合わせのアカウントを、Google広告と並行して運用している方です。
Microsoft広告のアカウント診断で、検索パートナーの成果を毎回最初に確認している立場から解説します。
【結論】検索パートナーは「丸ごと外すか」ではなく、配信先ごとに外す所を選ぶ
検索パートナーは、ネットワーク全体を外すかどうかを最初に決めるのではなく、配信先ごとに外す所を選ぶのが基本です。判断は次の3段階で進めます。
- ネットワーク単位:検索パートナーのコンバージョン率が自社の検索の6割未満で、かつ費用が全体の1割以上なら、「外す候補」として配信先まで分けて確認する。
- 配信先単位:表示回数の割にクリックが不自然に多く、問い合わせも資料DLも0件の配信先を、Webサイト除外に入れる。
- 件数が足りない配信先:外すか続けるかをすぐに決めず、成果を集める期間と件数を決めて保留する。
6割と1割は、配信先まで分けて確認を始めるかどうかの目安です。この線を下回ったら外す、という基準ではありません。
検索パートナーとは:Microsoft広告の「Microsoft サイトと選択トラフィック」との違い
Microsoft広告の配信先の設定は、「Microsoft 広告ネットワーク全体」と「Microsoft サイトと選択トラフィック」の2択です。検索パートナーに出すかどうかは、この2つのどちらを選ぶかで決まります。
| Microsoft 広告ネットワーク全体(推奨) | Microsoft サイトと選択トラフィック | |
|---|---|---|
| Bing・MSN・Outlook.com(Microsoft のサイト) | 含む | 含む |
| 広告の成果とコンバージョン率がBingと同等の提携トラフィック(選択トラフィック) | 含む | 含む |
| 追加の提携トラフィック(Bing・Yahooの検索パートナーなど) | 含む | 含まない |
ヘルプは、リーチを広げ、クリック単価を下げられるとして、ネットワーク全体を推奨しています。なお、ヘルプの日本語版では後者の選択肢が「Microsoft サイトと一部のトラフィック」と訳されています。
Google広告にも検索パートナーがあり、P-MAXでは配信面ごとの成果の見方が同じように論点になります(関連:P-MAXの配信面ごとの成果)。
「Microsoft サイトと選択トラフィック」にも提携サイトが含まれる
見落としやすいのは、選択トラフィックも提携サイトのトラフィックだという点です。ヘルプによると、選択トラフィックのサイトは集計で報告されるため、ドメインごとのレポートは表示できません。つまり、この記事で比べる「自社の検索」は、Bingだけの成果ではありません。検索パートナーを外しても、提携サイトへの配信がすべてなくなるわけではない、ということでもあります。
配信の設定はキャンペーンではなく広告グループ単位
広告配信は、キャンペーンを作成するときに設定しますが、設定そのものは広告グループ単位です。キャンペーンを作成したときに外したつもりでも、後から追加した広告グループや、別の経路で作成した広告グループでネットワーク全体のままになっていることがあります。広告グループの設定の「詳細設定」で、広告グループごとに確認します。日本のアカウントで選べる範囲は、管理画面で確認してください。
検索パートナーの成果を、自社の検索と比べる手順
比べる数字は、ネットワークごとのコンバージョン率と問い合わせ単価です。期間を長めに取り、検索パートナーと自社の検索を同じ表に並べて判断します。
- レポートで、キャンペーン(または広告グループ)とネットワークを内訳にした表を作り、費用・クリック・問い合わせ・資料DLを並べる。
- ネットワークごとに、コンバージョン率(問い合わせ÷クリック)と問い合わせ単価(費用÷問い合わせ)を計算する。
- 検索パートナーのコンバージョン率が自社の検索の6割未満か、検索パートナーの費用が全体の1割以上かを確認する。
- 期間は12か月など長めに取り、月ごとの差では判断しない。
オーディエンスのネットワークは、検索とは別の配信面なので、この比較からは外します。
比べるのはコンバージョン率と問い合わせ単価。資料DLは別の列で見る
成果は問い合わせで比べ、資料DLは別の列に分けて見ます。問い合わせと資料DLを1つの件数にまとめると、資料DLが多く出る配信先が良く見え、問い合わせにつながっているかが分からなくなるためです。コンバージョンに設定した値(目標の値)から売上やROASを出して比べることもしません。設定した値は実際の売上ではないからです。比べる成果を問い合わせに揃える考え方は、Google広告の主要・副次の設定と同じです(関連:コンバージョンの主要と副次)。
判断の目安:コンバージョン率が自社の検索の6割未満で、費用の1割以上なら候補
6割は、問い合わせ単価で不利になりやすい線です。検索パートナーのコンバージョン率が自社の検索の6割なら、問い合わせ単価を揃えるには、クリック単価も自社の検索の6割以下である必要があります。検索パートナーのクリック単価が安くても、成果の出方がこれより低いと、単価の安さでは埋まりにくくなります。
1割は、外したときに費用が大きく動く線です。費用が全体の数%しかなければ、配信先を分けて確認する手間の割に、判断の結果がアカウント全体に与える影響は小さくなります。
2つの条件の片方だけに当てはまる場合は候補にせず、数字を記録して次の確認のときに見比べます。
C社の例:費用の20.2%に対して、成果は15.8%
診断サンプルの架空の会社(C社)の例です。C社のサンプルにはネットワーク別のクリック数がないため、コンバージョン率ではなく、費用あたりの成果の比で示します。成果は問い合わせと資料DLの合計です。
| ネットワーク | 費用に占める割合 | 成果に占める割合 | 費用あたりの成果(成果の割合÷費用の割合) |
|---|---|---|---|
| 自社の検索(Microsoft サイトと選択トラフィック) | 61.1% | 76.7% | 1.26 |
| 検索パートナー | 20.2%(159.1万円) | 15.8% | 0.78 |
表の数字は、診断サンプルの架空の会社(C社)の12か月(費用の合計782.5万円)の例です。
検索パートナーの費用あたりの成果は、自社の検索の約62%です。費用あたりの成果の比は、問い合わせ単価の比を逆にした数字なので、検索パートナーのクリック単価の安さをすでに含んでいます。それでも6割の目安のすぐ上にとどまり、費用は全体の1割を超えています。このように境界にある場合は、ネットワークを丸ごと外すとは判断せず、次の節のように配信先まで分けて確認します。
配信先ごとに外す所を選ぶ:Webサイト URL(公開元)レポートの見方
検索パートナーの配信先は、Webサイト URL(公開元)レポートでドメインごとに確認できます。配信先ごとのクリック率・費用・問い合わせ・資料DLを並べて、外す所を選びます。
このレポートには、Microsoft 広告ネットワーク上のWebサイトごとの表示回数・クリック数・費用・コンバージョン数が出ます。ヘルプも、クリック率が低い配信先をキャンペーンから除外するかの判断にこのレポートを使う例を挙げています。ただし前の節のとおり、選択トラフィックは集計で報告されるため、このレポートでもドメイン別には出ません。日本のアカウントで検索パートナーの配信先がこのレポートにどこまで出るかは、管理画面で確認してください。
クリック率が不自然に高く、成果が0件の配信先を除外候補にする
除外候補の目安は、表示回数の割にクリックが不自然に多く(ほかの配信先と比べて桁違いのクリック率)、問い合わせも資料DLも0件の配信先です。クリック率が高いこと自体は悪いことではありませんが、成果がまったく出ていない場合は、広告を見た人の行動として説明しにくい状態です。除外する前に、配信先のサイトを実際に開き、どのような面に広告が出ているかを目で確認します。
C社の例:クリック率20%前後・成果0件の配信先が2件
診断サンプルの架空の会社(C社)の例です。配信先名はすべて架空のドメインです。
| 配信先(架空) | 費用 | クリック率 | 成果(問い合わせ+資料DL) | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| search-portal-a.example | 383,960円 | 5.98% | 46.5件 | 続ける |
| search-portal-b.example | 314,725円 | 4.71% | 38.7件 | 続ける |
| fastsearch-partner.example | 286,767円 | 19.81% | 0件 | 除外候補(目で確認) |
| quick-results-hub.example | 223,837円 | 19.99% | 0件 | 除外候補(目で確認) |
| mobile-feed-app.example | 222,644円 | 3.70% | 27.0件 | 続ける |
| privacy-search.example | 159,301円 | 7.77% | 19.2件 | 続ける |
表は診断サンプルの架空の会社(C社)の12か月の、検索パートナーの配信先6件です。成果の件数はサンプルの値をそのまま載せているため、小数を含みます。
6件のうち4件はクリック率3.7〜7.8%で、問い合わせや資料DLが出ています。残る2件はクリック率が約20%と桁違いに高く、成果は0件でした。2件の費用は合計51.1万円で、検索パートナーの費用の32.1%、アカウント全体の6.5%にあたります。全体の1割には届きませんが、除外しても成果を失う見込みが小さいため、この2件を除外し、ほかの4件は続ける、という判断になります。
ネットワーク全体を外すのは、配信先を除外しても差が残るとき
配信先を除外した後も、検索パートナーのコンバージョン率が自社の検索の6割未満のまま続く場合は、広告グループの配信設定を「Microsoft サイトと選択トラフィック」に変更する選択肢があります。変更は一部の広告グループから行い、変更前と変更後を同じ長さの期間で比較します。
件数が少ないときの判断:問い合わせ0件は偶然かを確認する
配信先ごとの問い合わせが0件でも、すぐに「成果が出ない配信先」とは判断できません。費用から見込まれる件数(期待件数)を計算し、0件が偶然で説明できるかを確認します。
BtoBの問い合わせは月に数件から数十件のアカウントが多く、配信先ごとに分けると件数はさらに少なくなります。0件が「成果が出ない配信先」なのか、「まだ件数が足りないだけ」なのかを分けて考える必要があります。
期待件数=配信先の費用÷比較先の問い合わせ単価
期待件数は、その配信先の費用を、比較先の問い合わせ単価で割って出します。比較先には、検索パートナーのほかの配信先か、自社の検索を使います。期待件数がおおむね3件以上あるのに実際が0件なら、偶然とは考えにくい状態です。件数が偶然でばらつくと仮定した近似(ポアソン分布)では、期待件数が3件のときに0件になる確率は約5%です。ただし、これは判断の目安であり、厳密な検定ではありません。
C社の2件で計算します(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です。成果は問い合わせと資料DLの合計です)。成果が出ている4件の配信先の費用は合計1,080,630円、成果は合計131.4件なので、成果単価は約8,200円です。この単価で割ると、fastsearch-partner.exampleの期待件数は約35件、quick-results-hub.exampleは約27件です。期待件数が30件前後ある配信先で0件という結果は、偶然では説明しにくいと言えます。
商談や受注の記録(CRM)がある場合は、件数より先にそれを使います。問い合わせの件数が同じでも、商談につながる割合は配信先によって違うことがあるためです。
判断できない配信先は、集める期間と件数を決めて保留する
期待件数が1〜2件しかない配信先は、0件でも偶然で説明できる範囲です。この場合は外すか続けるかを決めず、期待件数が3件以上になるまでの費用と期間を出して、そこまで成果を集めてから判断します。C社の成果単価(約8,200円)で考えると、期待件数3件に必要な費用は約2.5万円です(診断サンプルの架空の会社(C社)の例です)。配信先の月の費用がその数分の1なら、何か月分を待つかが決まります。
なお、ヘルプによると、キャンペーンの変更がレポートのデータに反映されるまで最長2週間かかり、パフォーマンスのレポートは2〜4週間の間隔で実行することが推奨されています。直近の数日分だけで0件かどうかを判断しないようにします。
検索パートナーを除外するときの操作と制約
Webサイト除外には、設定の単位・件数の上限・除外できない配信面があります。外す前に次の点を確認します。
- Webサイト除外は、キャンペーン単位でも広告グループ単位でも設定でき、広告グループ単位の除外がキャンペーン単位の除外より優先されます。
- 除外できるURLは最大2,500件です。URLにはドメイン名が必要で、サブドメインは1つ、ディレクトリは最大2つまで指定できます。
- 検索キャンペーンでは、Yahoo 検索と、Microsoft の検索トラフィック(BingやAOLを含む)への配信は、Webサイト除外ではブロックできません。
- アプリの配信先は、Webサイト URL(公開元)レポートの「モバイル バンドル」列でアプリのIDを確認し、Webサイト除外リストに追加して除外します。
- 除外の後は、2〜4週間あけてから、除外前と同じ長さの期間で比較します。
Google広告からインポートしているアカウントでは、Microsoft広告側で設定した除外がインポートで戻っていないかも確認します。日本のアカウントでの除外の上限と範囲は、管理画面で確認してください。
Webサイト除外は広告グループ単位がキャンペーン単位より優先される
キャンペーン単位で除外リストを設定していても、広告グループ単位で別の除外を設定すると、その広告グループではキャンペーン単位の除外が上書きされます。広告グループ単位の除外を使っている場合は、キャンペーン単位で外した配信先が、広告グループ単位の設定にも含まれているかを確認します。なお、アカウントに関連付けた除外リストは、キャンペーンや広告グループの除外に加えて自動で適用されます。
除外できない配信面:Bing・AOL・Yahoo の検索トラフィック
検索キャンペーンでWebサイト除外を使っても、BingやAOLを含むMicrosoftの検索トラフィックと、Yahoo 検索への配信はブロックされません。除外の対象になるのは、検索パートナーの個別のサイトや、MSN・Microsoft Edge・Outlook.comなどのオーディエンスのトラフィックです。管理画面の「AOL 検索」の行に費用が出ていても、Webサイト除外では外せないということです。
TAMKOのMicrosoft広告アカウント診断で確認すること
この記事で挙げた、ネットワーク別の比較、配信先ごとのクリック率と問い合わせ、件数が判断に足りるかの確認は、TAMKOのMicrosoft広告アカウント診断で最初に確認している項目です。
Microsoft広告のアカウントを診断します。料金は無料(毎月2社まで・広告費は月50万円以上が目安)。確認する項目には、検索パートナー・オーディエンス広告の配信先ごとのクリック率と問い合わせが含まれます。エグゼクティブサマリー・調査報告書・分析の明細(Excel)・オンラインの説明会1回をお渡しします。
除外や配信設定の変更まで依頼したい場合は、Microsoft広告のお試し運用(1施策・1か月で5万円・税別)から始められます。お預かりする施策の広告費は月30万円までです。
よくある質問(FAQ)
Q01検索パートナーはクリック単価が安いので、残したほうが得ではありませんか?
クリック単価だけでは判断できません。
問い合わせ単価で比べ、コンバージョン率が自社の検索の6割未満なら、配信先まで分けて確認します。
Q02検索パートナーだけを外すと、Bing以外の提携サイトには一切出なくなりますか?
出なくなるのは追加の提携トラフィックです。
「Microsoft サイトと選択トラフィック」にも、Bingと同等の成果の提携トラフィックが含まれます(ドメイン別には表示されません)。
Q03問い合わせが0件の配信先は、すぐに除外してよいですか?
費用を比較先の問い合わせ単価で割った期待件数が3件以上あれば、除外を検討します。
それより少ない場合は、期待件数が3件以上になるまで成果を集めてから判断します。
Q04Webサイト除外でBingやYahooの検索結果を外せますか?
検索キャンペーンでは、Yahoo 検索と、Microsoft の検索トラフィック(BingやAOLを含む)は、Webサイト除外でブロックできません(公式ヘルプ記載)。
検索パートナーは配信先ごとに見て、外す所だけを外す|まとめ
Microsoft広告の検索パートナーを判断するときは、まず比べる相手を正しく置きます。「Microsoft サイトと選択トラフィック」には、Bingと同等の成果の提携トラフィックも含まれ、ドメイン別には見えません。そのうえで、検索パートナーのコンバージョン率が自社の検索の6割未満で、費用が全体の1割以上なら、外す候補として配信先まで分けます。配信先はWebサイト URL(公開元)レポートで、クリック率が不自然に高く問い合わせも資料DLも0件のものを除外候補にし、目で確認してから外します。0件が偶然かどうかは、費用を比較先の問い合わせ単価で割った期待件数で確認し、件数が足りなければ集める期間を決めて保留します。除外するときは、広告グループ単位の設定が優先されること、上限が2,500件であること、検索キャンペーンではBing・AOL・Yahooの検索トラフィックは外せないことを前提にしてください。
この記事のポイント
- Microsoft広告の配信先は「ネットワーク全体」と「Microsoft サイトと選択トラフィック」の2択で、後者にもBingと同等の成果の提携トラフィックが含まれる(ドメイン別には見えない)。
- 検索パートナーのコンバージョン率が自社の検索の6割未満で、費用の1割以上なら、外す候補として配信先まで分けて確認する。
- 配信先はWebサイト URL(公開元)レポートで、表示回数の割にクリックが不自然に多く、問い合わせも資料DLも0件のものを除外候補にする。
- 問い合わせ0件が偶然かは、費用÷比較先の問い合わせ単価=期待件数で確認し、期待件数が少なければ判断を保留して集める期間を決める。
- Webサイト除外は最大2,500件・広告グループ単位が優先・検索キャンペーンではBing・AOL・Yahooの検索トラフィックは除外できない。