TAMKO
計測と評価

Amazon広告で新商品の広告費を判断するには、損益分岐ACOS相当額を超える広告費の上限と期間を事前に設定し、既存の類似商品と購入率を比較する

新商品のスポンサープロダクト広告のACOSが損益分岐ACOSを大きく上回る場合に、広告費をどの程度まで投じるかの判断基準を設けていますか。

診断サンプルの架空の会社K社(キッチン用品メーカー。自社ブランドは「ケイライフ」)が、新商品「ステンレス保存容器 角型 4点セット」の広告を配信した場合を想定します。この商品と、以降に示すこの新商品の数値は、いずれも説明用の架空のものです。配信開始から2週間のACOS(広告費売上高比率。広告費÷広告の売上)は80.0%で、手数料などを差し引いた後の利益率に基づく損益分岐ACOS(35%と仮定)の2倍を超えます。ただし、同期間の注文は15件、カスタマーレビューは2件にとどまるため、現時点のACOSのみでは、広告を停止すべきか否かを判断できません。

そこでこの記事では、新商品の購入率(広告のクリックに対する広告経由の購入の割合)を、既存の類似商品(新商品と用途・価格帯が近く、販売実績がある自社の商品)と比較する方法を中心に、新商品の広告を既存商品と別のキャンペーンで配信する手順、損益分岐ACOS相当額を超える広告費の上限の設定方法、購入率の判断に必要な広告費の算出方法、注文が少ない時期に確認する指標の順番、新商品の広告を始めてからの一定の期間(以下、立ち上げの期間)の終了時の判断を、Amazon Adsの公式ヘルプとガイドに基づいて整理します。

この記事の対象読者は、Amazonに自社ブランドの商品を出品し、新商品のスポンサープロダクト広告の予算設定と継続の可否を判断する担当者の方です。

Amazon広告のアカウント診断において、検索語句ごとの成果と、総売上(広告経由以外を含む売上)に対する広告費の比率を毎回確認しているTAMKOの立場から解説します。

【結論】Amazon広告で新商品に広告を配信する場合は、立ち上げの投資額の上限と期間を事前に設定し、既存の類似商品と購入率を比較して継続を判断する

レビューと注文が少ない時期の新商品は、既存の類似商品に比べて購入率が低い傾向があり、ACOSは損益分岐ACOSを上回りやすくなります。そのため、新商品の広告では、損益分岐ACOS相当額(広告の売上×損益分岐ACOS)を超えた広告費の累計(以下、立ち上げの投資額。略して投資額とも書きます)について、配信開始前に上限を設定し、その上限を適用する立ち上げの期間(略して期間とも書きます)も決めて、広告費を管理します。立ち上げの期間中は、ACOSだけで継続を判断せず、立ち上げの投資額の累計を上限と比較します。指標は、インプレッション数・CTR(クリックスルー率)・購入率の順に既存の類似商品と比較し、レビュー数と総売上は推移を確認します。立ち上げの期間の終了時に、直近2週のACOSも用いて、新商品の広告を通常の運用に移行するか、立ち上げの期間を延長するか、広告費を縮小するかを決定します。

Amazon広告で新商品に投じる広告費を、比較対象の把握、立ち上げの投資額の上限と期間の設定、キャンペーンの分割、指標の確認、期間の終了時の判断という5段階で決める手順を示した図
立ち上げの期間中は、新商品の広告をACOSだけで判断しない。損益分岐ACOS相当額を超えた広告費の累計が、事前に定めた上限の範囲内か否かで広告費を管理する。

この記事では、公式ガイド「広告キャンペーンを作成するためにASINについて理解する」の注記に従い、Amazonに追加されてから90日以内の商品を新商品と呼びます。同ガイドの注記には「新商品とは、過去90日間にAmazonに追加された商品を指します」と記載されています。

損益分岐ACOSは、販売価格から原価・Amazonの販売手数料・配送費などを差し引いた利益率をもとに算出します。具体的な手順は「Amazon広告のTACOSとは?損益分岐ACOSでキャンペーンを種類ごとに仕分ける方法」で解説しています。

新商品の広告を開始する手順:配信前の確認事項と、既存商品とのキャンペーンの分割

よくある場面

新商品「ステンレス保存容器 角型 4点セット」を既存の保存容器と同じ広告グループに追加したため、検索語句ごとの成果を商品別に確認できない。

新商品の広告は、商品がおすすめ出品として表示され、在庫があることを確認してから配信します。キャンペーンは、既存商品とは別に作成します。検索ワードレポートには広告対象の商品を示す列がなく、1日の予算はキャンペーンごとに設定するため、同じ広告グループで配信すると、検索語句ごとの成果も1日の予算も新商品単独では管理できません。

Amazon広告で新商品を既存商品と同じ広告グループに追加する方法と、独立したキャンペーンで配信する方法について、検索語句ごとの成果確認と広告費上限の設定可否を比較した図
広告商品レポートでは、新商品と既存商品が同じ広告グループにあっても商品ごとの成果を確認できる。検索語句ごとの成果と予算を新商品単独で管理するには、キャンペーンを分ける。

公式ガイド「スポンサープロダクト広告のベストプラクティス」(以下、ベストプラクティスのガイド)は、商品がおすすめ出品(カート)として表示されていることの確認を求めています。また、おすすめ出品として表示されるためにも、広告の掲載資格を得るためにも、在庫が必要だとしています。同ガイドは、「カスタマーレビューが5つ以上あり、評価の星の数が3.5以上の商品」の広告を掲載することも推奨しています。発売直後の新商品はこのレビューの条件(5件以上・星評価3.5以上)を満たさないことが多いため、次章で説明する立ち上げの投資額の上限を決めてから広告を配信します。

新商品を既存商品と別の広告グループにする理由は2つあります。1つは、ベストプラクティスのガイドが、同じカテゴリー内で価格帯とコンバージョンに基づいてASIN(商品を識別する10桁の英数字)をグループ化し、ROAS(広告の売上÷広告費。ACOSの逆数)のパフォーマンスが異なる商品を混在させないよう推奨していることです。レビューが少ない時期の新商品は、既存商品と購入率が異なるため、ROASも異なる可能性が高く、この推奨の対象に該当します。もう1つは、公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告の検索ワードレポート」の列の定義に、各行の広告対象の商品を示す項目がないことです。新商品を既存商品と同じ広告グループに追加すると、検索語句ごとの成果は、新商品と既存商品の合計になります。

さらに、1日の予算はキャンペーンごとに設定し、期間の予算上限はキャンペーンをまとめたポートフォリオごとに設定します。新商品の広告だけの予算と上限を設定するには、広告グループではなくキャンペーンを分けます。

商品ごとの成果は、広告商品レポートで確認できます。公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告の広告商品レポート」によると、このレポートは広告対象ASINごとの売上とパフォーマンス指標を示すもので、時間単位は概要と日次の2種類です。

ターゲティングには、オートターゲティングのキャンペーンと、既存の類似商品で成果のある検索語句をキーワードに指定するマニュアルターゲティングのキャンペーンを併用する方法があります。ベストプラクティスのガイドは、オートターゲティングについて、広告開始時に最も簡単な方法と説明し、オートターゲティングのキャンペーンを補完するマニュアルターゲティングのキャンペーンの作成と、新商品の認知度向上を目的としたカテゴリーターゲティングの活用も挙げています。2つのキャンペーンで配信する場合は、両方を同じポートフォリオに追加し、1日の予算は2つのキャンペーンの合計額で考えます。

新商品のACOSと立ち上げの投資額:損益分岐ACOSを上回る理由と、投資額の上限の設定方法

よくある場面

新商品の広告のACOSが配信開始から2週間で80.0%に達し、損益分岐ACOS(35%)を大きく上回っている。

ACOSはクリック単価を1クリックあたりの売上で割った値であり、後者は購入率が低いほど小さくなります。レビューが少ない時期の新商品は購入率が低い傾向があるため、クリック単価が既存の類似商品のクリック単価と同じ水準であっても、ACOSは高くなります。立ち上げの期間中は、ACOSだけで継続を判断せず、立ち上げの投資額の累計を事前に定めた上限と比較し、広告費を管理します。

Amazon広告における新商品の立ち上げの投資額の算出式(立ち上げの期間中の広告費の累計−広告の売上×損益分岐ACOS)を示した図
ACOSが損益分岐ACOSを上回る2週は立ち上げの投資額が増加し、下回る2週は減少する。この式は、広告を配信しなくても発生した売上を広告の売上から差し引いておらず、広告による広告経由以外の売上の増加分も加えていない。

ACOSをクリック単価・注文単価・購入率に分解する考え方は、「Amazon広告の商品ターゲティングとは?競合ASINごとに継続か停止かを判断する手順」で解説しています。ベストプラクティスのガイドは、広告の売上がない、または低い場合に確認する点として、おすすめ出品・商品詳細ページとともに、商品のレビューや評価を挙げています。

K社の新商品の最初の2週間の実績は、広告費43,200円、広告の売上54,000円です(説明用の架空の数値)。立ち上げの投資額は、43,200円−54,000円×35%=24,300円です。

立ち上げの投資額の上限は、新商品の広告を通常の運用に移行した後の利益で回収できる範囲で設定します。K社の例では、移行後の新商品の月間利益(広告経由以外の売上を含み、広告費控除後)を3万円と見込み、2か月で回収する前提で上限を6万円とします(説明用の架空の数値)。月間利益の見込額は、既存の類似商品の発売後の実績を参考に設定します。

立ち上げの投資額の算出には、売上の計上が確定した期間の数値を用います。公式ヘルプ「広告キャンペーンのアトリビューション」によると、出品者のスポンサープロダクト広告では、クリックから7日以内の購入額が広告の売上として計上され、アトリビューション指標はルックバックウィンドウ(クリックから7日間)が終了するまで未完成です。このため、確認日から7日以内の数値は算出から除きます。その理由は「Amazon広告の推奨入札額で入札してよいか?損益分岐クリック単価を算出して比較する」で解説しています。

購入率の判断に必要な広告費:既存の類似商品の購入率とクリック単価から算出する

よくある場面

新商品の広告の2週間の注文は15件で、購入率が低いのか、注文数の不足により判断できない段階なのかを判別できない。

購入率の高低を判断するには、一定の注文数が必要です。必要なクリック数は、判断に用いる注文数を見込みの購入率で割って求めます。これにクリック単価を掛けた額が、購入率の判断に必要な広告費です。1日の予算は、この広告費を、購入率を判断するまでの期間(この記事の例では2週間)の日数で割った額を目安とします。立ち上げの期間全体の広告費は、ポートフォリオの期間の予算上限で制限します。

Amazon広告で新商品の購入率の判断に必要な広告費を、診断サンプル(架空の会社K社)の一般語の検索語句5つについて、注文25件・購入率が各検索語句の実績の半分という仮定で算出した横棒グラフ。ステンレス 保存容器 約4.7万円、保存容器 ステンレス 密閉 約4.7万円、片手鍋 ステンレス 18cm 約6.1万円、作り置き 容器 ステンレス 約4.9万円、計量スプーン ステンレス 約2.2万円
保存容器の新商品の比較対象は、保存容器の3つの検索語句(約4.7万〜約4.9万円)。「片手鍋 ステンレス 18cm」と「計量スプーン ステンレス」は、新商品の種類によって判断に必要な広告費が約2.2万円から約6.1万円まで変わることを示す例で、保存容器の類似商品ではない。

判断に用いる注文数は、この記事では25件を目安とします。注文数が少ないと、購入率は偶然の影響で大きく変動します。25件は、注文数の偶然による変動の幅が±20%程度(±5件)に収まる最低限の件数です。この基準の考え方は、前述の推奨入札額に関する記事の章「入札額を決める前と変更した後に確認すること」で解説しています。

見込みの購入率は、既存の類似商品の実績をもとに設定します。診断サンプルのK社の例では、既存の類似商品(K社の既存のステンレス保存容器)を広告した一般語の検索語句「ステンレス 保存容器」の12か月間の実績は、広告費999,000円・クリック13,934回・注文1,069件で、購入率は7.67%(1,069÷13,934)、クリック単価は71.7円(999,000÷13,934)です(この検索語句の広告対象は既存の保存容器と仮定します)。レビューが少ない時期の新商品の購入率を、この半分の3.836%(約3.84%)と仮定すると(説明用)、注文25件に必要なクリック数は約652回(25÷3.836%)、判断に必要な広告費は約46,750円(652回×71.7円。約4.7万円)です。

同じ計算をK社の一般語の検索語句5つで行うと、判断に必要な広告費には約2.2万円から約6.1万円の幅があります(上の横棒グラフ)。保存容器の新商品の比較対象になるのは保存容器の3つの検索語句で、約4.7万〜約4.9万円です。片手鍋と計量スプーンの検索語句は、新商品の種類によって判断に必要な広告費が変わることを示す例です。購入率が実績の半分という仮定では、判断に必要な広告費は「注文25件×2×実績の注文1件あたりの広告費(広告費÷注文数)」に等しくなります。新商品と既存の類似商品の購入率が同水準であれば、判断に必要な広告費はその半分です。

注文25件を2週間で獲得する場合、1日の予算の目安は約3,400円です(約46,750円÷14日=約3,339円を、百円単位で切り上げた額。2つのキャンペーンで配信する場合は合計額)。ベストプラクティスのガイドは、開始時の1日の予算を10ドルまたは同等の額に設定するよう推奨していますが、新商品では、この額と、判断に必要な広告費から算出した額(K社の例では約3,400円)を比較して1日の予算を決めます。同ガイドによると、1日の予算は、1か月を通じてキャンペーンに費やせる日あたりの金額です。

立ち上げの期間全体の広告費は、ポートフォリオの期間の予算上限で制限できます。公式ヘルプ「ポートフォリオの予算」によると、ポートフォリオの予算上限は、予算期間中にポートフォリオ内の全キャンペーンが支出できる最大額です。「期間の予算上限」を選ぶと特定の期間を指定でき、上限に達すると全キャンペーンの配信が停止します。K社の例では、立ち上げの期間を8週間(2週ごとの確認を4回)とし、新商品の広告を1日の予算3,400円で56日間配信する場合、期間の予算上限は190,400円です。ポートフォリオの期間の予算上限で管理できるのは広告費であり、立ち上げの投資額ではありません。立ち上げの投資額は、前章の式で別に算出します。

注文が少ない時期に確認する指標の順番:インプレッション数・CTR・購入率・レビュー数と総売上

よくある場面

新商品の広告のクリック数は増加しているが注文数が少なく、どの指標で配信の継続を判断するかが決まっていない。

配信開始直後から判断に用いることができる指標は、インプレッション数です。続いてCTRを、注文が25件に達した後は購入率を、この順に既存の類似商品の値と比較します。レビュー数と総売上は、2週ごとに推移を確認します。

Amazon広告で新商品について確認する指標を、インプレッション数、CTR、購入率、レビュー数と総売上(広告経由以外を含む)の4段階で、データが集まる順に示した図
注文が少ない時期のACOSは、数件の増減で大きく変動する。このため、データが先に集まる指標から順に確認する。

ベストプラクティスのガイドは、配信開始後の1週間は少なくとも週2回のモニタリングを推奨し、主な指標としてインプレッション数・クリック数・売上などを挙げています。新商品では、これらの指標を既存の類似商品の値と比較します。広告商品レポートでは、インプレッション数・購入率・CTRを商品ごとに確認できます。CTRは、クリック数をインプレッション数で割って算出します。

インプレッション数が少ない場合は、まずおすすめ出品が表示されているか、在庫があるかを確認します。同ガイドは、インプレッションがない、または少ない場合の対応として、オートターゲティングのみを使用している場合のキャンペーン予算の引き上げと動的な入札(アップとダウン)による入札額の調整を挙げ、マニュアルターゲティングの使用も挙げています。CTRが既存の類似商品のCTRより低い場合は、メイン画像・商品名・価格を確認します。同ガイドは、競争力のある商品価格が広告のクリックにつながる可能性があると説明しています。

レビュー件数と星評価は広告の管理画面では確認できないため、Amazonの商品詳細ページで2週ごとに記録します。広告経由以外を含む新商品の総売上をセラーセントラルで把握し、TACOS(広告費÷総売上。Amazonの公式用語ではありません)の推移を確認します。

期間クリック数注文数購入率広告費ACOS立ち上げの投資額(累計)レビュー件数(期末)
1〜2週600152.5%43,200円80.0%24,300円2件
3〜4週640264.1%46,080円49.2%37,620円6件
5〜6週660406.1%47,520円33.0%34,740円11件
7〜8週660467.0%47,520円28.7%24,300円15件
8週間の合計2,5601275.0%184,320円40.3%24,300円15件

表の数値は説明用の架空のもので、クリック単価を72円、注文単価を3,600円としています(広告の売上=注文数×3,600円)。損益分岐ACOSは、K社の手数料などを差し引いた後の利益率(35%と仮定)と同じ35%です。各期間の値は、期末から7日以上経過した後に集計したものです。

1〜2週は、購入率が見込みの3.836%を下回る2.5%で、クリックも600回と652回に届かなかったため、注文は25件に届かず15件でした。このため、1〜2週の購入率は判断に用いません。3〜4週は注文26件で、購入率4.1%は既存の類似商品の購入率(7.67%)の約53%です。購入率は5〜6週に6.1%、7〜8週に7.0%(既存の類似商品の購入率の約91%)へ上昇し、レビュー件数は3〜4週末の6件から7〜8週末の15件に増加しています。ただし、購入率上昇の要因はレビュー件数の増加に限られません。ACOSは80.0%から28.7%まで低下し、5〜6週以降は損益分岐ACOS(35%)を下回っています。立ち上げの投資額の累計は3〜4週の37,620円が最大で、上限の6万円の範囲内です。3〜8週の増減(+13,320円・−2,880円・−10,440円)が相殺するため、8週間の累計は1〜2週と同じ24,300円になります。

公式ヘルプ「スポンサープロダクト広告の検索ワードレポート」と「スポンサープロダクト広告の広告商品レポート」によると、レポートで遡れる期間(公式ヘルプの表記はルックバックウィンドウですが、クリックから7日間の計上期間とは別のものです)は、検索ワードレポートが65日、広告商品レポートが90日です。8週間に計上の確定を待つ7日を加えると63日です。立ち上げの期間を延長すると、最初の週の検索ワードレポートが65日を超えて取得できなくなるため、期間の途中でダウンロードして保存します。

立ち上げの期間の終了時の判断:通常の運用への移行・期間の延長・広告費の縮小

よくある場面

8週間の立ち上げの期間が終了し、新商品の広告を通常の運用に移行するか、立ち上げの期間を延長するかを決める必要がある。

立ち上げの期間の合計のACOSではなく、直近2週のACOS、立ち上げの投資額の累計、購入率(見込みの購入率との比較と、直近2週とその前の2週の比較)の3点で、新商品の広告の扱いを判断します。直近2週のACOSが損益分岐ACOS以下であれば、新商品の広告を通常の運用に移行します。立ち上げの投資額の累計が上限に達したとき、または購入率が見込みの購入率を下回るか上昇していないときは、広告費を縮小し、商品詳細ページと価格を見直します。直近2週の購入率が見込みの購入率以上で、その前の2週の購入率を上回っている場合は、投資額の上限の範囲で立ち上げの期間を延長します。

Amazon広告で新商品の立ち上げの期間の終了時に、直近2週のACOS、立ち上げの投資額の累計、既存の類似商品をもとにした見込みの購入率との比較と購入率の推移によって新商品の広告を4区分に分類し、通常の運用への移行・広告費の縮小・期間の延長のいずれかを決める分岐図
立ち上げの期間の合計のACOSには、購入率が低かった初期の数値が含まれる。継続の判断には直近2週の値を用い、立ち上げの投資額の累計は今後の回収対象として記録する。

K社の新商品は、7〜8週のACOSが28.7%で、損益分岐ACOS(35%)以下のため区分1に該当し、広告を通常の運用に移行します。8週間の合計のACOSは40.3%で損益分岐ACOSを上回りますが、これには購入率が低かった最初の4週間が含まれます。立ち上げの投資額の累計24,300円は、移行後の利益で回収する額として記録します。移行後は、新商品のキャンペーンも他のキャンペーンと同様に、ACOSを損益分岐ACOSと比較して継続を判断します。

延長する場合も、延長後の期間と投資額の上限を事前に決めます。この記事では、延長後の期間を、新商品がAmazonに追加されてから90日以内に収めることを目安とします。

広告費を縮小する場合は、1日の予算を引き下げるか、キャンペーンを一時停止します。購入率が上昇しないときは、入札額やターゲティングを変更する前に、その要因を商品自体(価格・仕様)と商品詳細ページ(画像・箇条書き・レビュー)に分けて確認します。広告の再開は、ベストプラクティスのガイドが推奨する「カスタマーレビュー5件以上・星評価3.5以上」を満たした時点を目安とします。

TAMKOのAmazon広告アカウント診断で確認すること

この記事に関わる3点(検索語句ごとの成果、在庫切れなどでおすすめ出品を失い広告が配信されなかった日、総売上に対する広告費の比率)は、TAMKOのAmazon広告アカウント診断で毎回確認している項目です。

TAMKOのAmazon広告アカウント診断の確認項目のうち、「オートとマニュアルに出た検索語句と、商品ターゲティングで狙った商品ページ」「在庫切れなどでおすすめ出品(カート)を失い、広告が出なかった日」「広告以外を含む全体の売上に対する広告費(TACOS)」の3項目を示した図
診断ページに記載している確認項目のうち、この記事に関わる3項目(文言は原文のまま)。

診断ページには「現状の配分を続けてよいという判断も、診断の結論です。」と記載しています。改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添えます。料金は、診断・報告書・説明会まで無料(毎月2社まで)です。

詳しくは、診断ページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q01新商品の広告は、カスタマーレビューが無い状態で配信してもよいですか?

配信できます。

ベストプラクティスのガイドは、広告目標の例に「新商品のプロモーション」を挙げています。ただし、同ガイドは「カスタマーレビューが5つ以上あり、評価の星の数が3.5以上の商品」の広告の掲載を推奨しています。レビューが少ない時期はACOSが損益分岐ACOSを上回りやすいため、立ち上げの投資額の上限を決めてから、その範囲内で広告費を投じます。

Q02新商品の広告のACOSは、どの水準を目標にすればよいですか?

Amazonは公式の目標値を示していません。

立ち上げの期間中は、ACOSだけで継続を判断せず、立ち上げの投資額の累計を上限と比較して広告費を管理してください。通常の運用への移行後は、ACOSを損益分岐ACOS(手数料などを差し引いた後の利益率から算出)以下に収めることを目安とします。

Q03立ち上げの期間は、何週間にすればよいですか?

判断に必要な注文数を獲得できる期間をもとに決めます。

この記事の例では、1日の予算を、注文25件を2週間で獲得できる額とし、立ち上げの期間を、2週ごとの確認を4回行う8週間としています。延長する場合も、新商品がAmazonに追加されてから90日以内に収めることを目安とします。

Q04新商品を既存商品の広告グループに追加してはいけませんか?

追加は可能です。

ベストプラクティスのガイドにも、新しい商品は既存の広告グループにいつでも追加できると記載されています。ただし、検索語句ごとの成果が新商品と既存商品の合計になり、新商品の広告だけの1日の予算やポートフォリオの期間の予算上限も設定できないため、立ち上げの期間中は新商品の広告を独立したキャンペーンで配信します。

Amazon広告の新商品には立ち上げの投資額の上限内で広告費を投じ、既存の類似商品との購入率の比較で継続を判断する|まとめ

Amazonで新商品の広告を配信すると、レビューと注文が少ない時期は購入率が低い傾向があり、ACOSは損益分岐ACOSを上回りやすくなります。新商品の広告は既存商品と別のキャンペーンで配信し、開始前に、立ち上げの投資額(損益分岐ACOS相当額を超えた広告費の累計)の上限と立ち上げの期間を決めます。購入率の判断に必要な広告費は「判断に用いる注文数÷見込みの購入率×クリック単価」で算出し、1日の予算とポートフォリオの期間の予算上限に反映します。立ち上げの期間中はACOSだけで継続を判断せず、インプレッション数・CTR・購入率の順に既存の類似商品の値と比較し、レビュー数と総売上は推移を確認します。立ち上げの期間の終了時に、直近2週のACOS、立ち上げの投資額の累計、購入率で、通常の運用への移行・期間の延長・広告費の縮小を決めます。

この記事のポイント

  • レビューと注文が少ない時期の新商品は、既存の類似商品に比べて購入率が低い傾向にあり、ACOSは損益分岐ACOSを上回りやすい。
  • 新商品の広告の配信前に、立ち上げの投資額(損益分岐ACOS相当額を超えた広告費の累計)の上限と、その適用期間(立ち上げの期間)を決める。
  • 購入率の判断に必要な広告費は「判断に用いる注文数÷見込みの購入率×クリック単価」で算出し、1日の予算とポートフォリオの期間の予算上限に反映する。
  • 検索ワードレポートには広告対象の商品を示す列がなく、1日の予算はキャンペーンごとに設定するため、新商品の広告は既存商品と別のキャンペーンで配信する。
  • 立ち上げの期間中は、インプレッション数・CTR・購入率の順に既存の類似商品の値と比較し、レビュー数と総売上は推移を確認する。
  • 立ち上げの期間の終了時には、合計のACOSではなく、直近2週のACOS、立ち上げの投資額の累計、購入率で、通常の運用への移行・期間の延長・広告費の縮小を決める。