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YouTube広告の効果測定は、購入件数ではなく何で判定するか|4つの方法と、配信前に決める判定の基準

YouTube広告やデマンドジェネレーションを配信して数か月がたつのに、管理画面の購入はほとんど0件。それでも「認知には効いているはず」と考えて続けるべきか、費用を検索広告に戻して停止すべきか、判断に迷っていませんか。

動画を見た人の多くは、その場で広告をクリックしません。数日後にブランド名で検索し、検索広告や自然検索から購入します。この購入は検索側の成果として記録されるため、動画キャンペーンの購入は0件のままに見えます。

そこでこの記事では、購入件数で効果が見えないときに使える4つの判定方法(管理画面のコンバージョン・指名検索・地域で分けた比較・ブランドリフト調査)の使い分けと、配信を始める前に決めておく判定の指標・時期・基準を整理します。

Google広告で動画キャンペーンを運用している方、これから動画を始める方に向けた記事です。統計の専門知識がなくても判断できる水準で説明します。

Google広告のアカウント診断で、動画キャンペーンを含むキャンペーンの種類ごとに配信と成果を確認している立場から解説します。

【結論】YouTube広告の効果測定は「目的に合う判定方法を1つ決め、時期と基準を先に置く」

YouTube広告の効果は、後日の検索や別の経路での購入として表れやすく、動画キャンペーンの購入件数だけでは判定できません。目的と予算に合う判定方法を1つ選び、「どの指標が・いつまでに・どこまで動いたら効果ありとするか」を配信前に決めておくことが、効果測定の出発点です。

購入件数だけで判定すると、実際には検索を増やしている動画まで停止の候補に入ります。逆に、配信したあとで判定の基準を決めると、たまたま上向いた指標を選んで「効果があった」と結論づけやすくなります。どちらも、判定の方法と基準が先に決まっていないことが原因です。

この記事の流れは次の3つです。

  1. 購入が0件に見える理由を押さえ、「効果がない」のか「計測に表れていない」のかを分ける
  2. 4つの判定方法から、目的と予算に合う1つを選ぶ
  3. 判定の指標・時期・基準を、配信を始める前に1枚の表に書いておく

YouTube広告・デマンドジェネレーションで購入が0件に見える理由

購入が0件に見える原因は、動画に効果がないことだけではありません。配信面の性質、購入が記録される経路、動画特有のコンバージョンの数え方の3点を確認してから、効果の有無を考えます。

配信面の多くは、その場で購入する場面ではない

デマンドジェネレーション キャンペーンの配信面は、YouTube(ショート動画を含む)、Discover、Gmail、Google ディスプレイ ネットワークにまたがります。いずれも、利用者が動画や記事、メールを見ている途中に広告が表示される場面です。商品を探して検索している場面とは違い、広告を見た直後にクリックして購入まで進む人は多くありません。

そのため、動画キャンペーンに求める役割は「購入を直接獲得する」ことよりも、「商品やブランドを知ってもらい、後で探してもらう」ことになる場合が多くなります。役割が違うキャンペーンを、検索広告と同じ購入件数で比べると、動画は常に不利に見えます。

視聴した人の購入は、後日の検索広告や自然検索の成果として記録される

動画を見た人が数日後にブランド名で検索し、検索広告をクリックして購入した場合、その購入は検索広告のクリックに結び付いた成果として記録されます。自然検索やブックマークから購入した場合は、Google広告の購入件数には表れません。

このとき、管理画面では「指名検索のキャンペーンは費用が小さいのに売上が大きい」「動画キャンペーンは費用がかかるのに売上がない」という見え方になります。動画が検索を増やしていたとしても、その分は指名検索側の成果に含まれているためです。

エンゲージ ビュー コンバージョンなど、動画特有の数え方がある

Google広告には、動画広告を一定時間視聴したあとに発生したコンバージョンを数える「エンゲージ ビュー コンバージョン」があります。条件は広告フォーマットによって異なり、Google 広告 ヘルプでは、スキップ可能なインストリーム広告は「10 秒以上視聴」(10 秒未満の広告は全体を視聴)、インフィード広告は「5 秒以上視聴」などと定めています。数える期間の既定値もコンバージョンの種類によって違い、ウェブ コンバージョンでは3日です。

動画キャンペーンの購入件数を他のキャンペーンと比べる前に、次の3点を確認します。

  • 「コンバージョン」列に、どのコンバージョン アクションが含まれているか(購入以外の行動が混ざっていないか)
  • 動画キャンペーンの購入のうち、クリックによるものとエンゲージ ビューによるものが何件ずつか(分類の「広告イベントタイプ」で分けて表示できる)
  • エンゲージ ビュー コンバージョンの計測期間が、商材の検討期間に対して短すぎないか

数え方を確認しないまま比べると、「0件」が本当に購入がないことなのか、数える範囲の外にあるだけなのかを区別できません。

YouTube広告の効果測定に使う4つの判定方法

判定方法は、管理画面のコンバージョン、指名検索の増減、地域で分けた比較、ブランドリフト調査の4つです。それぞれ計測できるものと必要な条件が違うため、1つの方法ですべてを判定することはできません。

先に、よく挙がる指標の位置づけを整理しておきます。視聴回数・視聴率・視聴単価(CPV)・クリック率などは、広告が予定どおりに表示され、見られているかを確認する「配信の状態」の指標です。配信の不具合や素材の良し悪しを見るには役立ちますが、売上や検索が増えたかどうかは表しません。この記事では、これらを効果の判定には使わない前提で進めます。

方法計測できるもの向いている目的必要な条件分からないこと
1. 管理画面のコンバージョン動画経由の購入・申し込みの件数(クリック、エンゲージ ビュー)購入・申し込みの獲得偶然の上下と区別できるだけの件数後日の検索や別経路での購入
2. 指名検索の増減ブランド名の検索数の変化検索を増やすことブランド名で探される商材であること季節・セール・他の施策の影響との区別
3. 地域で分けた比較配信した地域としない地域の、購入や問い合わせの差購入・売上の増分地域ごとの成果が取れること、まとまった予算年齢・性別などの内訳(地域ベースのリフト測定の場合)
4. ブランドリフト調査広告想起・認知度・比較検討などの差認知・想起予算の要件、対象のフォーマット、利用できるアカウント想起や認知が売上にどれだけつながったか

方法1 管理画面のコンバージョン(購入・エンゲージ ビュー コンバージョン)

動画キャンペーンの購入件数が毎月ある程度出ている場合は、管理画面のコンバージョンで判定できます。前の節で確認したとおり、クリックによる購入とエンゲージ ビューによる購入を分けて見ておくと、動画を見た人の購入がどれだけ数えられているかを把握できます。

注意点は件数です。月に数件の購入では、翌月に倍になっても半分になっても、偶然の上下と区別できません。件数が少ないキャンペーンでこの方法だけを使うと、判定のたびに結論が変わります。また、この方法で数えられるのは、計測期間内に結び付けられた購入だけです。後日の検索からの購入は含まれないため、効果を小さく見積もる方向にずれます。

動画を見た人がブランド名で検索するなら、配信の前後で指名検索の数が増えるはずです。指名検索の数は、Search Console の検索パフォーマンスでブランド名を含む語句の表示回数を見るか、指名キャンペーンの表示回数で確認します。どちらも、週単位で記録しておくと比較しやすくなります。

弱点は、検索の増減の原因を動画に限定できないことです。季節の需要、セール、メールやSNSの施策、テレビや雑誌での露出でも指名検索は増えます。配信開始と同じ時期に別の施策が重なると、どちらの効果かを分けられません。後述するように、ふだんの変動幅を先に把握し、他の施策と時期が重ならないように計画します。

Google広告には、広告を見た人がブランドや商品を検索する可能性を計測する「検索数の増加」という測定もあります。Google 広告 ヘルプでは、YouTube の動画キャンペーンとデマンド ジェネレーション キャンペーンで使用でき、最小予算額はブランド効果測定と同様で、詳細は Google のアカウント担当者に問い合わせる、とされています。

方法3 地域で分けて比較する(地域ベースのコンバージョンリフト・自前の地域比較)

配信する地域と配信しない地域を分け、購入や問い合わせの数の差を比べる方法です。広告以外の条件がそろった地域どうしを比べるため、季節やセールの影響は両方の地域に同じように表れ、差の部分を動画の効果として扱えます。

Google広告の「地域に基づくコンバージョン リフト測定」では、オンラインとオフラインのコンバージョンを測定でき、検索・ショッピング・P-MAX などを含む多くのキャンペーン タイプで使用できます。一方でヘルプには、グループ分割が比較的ノイズが多いこと、結果がユーザー属性などのカテゴリ別に分割されないこと、必要な予算額がユーザーベースのテストを上回る傾向があることが書かれています。利用には Google のアカウント担当者への問い合わせが必要です。

自社で地域を分けて比較する場合は、次の2点に注意します。

  • 配信する地域としない地域は、人口や売上の規模、季節の動き方が近いものを選ぶ
  • 配信を始める前の数か月で、2つの地域の購入数が同じように上下しているかを確認する(もともと動き方が違う地域どうしを比べても、差の原因を広告に限定できない)

地域比較の設計の詳細は、インクリメンタリティテストとMMMの使い分けの記事で扱っています。

方法4 ブランドリフト調査(ブランド効果測定)

広告を見たユーザーと、広告の表示対象だったものの広告を見なかったユーザーに、YouTube 上でアンケートを表示し、両グループの回答の違いから、広告想起・認知度・比較検討などへの影響を判断する方法です。Google広告では「ブランド効果測定」という名前で提供されています。

利用には条件があります。Google 広告 ヘルプの記載は次のとおりです。

  • 動画キャンペーンとデマンド ジェネレーション キャンペーンで使用できる。デマンド ジェネレーション キャンペーンで使用するには、許可リストに登録されている必要がある
  • オークションで購入したインストリーム広告やバンパー広告で使用でき、現在インフィード動画広告では利用できない
  • テストの実施には予算額の要件がある
  • 一部の Google 広告アカウントでは利用できず、利用には Google アカウント担当者への問い合わせが必要。担当者がいないアカウントでは利用できない

この方法で分かるのは、広告によって「覚えている」「知っている」「検討したい」と答える人が増えたかどうかです。想起や認知が上がっても、それが購入や売上にどれだけつながったかは、この調査だけでは分かりません。売上への効果を知りたい場合は、方法3など別の方法と組み合わせます。ブランドリフト調査の仕組みは、ブランドリフト調査とは?の記事でも詳しく解説しています。

目的と予算から、判定方法を1つ選ぶ

4つの方法を並べるだけでは判定は始まりません。動画に期待する役割と、使える予算・データから、判定に使う方法を1つに決めます。Google 広告 ヘルプも、テストの前に目標・予算・時間の要件・期待する結果に合った種類を選ぶよう案内しています。

選び方は、次の順に問いを当てはめていく形が分かりやすくなります。

  1. 動画キャンペーン経由の購入件数が、毎月ある程度出ているか → 出ているなら方法1。予算と条件が合えば、方法3で増分も確認する
  2. 商品がブランド名で探される商材か(指名検索から購入が発生しているか)→ そうなら方法2
  3. 全国に配信していて、地域ごとの売上や問い合わせが取れるか → 取れるなら方法3
  4. 目的が認知・想起で、ブランドリフト調査の条件(フォーマット・予算・アカウント)を満たすか → 満たすなら方法4
動画経由の購入件数が毎月ある程度出ているはい方法1 管理画面のコンバージョンいいえブランド名で探される商材であるはい方法2 指名検索の増減いいえ地域ごとの売上や問い合わせが取れるはい方法3 地域で分けた比較いいえ目的が認知・想起で、調査の条件を満たすはい方法4 ブランドリフト調査いいえいまは判定できない → 配信の規模・期間・地域の設計を見直す
判定方法の選び方:4つの問いを上から順に当てはめ、最初に当てはまった方法で判定する。どれにも当てはまらない場合は、判定できない理由を解消してから再開する

どれにも当てはまらない場合は、「いまは判定できない」と判断するのが正確です。そのうえで、判定できない理由を書き出します。多くの場合、理由は次のどれかです。

  • 配信の規模が小さく、指名検索や購入の動きがふだんの上下に埋もれる
  • 配信期間が短く、効果が表れる前に判定日が来る
  • 地域や期間を分ける設計がなく、比べる相手がない

この3点のどれを解消すれば判定できるかを決め、配信の規模・期間・地域の設計を見直してから再開します。判定できない状態のまま費用をかけ続けることも、判定せずに停止することも避けられます。動画広告の効果が説明できない原因を状況別に整理した特集もあるので、あわせて参考にしてください。

配信前に決める3つのこと(判定の指標・時期・基準)

判定方法を選んだら、配信を始める前に「判定の指標」「判定の時期」「判定の基準」の3つを1枚の表に書いておきます。配信を始めてから決めると、結果を見て基準を動かしてしまうためです。

コンバージョン リフト測定が、広告を見たグループと見なかったグループの差を「事前に決めた方法で」比べるのと同じく、自社で判定する場合も、何と何を比べるかを先に固定しておくことが重要です。

判定の指標は1つに絞る

指標を5つも6つも並べておくと、配信後にどれか1つは上向きます。その1つを根拠に「効果があった」とすると、判定の意味がなくなります。

判定に使う「主の指標」は1つに絞り、それ以外は「補助の指標」として記録だけしておきます。たとえば方法2を選んだなら、主の指標は「週次の指名検索の表示回数」、補助の指標は「サイトへの訪問数」「新規の購入者数」などです。補助の指標は、主の指標が動いたときに矛盾がないかを確認するために使います。

判定の時期は、効果が遅れて出る分を見込んで置く

動画の効果は、配信した週ではなく、その翌週以降に検索や購入として表れることがあります。配信期間の最終日を判定日にすると、遅れて出る分が入りません。判定日は「配信終了日+効果が遅れて出る分」を含めた日に置きます。

遅れの長さは、商材の検討期間によって変わります。日用品と高額な耐久財では、見てから買うまでの日数がまったく違います。この記事で固定の日数を示さないのはそのためです。自社の商材について「広告を見てから購入まで、どのくらい検討するか」を、購入データや問い合わせの記録から見積もって決めます。広告の効果が時間をおいて残る仕組みは、アドストックと飽和の記事で図解しています。

判定の基準は、ふだんの変動幅と損益から決める

基準は2つの面から決めます。

1つ目は、ふだんの変動幅です。指名検索の数は、広告を何もしていなくても週ごとに上下します。配信前の週次データで「ふだんどのくらいの幅で上下しているか」を確認し、その幅を超えた動きだけを効果の候補として扱います。幅の内側の増加は、いつもの上下と区別できません。判定基準を過去データの変動幅から作る手順は、テレビCM削減テストの判定基準の記事で詳しく説明しています。

2つ目は、損益です。「どれだけ動けば費用に見合うか」は、粗利と広告費から逆算します。月の動画の費用を粗利率で割ると、費用を回収するのに必要な売上の増加分が出ます。たとえば月の費用が3万円、粗利率が35%なら、動画によって月に約8.6万円の売上が増えていれば費用に見合う計算です(説明用の架空の数字です)。指名検索の増加だけで判定する場合も、「その増加から、この金額の売上が見込めるか」を合わせて確認しておくと、効果の有無と費用対効果を分けて判断できます。

ここまでを1枚にすると、判定表は次のようになります(記入の例の日数・週数は説明用の架空の数字です)。

項目決めること記入の例
判定方法4つのうちどれを使うか方法2 指名検索の増減
主の指標判定に使う指標1つ週次の指名検索の表示回数
補助の指標記録だけする指標サイトへの訪問数、新規の購入者数
判定日配信終了日+遅れて出る分配信終了の4週間後(商材の検討期間から決める)
基準ふだんの変動幅を超えたか、損益に見合うか配信前12週の上下の幅を2週以上続けて超えたら効果の候補
同時期の施策重なる施策の有無セール・メール配信の予定を記入

判定の進め方の例:購入の売上0円のデマンドジェネレーション(架空のアウトドア用品EC)

ここでは、診断サンプルの架空の会社「B社」(アウトドア用品のEC)を例に、ここまでの手順を1本通して見ていきます。判定方法を選ぶ前に、配信面を確認するところから始めるのがポイントです。

前提:動画の費用は7万円、購入の売上は0円

B社の9月の数字は次のとおりです(診断サンプルの架空の会社(B社)の例です)。

キャンペーン種類役割9月の費用9月の購入の売上
P-MAX_メインP-MAX主力(指名・商品の受け皿)6.2万円82万円
検索_指名検索指名の防衛1.8万円41万円
検索_商品の語検索比べている人の獲得4.0万円15万円
動画_ブランドデマンドジェネレーション認知(ブランドを探す人を増やす)7.0万円0円
P-MAX_ポータブル電源P-MAX新商品の立ち上げ5.0万円7万円
ディスプレイ_リマーケティングディスプレイ再訪の後押し4.0万円9万円
費用購入の売上P-MAX_メイン6.2万円82万円検索_指名1.8万円41万円検索_商品の語4.0万円15万円動画_ブランド7.0万円0円P-MAX_ポータブル電源5.0万円7万円ディスプレイ_リマーケティング4.0万円9万円
B社の9月のキャンペーン別の費用と購入の売上。動画_ブランドだけ購入の売上が0円で、検索_指名は小さい費用で大きな売上を記録している。数字は診断サンプルの架空の会社(B社)の例です

「動画_ブランド」は費用が6本のうち最も大きいのに、購入の売上は0円です。同じ月、「検索_指名」は費用1.8万円で売上41万円でした。

手順1:購入0円は「指名で受けている可能性」を先に考える

この動画キャンペーンの役割は「ブランドを探す人を増やす」ことです。役割どおりに機能していれば、成果は「検索_指名」や「P-MAX_メイン」の売上の中に表れ、動画キャンペーン自体の購入は0円のままになります。したがって、購入0円という数字だけでは、効果がないとも、効果があるとも言えません。

手順2:判定の前に、配信面を確認する

判定方法を選ぶ前に、動画がどこに表示されているかを確認します。B社では、動画の費用の58%がアプリ面に配信され、そのうちゲームアプリだけで動画の費用全体の46%を占めていました(診断サンプルの架空の会社(B社)の例です)。ゲームの合間に表示されたアウトドア用品の動画が、ブランドを探す人を増やしているとは考えにくい配信です。

アプリ面を配信から外すと、月の費用は7万円から2.9万円になります(同じくB社の例です)。意図した視聴者に届いていない配信が費用の半分以上を占めている状態では、どの方法で判定しても、本来の動画の効果は計測できません。この場合、判定より先に配信を修正します。

手順3:アプリ面を外したあと、指名検索の増減で判定する

配信面を修正したあとの判定方法を、前の節の選び方に当てはめます。B社は購入がブランド名の検索から多く発生している(指名検索のキャンペーンの売上が大きい)ため、方法2の指名検索の増減が候補になります。

判定表の例は次のとおりです。

  • 主の指標:週次の指名検索の表示回数。補助の指標は新規の購入者数
  • 判定日:配信を再開してから8週間の配信期間に、商材の検討期間を見込んだ数週間を加えた日
  • 基準:配信再開前12週の週次の上下の幅を確認し、その幅を2週以上続けて超えたら効果の候補とする。費用に見合うかは、月の費用2.9万円を粗利率35%で割った約8.3万円の売上増加が見込めるかで確認する(費用と粗利率は診断サンプルの架空の会社(B社)の例、8週間・12週・2週は説明用の架空の数字です)
  • 同時期の施策:セールの時期は判定期間から外す

この順番で進めると、「購入が0件だから停止」でも「認知に効いているはずだから継続」でもなく、修正した配信について、事前に決めた基準で判定できます。B社の診断の全体は、Google広告アカウント診断の報告書サンプルで見られます。

判定方法を使っても分からないこと

4つの判定方法には、それぞれ分からないことが残ります。判定の結果を読むときは、次の3点を前提にしておきます。

ふだんの変動幅より小さい効果は、検出できない

指名検索のふだんの上下が±10%ある商材で、動画の効果が+4%だった場合、その効果はふだんの上下に埋もれます(説明用の架空の数字です)。このとき判定の結果は「効果が検出されなかった」になりますが、それは「効果がなかった」と同じではありません。小さな効果を検出するには、配信の規模を大きくするか期間を長くして、効果の大きさをふだんの上下より大きくするほかに方法はありません。

想起や指名検索の増加が、どれだけ売上につながったかは別に確認が要る

ブランドリフト調査で分かる想起や認知、方法2で見る指名検索は、購入に至るまでの途中の指標です。想起が上がり、検索が増えても、それがどれだけの売上になったかは、これらの指標だけでは分かりません。売上への効果は、地域で分けた比較や、MMM(施策別の増分効果を過去のデータから推定する分析)で確認します。Google 広告 ヘルプでも、地域に基づくリフト測定はノイズが比較的多く、結果がカテゴリ別に分割されないとされており、どの方法にも得意な範囲と苦手な範囲があります。MMMで分かることと分からないことは、MMMの限界の記事で整理しています。

長い期間をかけて出る効果は、1回の判定には入らない

ブランドを知ってもらう効果の一部は、数か月から年単位で表れます。判定日までに表れた分だけを見て結論を出すと、その後に表れる分は含まれません。判定が終わったあとも、指名検索の数や新規の購入者数を同じ方法で記録し続け、長い期間での変化を確認できるようにしておきます。

TAMKOのGoogle広告アカウント診断で、動画キャンペーンの判定を確認する

TAMKOのGoogle広告アカウント診断では、検索広告・P-MAX・YouTube・ディスプレイ・ショッピングまでキャンペーンの種類ごとに確認し、続けてよいか・やめるべきものはあるか・広告で伸ばせるかに根拠を添えて答えます。料金は無料(毎月2社まで)で、エグゼクティブサマリー・調査報告書・分析の明細(Excel)・オンラインの説明会1回をお渡しします。

この記事で取り上げた「購入で計測できない動画キャンペーン」も、診断の対象です。配信面の偏り、コンバージョンの数え方、指名検索との関係を確認したうえで、判定できるものには判定の結果を、判断できないものには、検証の方法を添えます。

運用まで依頼したい場合は、Google広告のお試し運用(1施策・1か月で5万円・税別)から始められます。対象はその施策の広告費が月50万円までで、TAMKOに広告運用をはじめてご依頼いただく会社さまが対象です。

よくある質問(FAQ)

Q01YouTube広告の効果測定では、どの指標を見ればよいですか?

目的によって変わります。

購入が目的なら購入件数、検索を増やすことが目的なら指名検索の数、認知や想起が目的ならブランドリフト調査の結果を、判定の指標にします。視聴回数や視聴率は配信の状態を見る指標で、効果の判定には向きません。

Q02購入が0件なら、YouTube広告は停止すべきですか?

購入が0件に見えても、視聴した人が後日検索して購入している場合があります。

停止を決める前に、配信面に偏りがないかを確認し、指名検索の増減や地域で分けた比較で効果を確認します。確認できない場合は、その理由(配信の規模・期間)を先に解消します。

Q03ブランドリフト調査は誰でも使えますか?

使えない場合があります。

Google 広告 ヘルプでは、予算額の要件があること、一部のアカウントでは利用できず Google アカウント担当者への問い合わせが必要なこと、担当者がいないアカウントでは利用できないことが案内されています。対象はオークションで購入したインストリーム広告やバンパー広告で、インフィード動画広告は現在対象外です。

Q04効果の判定まで、どのくらいの期間を置けばよいですか?

商材の検討期間によって変わるため、一律の期間はありません。

配信の終了日ではなく、効果が遅れて表れる分を含めた日を、配信を始める前に判定日として決めておきます。

Q05デマンドジェネレーションとYouTube広告(動画キャンペーン)で、効果の計測方法は変わりますか?

判定の考え方は同じです。

ただし、デマンドジェネレーションは配信面が YouTube 以外(Discover・Gmail・Google ディスプレイ ネットワーク)にも広がるため、配信面ごとの費用を確認してから判定方法を選びます。ブランドリフト調査は、デマンドジェネレーションで使う場合に許可リストへの登録が必要です。

YouTube広告の効果は、購入件数ではなく目的に合う判定方法で計測する|まとめ

YouTube広告やデマンドジェネレーションの効果は、後日の検索や別の経路での購入として表れやすく、動画キャンペーンの購入件数だけでは判定できません。判定方法は、管理画面のコンバージョン、指名検索の増減、地域で分けた比較、ブランドリフト調査の4つで、動画に期待する役割と、使える予算・データから1つを選びます。どれも当てはまらないときは、判定できない理由を解消してから再開します。

方法を選んだら、判定の指標・時期・基準を配信前に決めておきます。指標は1つに絞り、判定日は効果が遅れて出る分を含めて置き、基準はふだんの変動幅と損益から作ります。そして判定の前に、配信面が意図した視聴者に届いているかを確認します。この順番で進めれば、購入0件の動画キャンペーンを、根拠のある形で続けるか見直すかを判断できます。

この記事のポイント

  • YouTube広告・デマンドジェネレーションの効果は、後日の検索や別の経路での購入として表れやすく、動画キャンペーンの購入件数だけでは判定できない。
  • 判定方法は4つ:管理画面のコンバージョン/指名検索の増減/地域で分けた比較/ブランドリフト調査。目的と予算で1つを選ぶ。
  • ブランドリフト調査には予算や対象フォーマットの条件があり、どのアカウントでも使えるわけではない。
  • 判定の指標・時期・基準は配信前に決める。基準はふだんの変動幅と損益から作る。
  • 判定の前に配信面を確認する。意図しない配信面に費用が偏っていれば、判定より先に配信を修正する。
  • 効果が検出されなかったことは、効果がなかったことの証明ではない。