TAMKO
配信と設定

LinkedIn広告で配信の最大化を継続するか、単価上限・手動入札に切り替えるかは、予算の消化率と問い合わせ単価を確認して判断する

LinkedIn広告で、広告セットの入札戦略を作成時の配信の最大化(自動)のまま運用しており、単価上限や手動入札に切り替えるべきかを判断できないことはありませんか。

よく見られる状況は、次の3つです。

そこで本記事では、3つの入札戦略の違いと目的ごとの選択肢を公式ヘルプで確認したうえで、配信の最大化を継続するか切り替えるかの判断手順、切り替える場合の設定額と入札額の決め方、切り替え後の評価方法を説明します。例には、診断サンプルのN社(法人向け情報セキュリティサービス会社)と説明用の数値を使います。いずれも架空です。

本記事は、LinkedIn広告を運用しているBtoB企業の担当者のうち、最終成果を問い合わせ件数、中間成果を資料DL件数で評価している方を対象としています(リード獲得フォームの送信は資料DLとして数えます)。また、本記事の問い合わせ単価は、費用をクリック後の問い合わせ件数で割って算出します。

TAMKOは、LinkedIn広告のアカウント診断において広告セットごとの入札戦略と予算を確認しており、本記事はその診断で得た知見に基づいています。

【結論】LinkedIn広告の入札戦略を切り替えるかは、予算の消化率と問い合わせ単価で判断する

配信の最大化(自動)を使う広告セットが予算を使い切り、問い合わせ単価(クリック後)が自社の上限以内であれば、入札戦略を切り替える必要はありません。問い合わせ単価が上限を超えている場合は、単価が上昇した要因と、予算に対する対象者数を確認したうえで、単価上限(目的によっては選択できない)または手動入札への切り替えを検討します。

LinkedIn広告の入札戦略の判断:予算の消化率と問い合わせ単価(クリック後)の組み合わせで、対応を「配信の最大化を継続」「切り替えを検討」「単価上限の設定額・入札額と対象者数を確認」「対象者数と広告を確認」の4つに分けたマトリクス
問い合わせ単価の上限は、受注1件の粗利などから自社で定める値。問い合わせ単価は、表示後のコンバージョンを除き、クリック後の問い合わせ件数で算出する。

確認の手順は次のとおりです。

  1. 広告セットの目的・最適化の目標・広告フォーマットから、選択できる入札戦略を確認する
  2. 配信の最大化を使う広告セットについて、予算の消化率・問い合わせ単価・対象者数と平均頻度を確認する
  3. 切り替える場合は、問い合わせ単価の上限から単価上限の設定額や手動入札の入札額の目安を算出し、その目安を推奨入札単価と比較する
  4. 切り替え後は、最初の7日間(単価が変動しやすい期間)を除き、データ量の多い指標から評価する

LinkedIn広告の3つの入札戦略:配信の最大化・単価上限・手動入札の違い

よくある場面

広告セットの作成時にキャンペーンマネージャーが自動で選択した入札戦略を、配信の開始後に一度も見直していない。

LinkedIn広告の入札戦略は、配信の最大化(自動)・単価上限・手動入札の3つです。配信の最大化ではキャンペーンマネージャーが予算全体の消化を目標に自動で入札し、単価上限では主要結果1件あたりの単価(設定額)を、手動入札では入札額を、それぞれ広告主が設定します。

LinkedIn広告の入札戦略の違い:配信の最大化・単価上限・手動入札の順に、広告主が入札額を管理できる度合いが大きくなり、予算の消化率が単価上限の設定額や入札額に左右されることを示した図
予算の消化に関する記載は、公式ヘルプ「キャンペーンと広告セットの入札戦略について」の概要表に基づく。

公式ヘルプ「キャンペーンと広告セットの入札戦略について」では、3つの入札戦略が次のように説明されています(英語名は英語版ヘルプの表記です)。

  • 配信の最大化(自動、Maximum delivery):予算全体を最も効率的に消化し、主要結果の数が最も多くなるよう自動で入札する。入札額も単価上限の設定額も指定できない
  • 単価上限(Cost cap):広告主が主要結果1件あたりの単価を設定し、キャンペーンマネージャーがその値を基準にオークションの入札額を自動で調整する。設定額は平均の結果単価を抑えるための基準であり、実際の平均値はこれと異なる場合がある
  • 手動入札(Manual bidding):主要結果に対する入札額を広告主が設定する。金額を細かく管理できる一方、配信の最大化や単価上限と同等の成果が得られるとは限らない

日本語のヘルプには、配信の最大化を「最大配信」、単価上限を「コストキャップ」と表記したページもあります。いずれも同じ入札戦略を指します。入札戦略ごとの課金の単位と、インプレッション課金の場合の平均CPCの解釈は、コラム「LinkedIn広告の費用が高い原因を特定する方法|クリック単価と問い合わせ単価を分解」で説明しています。

推奨入札単価は、他の広告主の入札などから算出される

単価上限または手動入札を選択すると、キャンペーンマネージャーに推奨入札単価(英語版ヘルプではBid suggestions)が表示されます。この値は、同じオーディエンスを対象とする他の広告主の入札などから算出されたものです。推奨入札単価と自社の問い合わせ単価の上限との比較方法は、後述の「単価上限の設定額と手動入札の入札額は、問い合わせ単価の上限から逆算する」の章で説明します。

目的ごとの入札戦略の選択肢:目的がウェブサイトのコンバージョンの場合、単価上限は対象外

よくある場面

問い合わせ単価を抑えるため単価上限の設定を検討しているが、目的がウェブサイトのコンバージョンである広告セットでは、入札戦略の選択肢に単価上限が表示されない。

選択できる入札戦略は、広告セットの目的・最適化の目標・広告フォーマットによって異なります。公式ヘルプ「LinkedIn広告の目的ベースの価格設定について」の表によると、最適化の目標がウェブサイトのコンバージョンの場合は配信の最大化(自動)と手動入札(拡張)の2つで、単価上限は含まれません。単価上限は、リード獲得(最適化の目標がリード)などで選択できます。手動入札(拡張)は、強化入札を使う手動入札です(後述)。

LinkedIn広告の目的ごとに選択できる入札戦略:ウェブサイトのコンバージョンでは配信の最大化と手動入札(拡張)、リード獲得(最適化の目標:リード)ではこの2つに単価上限を加えた3つ、リード獲得(最適化の目標:候補リード)では配信の最大化のみであることを示した図
公式ヘルプ「LinkedIn広告の目的ベースの価格設定について」の表から、スポンサードコンテンツのうち問い合わせと資料DLに関わる組み合わせを抜粋した。スポンサードメッセージ広告は含めていない。

公式ヘルプ「LinkedIn広告の目的ベースの価格設定について」には、目的ごとの最適化の目標・入札戦略・課金の単位の組み合わせが表で示されています。スポンサードコンテンツの場合、配信の最大化と単価上限はインプレッション課金、手動入札(拡張)は、ウェブサイトのコンバージョンではランディングページのクリック、リード獲得(リード)ではクリックが課金の単位です。

N社の例:問い合わせを集める広告セットでは、単価上限を選択できない

N社(診断サンプルの架空の会社)では、問い合わせを集める広告セット(スポンサードコンテンツ)の目的はウェブサイトのコンバージョン、資料DLを集める広告セット(ドキュメント広告)の目的はリード獲得です。公式ヘルプの表によると、前者で選択できる入札戦略は配信の最大化と手動入札(拡張)で、単価上限で問い合わせ単価を抑えることはできません。後者については、公式ヘルプ「単価上限入札戦略」の表に記載された広告フォーマットにドキュメント広告が含まれていないため、単価上限を選択できるかをキャンペーンマネージャーで確認します。

手動入札(拡張)では、入札額が自動で調整される

公式ヘルプ「手動入札」によると、スポンサードコンテンツの手動入札では強化入札(英語版ヘルプではEnhanced bidding。目的ベースの価格設定のページでの表記は「手動入札(拡張)」)を利用できます。強化入札では、コンバージョンにつながりやすいと見込まれるオークションでは設定した入札額が引き上げられ、つながりにくいと見込まれるオークションでは引き下げられます。最適化の目標がウェブサイトのコンバージョンまたはリードの場合は、この調整を無効にできません。したがって、手動入札を選択しても、設定した入札額がそのまま毎回の入札に使われるとは限りません。

配信の最大化を継続するかを判断する3つの項目:予算の消化率/問い合わせ単価/対象者数と平均頻度

よくある場面

配信の最大化(自動)を使う広告セットで問い合わせ単価が前四半期より上昇しているが、単価上限や手動入札への切り替えの要否を判断できていない。

配信の最大化を継続するかは、予算の消化率・問い合わせ単価(クリック後)と自社の上限との差・対象者数と平均頻度の3項目で判断します。予算を使い切り、問い合わせ単価が上限以内であれば、現在の入札戦略を継続します。なお、目的がウェブサイトのコンバージョンである広告セットでは単価上限を選択できないため、切り替え先は手動入札(拡張)になります。

LinkedIn広告の問い合わせ単価と結果単価の比較:N社の2つの広告セットの結果単価(表示後のコンバージョンを含む)は50,612円と46,075円、問い合わせ単価(クリック後)は72,544円と71,993円で、問い合わせ単価はどちらも上限90,000円以内であることを示したグラフ
結果単価(費用÷表示後を含むコンバージョン数)は、問い合わせ単価(費用÷クリック後の問い合わせ数)より、情報システムの管理職で約30%、サイト訪問者で約36%低い。上限と比較するのは問い合わせ単価である。N社は診断サンプルの架空の会社。

予算の消化率:平均日消費支出÷1日の予算

予算の消化率は、列の表示を「予算と入札単価」(英語版ヘルプではBudget and Bid)に設定し、平均日消費支出(Average Daily Spend)を1日の予算(Daily Budget)で割って算出します(列名は日本語版ヘルプに基づきます。画面上の名称はキャンペーンマネージャーで確認してください)。

1日の予算を連続スケジュールで設定した場合、特定の日の支出が1日の予算を最大100%上回ることはありますが、月曜日から日曜日までの1週間の支出はその7倍を超えません(公式ヘルプ)。日ごとの支出は変動するため、消化率はこの1週間を単位として算出します。配信の最大化を使う広告セットで消化率が低い場合は、入札戦略ではなく、予算に対して対象者数が少ないことが原因である可能性があります。

問い合わせ単価:キャンペーンマネージャーの結果単価ではなく、クリック後の問い合わせ件数から算出する

目的がウェブサイトのコンバージョンである広告セットでは、主要結果はコンバージョンであり、これには表示後のコンバージョン(広告が表示されただけでクリックしなかったメンバーによるコンバージョン)も含まれます。そのため、キャンペーンマネージャーの結果単価は、費用をクリック後の問い合わせ件数で割った問い合わせ単価より低くなります。上限と比較する単価は、費用÷問い合わせ(クリック後)で算出します。

N社(診断サンプルの架空の会社)の12か月の実績のうち、問い合わせを集める広告セットで配信中のスポンサードコンテンツ2つ(停止中のメッセージ広告を除く)の単価は次のとおりです。

  • 情報システムの管理職:費用4,352,649円、問い合わせ(クリック後)60件・表示後のコンバージョン26件。問い合わせ単価は72,544円、結果単価は50,612円
  • サイト訪問者:費用1,151,881円、問い合わせ(クリック後)16件・表示後のコンバージョン9件。問い合わせ単価は71,993円、結果単価は46,075円

N社の問い合わせ単価の上限は90,000円です(受注1件の粗利300万円×問い合わせからの受注率15%×広告費に充てる割合20%。各値は仮の値)。2つの広告セットの問い合わせ単価はどちらも上限以内であるため、予算を使い切っている場合は、入札戦略を切り替える理由はありません。問い合わせ単価の上限の算出方法は、Microsoft広告のコラム「Microsoft広告をBtoBで評価する方法|問い合わせ単価の上限と資料DLの分け方」で説明しています。

対象者数と平均頻度:対象者数に対する予算の大きさを確認する

公式ヘルプ「配信を最大化する入札戦略」によると、広告セットの予算に対してオーディエンスの対象者数が少ない場合、同じメンバーに広告が複数回表示され、平均頻度が上昇してリーチが減少することがあります。平均頻度は、広告が表示されたメンバー1人あたりの平均インプレッション数です(モデルによる概算値)。

N社(診断サンプルの架空の会社)のサイト訪問者向けの広告セットでは、月間費用は89,693円〜104,880円で推移している一方、対象者数は2025年10月の4,300人から2026年9月には1,400人に減少し、月間の平均頻度は4.49回から10.73回に上昇しています。対象者1人あたりの月間費用は、2025年10月の約22円(費用94,623円÷4,300人)から、2026年9月の約68円(費用94,612円÷1,400人)に増加しています。このような場合は、入札戦略よりも先に、予算と対象者数の比率を確認します。

単価上限の設定額と手動入札の入札額は、問い合わせ単価の上限から逆算する

よくある場面

手動入札への切り替えにあたり、キャンペーンマネージャーに表示された推奨入札単価をそのまま設定してよいかを判断できない。

推奨入札単価は、他の広告主の入札などから算出された値で、自社の問い合わせ単価の上限は反映されていません。ランディングページのクリックで課金される手動入札(拡張)では、「問い合わせ単価の上限×コンバージョン率」でクリック単価の目安を算出し、その目安を現在の平均CPCおよび推奨入札単価と比較します。単価上限の設定額は、問い合わせ単価の上限から資料DLの単価の上限を逆算して決めます。

LinkedIn広告の手動入札の目安:問い合わせ単価の上限にコンバージョン率を掛けて、上限以内に収まるクリック単価を算出する式の図
クリック単価の目安は、問い合わせ単価=平均CPC÷コンバージョン率の関係から求める。コンバージョン率には表示後のコンバージョンを含めない。

公式ヘルプ「手動入札」では、広告セットの結果が事業にもたらす価値に基づいて入札額を決めることが推奨されています。問い合わせを成果とするBtoBの広告セットでは、その価値の基準が問い合わせ単価の上限です。なお、入札額を入力する欄の単位は、キャンペーンマネージャーの画面で確認してください。

目的がウェブサイトのコンバージョンである広告セットでは、クリック数は課金対象のクリック、すなわち広告のリンク先URLを開く導入文・見出しのクリックとCTAボタンのクリックです。会社のロゴや会社名、いいね・コメントなどのクリックは含まれません(公式ヘルプ)。コンバージョン率と平均CPCは、このクリック数で算出します。

計算の例:上限から、平均CPCの引き下げ幅を算出する

次の表は、目的がウェブサイトのコンバージョンで配信の最大化を使う広告セット1つについて、6か月の実績を例示したものです(説明用の架空の数字で、N社のものではありません。上限の90,000円のみ、N社と同じ仮の値を使います)。

項目値計算
費用3,600,000円-
クリック数(課金対象のクリック)3,000-
問い合わせ(クリック後)30件-
平均CPC1,200円3,600,000円÷3,000
コンバージョン率1.0%30件÷3,000
問い合わせ単価120,000円3,600,000円÷30件
問い合わせ単価の上限90,000円仮の値
クリック単価の目安900円90,000円×1.0%

問い合わせ単価は上限の1.33倍です。コンバージョン率が変わらない場合、問い合わせ単価を上限以内に収めるには、平均CPCを1,200円から900円以下へ、25%以上引き下げる必要があります。問い合わせが30件の場合、件数の少なさによるばらつきの目安は±18%程度(1÷√30)であり、上限を33%上回る水準はこの範囲を超えていると判断できます。この目安の考え方は、コラム「LinkedIn広告の費用が高い原因を特定する方法|クリック単価と問い合わせ単価を分解」で説明しています。

算出した目安を推奨入札単価と比較する

推奨入札単価が目安の900円を上回る場合(例:1,100円〜1,500円。説明用の架空の数字)、目安の金額で入札するとオークションでの競争力が下がり、インプレッション数が減少し、予算の消化率も低下すると考えられます。公式ヘルプでも、入札額が不十分な場合は広告の掲載やターゲットオーディエンスへのリーチの機会が減少すると説明されています。また、推奨より低い入札額を設定すると、入札額の引き上げを促す警告メッセージが表示されます。この場合の選択肢は、次の3つです。

単価上限の設定額は、問い合わせ単価の上限から資料DLの単価の上限を逆算して決める

リード獲得(最適化の目標がリード)の広告セットで単価上限を使う場合、設定額は主要結果1件あたり、すなわち資料DL1件あたりの単価です。資料DLの単価の上限は、問い合わせ単価の上限に、資料DLから問い合わせに至る割合を掛けて算出します。例えば、資料DLの5%が問い合わせに至る場合は、90,000円×5%=4,500円です(説明用の架空の数字)。なお、単価上限は平均の結果単価を抑えるための基準であり、実際の平均値は設定額と異なる場合があります(公式ヘルプ)。

入札戦略の切り替え後の評価:学習フェーズと、判断に用いる指標の優先順位

よくある場面

入札戦略を単価上限に切り替えた直後の1週間で結果単価が上昇しており、配信の最大化に戻すかを検討している。

単価上限では、切り替え後の7日間に単価が変動しやすく、公式ヘルプでは最低15日間の稼働が推奨されています。切り替え後はほかの設定を同時に変更せず、データ量の多い指標(予算の消化率・平均CPM・クリック率・平均CPC)を先に確認し、問い合わせ単価は十分な件数が蓄積されてから評価します。

LinkedIn広告の入札戦略を切り替えた後の評価手順:ほかの設定を同時に変更しない、最初の7日間の結果では判断しない、15日経過後に予算の消化率・平均CPM・クリック率・平均CPCを比較する、問い合わせ件数が十分に蓄積された後に問い合わせ単価を比較する、の4段階を示した図
7日間・15日間という期間は、公式ヘルプ「単価上限入札戦略」の記載による。手動入札に切り替えた場合も、切り替え前と同じ日数の期間で各指標を比較する。

公式ヘルプ「単価上限入札戦略」によると、単価上限を使う広告セットは開始時に学習フェーズに入り、この状態は広告セットが有効な間継続します。最初の7日間は単価が変動する可能性が高く、オーディエンスとその属性、入札戦略、クリエイティブのいずれかを変更すると、学習フェーズはリセットされます。入札戦略の切り替えもリセットの対象のため、最初の7日間は切り替えた日から数えます。同ヘルプでは、最低15日間の稼働が推奨されています。

予算の消化率が低下した場合は、単価上限の設定額や入札額が低い可能性がある

切り替え後に予算の消化率が大きく低下した場合は、単価上限の設定額や手動入札の入札額が、同じオーディエンスを対象とする他の広告主の入札より低い可能性があります。公式ヘルプでも、一般に単価上限の設定額や入札額を上げるほど広告の競争力が高まり、予算を十分に活用しやすくなると説明されています。設定額や入札額が、「単価上限の設定額と手動入札の入札額は、問い合わせ単価の上限から逆算する」の章で算出した目安(手動入札はクリック単価の目安、単価上限は資料DLの単価の上限)を下回っている場合は、目安まで引き上げます。それでも予算を消化しきれない場合は、問い合わせ(単価上限の場合は資料DL)の件数の減少を受け入れるか、コンバージョン率やクリック率の改善を先に行うかを判断します。

問い合わせ単価は、十分な件数が蓄積されてから切り替えの前後で比較する

N社(診断サンプルの架空の会社)の「情報システムの管理職」向け広告セットでは、問い合わせ(クリック後)は12か月で60件、月平均5件です。この広告セットは目的がウェブサイトのコンバージョンのため、切り替え先は手動入札(拡張)です。件数の少なさによるばらつきの目安を±20%以下に抑えるには、比較する期間ごとに25件以上の問い合わせが必要です(1÷√25=0.2)。この目安に基づくと、切り替え前後の問い合わせ単価を比較するには、それぞれ5か月程度のデータが必要です。単価上限で推奨される15日間と同じ日数で比較した場合、問い合わせは2〜3件程度にとどまります。そのため、切り替えの評価はまずデータ量の多い予算の消化率・平均CPM・クリック率・平均CPCで行い、問い合わせ単価は集計期間を延ばして確認します。対象期間には、入札戦略以外の変更(オーディエンス・広告(クリエイティブ)・ランディングページ)が含まれないようにします。

TAMKOのLinkedIn広告アカウント診断で確認すること

本記事で取り上げた、広告セットごとの問い合わせ単価と上限の比較、および予算と対象者数の関係は、TAMKOのLinkedIn広告アカウント診断の確認項目に含まれています。

診断のエグゼクティブサマリーの例(広告セット別の単価を示すページ)
診断でお渡しするエグゼクティブサマリーの例です。数値と広告セット名を含め、診断サンプルの架空の会社(N社)のものです。

診断で確認する項目には、「入札戦略と予算:配信の最大化・単価上限・手動入札の選び方と、対象者の数に対する予算の大きさ」が含まれます(診断ページの記載)。

診断ページでは、「いまの使い方で続けてよいか。やめるべきものはあるか。広告で伸ばせるか。」の3つの問いに、「これまでの配信の記録(最大12か月分)をもとに、根拠を添えてお答えします。」と記載しています。また、「改善点には設定の手順を、続けてよい点にはその根拠を、判断できないものには検証の方法を添えます。」としています。料金は「診断・報告書・説明会まで無料(毎月2社まで)」です。

詳しくは診断ページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q01LinkedIn広告の入札単価は、いくらに設定すればよいですか?

決まった相場はなく、結果単価はオークションごとに異なります(公式ヘルプ)。

推奨入札単価は他の広告主の入札などから算出された値であるため、問い合わせ単価の上限にコンバージョン率を掛けて求めたクリック単価の目安を推奨入札単価と比較したうえで、入札額(入札単価)を決めます。

Q02単価上限を設定すれば、結果単価は設定額以下になりますか?

設定額以下になるとは限りません。

単価上限は平均の結果単価を抑えるための基準であり、実際の平均値は設定額と異なる場合があります(公式ヘルプ)。また、目的がウェブサイトのコンバージョンである広告セットでは、単価上限は選択できません。

Q03以前のターゲット単価の入札戦略は、現在も利用できますか?

新たに選択することはできません。

公式ヘルプ「ターゲット単価入札戦略は利用できなくなりました」によると、ターゲット単価はキャンペーンマネージャーの選択肢から削除されています。ターゲット単価で配信中の広告セットは終了まで継続できます。また、同ヘルプには、ターゲット単価で一時停止または完了した広告セットを再開すると入札戦略が自動的に単価上限に切り替わると記載されていますが、対象となる目的の条件は記載されていません。再開した広告セットの入札戦略は、キャンペーンマネージャーで確認してください。

Q04平均CPCが高いのは、配信の最大化を使っているためですか?

平均CPCだけでは、その上昇の原因が入札戦略にあるかを判断できません。

配信の最大化と単価上限はインプレッションに対して課金されるため、平均CPCは平均CPMとクリック率から算出される値です。まずこの2つのどちらが変化したかを確認し、入札戦略の見直しは問い合わせ単価(クリック後)をもとに判断します。

LinkedIn広告の入札戦略を切り替えるかは、予算の消化率と問い合わせ単価を確認して判断する|まとめ

LinkedIn広告の入札戦略は配信の最大化(自動)・単価上限・手動入札の3つで、選択肢は広告セットの目的・最適化の目標・広告フォーマットによって異なります。目的がウェブサイトのコンバージョンである広告セットでは、単価上限は選択できません。配信の最大化を使う広告セットが予算を使い切り、問い合わせ単価(クリック後)が上限以内であれば、切り替える必要はありません。上限を超えている場合は、問い合わせ単価が上昇した要因と対象者数を確認したうえで、上限×コンバージョン率でクリック単価の目安を算出し、その目安を推奨入札単価と比較して、単価上限・手動入札に切り替えるかを判断します。切り替え後は、最初の7日間を除き、データ量の多い指標から評価します。

この記事のポイント

  • LinkedIn広告の入札戦略は、配信の最大化(自動)・単価上限・手動入札の3つ。配信の最大化ではキャンペーンマネージャーが予算全体の消化を目標に自動で入札し、単価上限では主要結果1件あたりの単価(設定額)を、手動入札では入札額を、それぞれ広告主が設定する。
  • 選択できる入札戦略は、目的・最適化の目標・広告フォーマットによって異なる。最適化の目標がウェブサイトのコンバージョンの場合は配信の最大化と手動入札(拡張)の2つで、単価上限は対象外。
  • 配信の最大化を継続するかは、予算の消化率(平均日消費支出÷1日の予算)、問い合わせ単価(クリック後)と上限の差、対象者数と平均頻度で判断する。キャンペーンマネージャーの結果単価は表示後のコンバージョンを含むため、上限との比較には用いない。
  • 手動入札(拡張)のクリック単価の目安は「問い合わせ単価の上限×コンバージョン率」。推奨入札単価は他の広告主の入札などから算出された値で、自社の上限を反映しない。
  • 単価上限では切り替え後の7日間に単価が変動しやすく、公式ヘルプでは最低15日間の稼働が推奨されている。切り替え後は予算の消化率・平均CPM・クリック率・平均CPCから評価し、問い合わせ単価は十分な件数が蓄積されてから比較する。