Microsoft広告でオーディエンス広告を除外するかは、検索キャンペーンからの配信を検索結果への配信と分けて、問い合わせ単価で判断する
検索キャンペーンを中心に運用しているMicrosoft広告のアカウントでも、レポートの内訳に「ネットワーク」を指定すると「オーディエンス」の行が表示され、費用が計上されている場合があります。
診断サンプルの架空の会社C社(精密部品メーカー)の例では、ネットワークが「オーディエンス」の配信先3件(msn.com・news-portal.example・outlook.live.com)に、アカウント全体の12か月の費用の約18.8%(146.8万円)が計上されています。この3件には、オーディエンス広告のキャンペーンと、P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)からの配信が含まれます。どのキャンペーンからの配信かは、キャンペーン別に分けなければ分かりません。また、オーディエンスの配信先への配信の実績は、検索語句のレポートには表示されません。
そこでこの記事では、検索キャンペーンの広告がオーディエンスの配置に配信された分(以下、オーディエンス配信)を取り出し、同じキャンペーンの検索結果への配信と比べて、除外するかを判断する手順を整理します。あわせて、除外の操作を、Microsoft広告の公式ヘルプを根拠に説明します。よくある場面は次の3つです。
- 検索キャンペーンを中心に配信しているアカウントで、ネットワーク別の内訳に「オーディエンス」の行と費用が表示される検索キャンペーンの広告も、オーディエンスの配置に配信される
- 「All conv.」の列で計算すると、オーディエンス配信の問い合わせ単価が、検索結果への配信と同程度かそれより低くなる「All conv.」の列にビュースルー コンバージョンが含まれている
- 広告配信の設定で「Microsoft サイトと選択トラフィック」を選択した後も、オーディエンス配信の費用が計上されている広告配信の設定の2つの選択肢は、いずれもオーディエンス広告を含む
対象は、BtoB事業で問い合わせを成果とするMicrosoft広告のアカウントを、Google広告と並行して運用している担当者の方です。
TAMKOは、Microsoft広告のアカウント診断で、検索パートナーとオーディエンスの配信先ごとのクリック率と問い合わせ件数を確認しています。その立場から解説します。
【結論】検索キャンペーンのオーディエンス配信は、検索結果への配信と分けて問い合わせ単価で評価する
オーディエンス配信は、同じキャンペーンの検索結果への配信(以下、検索の行)と分けて、クリック経由の問い合わせ単価で評価します。期待件数が3件以上あり、オーディエンス配信のクリック経由の問い合わせ単価が上限を超えている場合にだけ除外の候補にし、Webサイト除外で配信を停止します。

除外の操作とあわせて必要なのは、次の3点です。問い合わせ単価の計算に使う件数から、ビュースルー コンバージョンと資料DLを除くこと、件数が判断に十分かを期待件数で確認すること、除外の後に検索の行の問い合わせ件数が減っていないかを検証することです。
オーディエンス広告とは:検索キャンペーンからの配信と、オーディエンス広告のキャンペーンの違い
検索キャンペーンを中心に配信しているアカウントで、レポートの内訳に「ネットワーク」を指定すると、「オーディエンス」の行と費用が表示される。
「オーディエンス広告の除外」には2つの意味があります。オーディエンス広告のキャンペーンは一時停止で配信を停止し、検索キャンペーンの広告のうちオーディエンスの配置への配信(オーディエンス配信)はWebサイト除外で停止します。

オーディエンス広告は、MSN・Microsoft Start・Microsoft Edge・Outlook.com・パブリッシャーパートナーなどのサイトに表示される広告です。公式ヘルプ「検索広告とは」には、検索キャンペーンの広告もこれらのサイトに配信される場合があると記載され、検索キャンペーンのオーディエンス広告をオプトアウトする方法として、Webサイト除外の使用が推奨されています。Microsoft Advertising APIの説明「対象ユーザーの広告」(オーディエンス広告の説明)によると、オーディエンスの配置に表示される検索広告は、広告文と画像表示オプションなどを素材に、配信先の画面に合わせた形式で表示されます。
配信面の全体像は、コラム「Microsoft広告とは」で整理しています。
検索キャンペーンのオーディエンス配信を、レポートで取り出す手順
検索キャンペーンの費用と、検索語句のレポートに表示される費用の合計が一致しない。
レポートの内訳に「キャンペーン」と「ネットワーク」を指定して、検索キャンペーンの「オーディエンス」の行を取り出します。検索語句のレポートには、オーディエンスの行の実績が含まれません。

レポート(Report Builder)で、内訳に「キャンペーン」と「ネットワーク」を、指標に費用・クリック数・目標ごとの件数(問い合わせ・資料DL)・ビュースルー コンバージョンを指定し、期間は12か月程度の長い期間にします。Microsoft Advertising APIの説明「対象ユーザーの広告」によると、オーディエンス広告の実績は既定で各種のレポートに含まれる一方、検索語句のレポートは対象外です。検索語句のレポートだけでは、オーディエンス配信を確認できません。
除外に使う配信先のドメインは、Webサイト URL(公開元)レポートで特定します。日本のアカウントでこのレポートにネットワークの列を加えられるかは、管理画面で確認してください。
C社の例:オーディエンスの配信先3件の費用は、アカウント全体の約18.8%
| 配信先 | 費用 | クリック率 |
|---|---|---|
| msn.com | 807,516円 | 0.48% |
| outlook.live.com | 369,884円 | 0.69% |
| news-portal.example | 290,934円 | 0.33% |
| 合計 | 1,468,334円 | ― |
3件の費用146.8万円は、アカウント全体の費用(782.5万円)の約18.8%です。ただし、この金額はキャンペーンの種類を区別していない値です。C社の診断サンプルでは、3件の費用はオーディエンス広告のキャンペーン(オーディエンス広告|業界)と、P-MAX(P-MAX|カタログ)からの配信によるもので、検索キャンペーンからのオーディエンス配信はありません。検索キャンペーンからの配信分は、内訳に「キャンペーン」を加えて集計します。
オーディエンスの行の成果を、同じキャンペーンの検索の行と比べる:ビュースルー コンバージョンを分ける
「All conv.」の列で計算すると、オーディエンスの行の問い合わせ単価が、検索の行と同程度かそれより低くなる。
オーディエンスの行は、同じキャンペーンの検索の行と、クリック経由の問い合わせ単価で比べます。ビュースルー コンバージョンは既定で「All conv.」の列に計上されるため、別の列に分けます。

公式ヘルプによると、ビュースルーは既定で「All conv.」の列に計上され、計上の有無はアカウントごとのオプションで変更できます。既定の設定のまま評価すると、クリックされていない表示にも成果が割り当てられ、オーディエンスの行の単価は低く算出されます。資料DLも、問い合わせと合算すると単価が低く算出されるため、別の列で集計します(関連:コラム「BtoBのMicrosoft広告は、問い合わせ単価の上限で評価する」)。クリック率は、検索結果の画面と、メールなどの画面とでは広告が表示される状況が異なるため、比較の指標にしません。
比較対象をアカウント全体の平均にしないのは、単価の低い社名・製品名の検索が平均に含まれるためです。C社(診断サンプルの架空の会社)では、問い合わせの69.6%が社名・製品名の検索経由です。同じキャンペーンの検索の行と比べれば、キーワードと広告文が共通で、ネットワークだけが異なる条件で比較できます。
C社の上限を当てはめた例:オーディエンスの行の問い合わせ単価は、クリック経由で90,000円、ビュースルーを含めると22,500円
C社の診断サンプルでは検索キャンペーンからのオーディエンス配信がないため、ここからは、キャンペーン「検索|製品の一般語」に仮にオーディエンスの行があった場合の、説明用の架空の数字で示します。キャンペーンの合計(費用3,364,203円・問い合わせ121件・資料DL313件)は、C社(診断サンプルの架空の会社)の値に合わせています。
| 行 | 費用 | 問い合わせ(クリック経由) | 資料DL | ビュースルー(問い合わせ) | 問い合わせ単価(クリック経由) |
|---|---|---|---|---|---|
| 検索の行 | 3,094,203円 | 118件 | 292件 | ― | 26,222円 |
| オーディエンスの行 | 270,000円 | 3件 | 21件 | 9件 | 90,000円 |
オーディエンスの行はキャンペーンの費用の約8%で、クリック経由の問い合わせ単価は検索の行の約3.4倍です。費用270,000円を、ビュースルー9件を含めた12件で割ると22,500円になり、検索の行より低く算出されます。
オーディエンス配信を除外するかの判断基準:問い合わせ単価の上限と期待件数
オーディエンスの行の問い合わせが12か月で3件にとどまり、除外してよいかを判断できない。
オーディエンスの行の費用を問い合わせ単価の上限で割った「期待件数」が3件以上あり、クリック経由の問い合わせ単価が上限を超えていれば、オーディエンスの行を除外の候補にします。期待件数が3件未満の場合は判断を保留し、期待件数が3件以上で問い合わせ単価が上限以下であれば配信を続けます。

期待件数は、オーディエンスの行の問い合わせ単価が上限と同じであった場合に見込まれる問い合わせ件数です。期待件数が少ないと、0件や1件という結果が偶然かどうかを区別できません(検索パートナーの配信先に当てはめた例:コラム「Microsoft広告の検索パートナーは外すべき?」)。基準を検索の行の単価ではなく上限にするのは、配信を継続するかは、採算の範囲内かどうかで決まるためです。クリック経由の問い合わせ単価が上限以下であれば、検索の行より高くても配信を続けます。除外すると、採算の範囲内で得ていた問い合わせも失うためです。上限の算出方法は、コラム「BtoBのMicrosoft広告は、問い合わせ単価の上限で評価する」で解説しています。
C社の上限を当てはめた例:期待件数9件に対して、実際は3件
C社(診断サンプルの架空の会社)の問い合わせ単価の上限は30,000円です。前の節の表のオーディエンスの行(費用270,000円・問い合わせ3件。説明用の架空の数字)では、期待件数は270,000円÷30,000円=9件で、実際の問い合わせは3件、問い合わせ単価は上限の3倍の90,000円です。3件という結果は偶然の範囲とは考えにくく、オーディエンスの行は除外の候補になります。ビュースルー9件を含めると単価は22,500円で、上限を下回って見えます。これは、評価に使う件数によって判断が逆になる例です。
期待件数が3件未満の場合は、実績を蓄積する期間を決めて判断を保留する
期待件数が3件になる費用は上限の3倍で、上限が30,000円であれば90,000円です。この金額をオーディエンスの行の月額の費用で割ると、実績の蓄積に必要な期間を算出できます。たとえば、オーディエンスの行の費用が月10,000円であれば、9か月です(説明用の架空の数字)。保留中も、オーディエンスの行の費用と件数を月ごとに記録します。
オーディエンス広告の除外の操作:検索キャンペーンでのWebサイト除外と、配信が続く設定
広告グループの広告配信の設定で「Microsoft サイトと選択トラフィック」を選択した後も、オーディエンスの行に費用が計上されている。
オーディエンスの配置への配信は、Webサイト除外で停止します。広告配信の設定を切り替えても、オーディエンスの配置への配信は停止しません。

公式ヘルプによると、検索キャンペーンのWebサイト除外でブロックできるのはオーディエンスのトラフィック(MSN・Microsoft Edge・Outlook.com を含む)への配信で、BingやAOLを含むMicrosoftの検索トラフィックとYahoo 検索は対象外です。設定の手順は次の2つです。
- Webサイト URL(公開元)レポートを検索キャンペーンで絞り込み、ネットワークが「オーディエンス」の配信先のドメインを書き出す。ネットワークの列を加えられない場合は、MSN・Outlook.com などのドメインを確認して選ぶ。
- 除外を設定する。1つのキャンペーンだけであれば、キャンペーンの設定の「Web サイトを手動で追加」に手順1のドメインを入力する。複数の検索キャンペーンに同じドメインの除外を設定する場合は、「Web サイト コントロール リスト」の「キャンペーンの除外」で除外リストを作成し、対象の検索キャンペーンに関連付ける。
項目名はヘルプ日本語版の表記によるもので、管理画面とは異なる場合があります。広告グループ単位の設定がキャンペーン単位の設定を上書きする点など、Webサイト除外の制約は、コラム「Microsoft広告の検索パートナーは外すべき?」で整理しています。
配信が続く2つの操作:広告配信の設定の切り替えと、オーディエンス広告のキャンペーンでのWebサイト除外
広告配信の設定には「Microsoft 広告ネットワーク全体」と「Microsoft サイトと選択トラフィック」の2つの選択肢があります。公式ヘルプには、いずれにも検索広告とオーディエンス広告が含まれると記載されています。「Microsoft サイトと選択トラフィック」の場合も、MSN・Outlook.com などのMicrosoftのサイトは引き続き配信対象に含まれます。また、オーディエンス広告のキャンペーンは、Webサイト除外を追加してもMicrosoftのサイトへの表示が続くため、配信を終了する場合はキャンペーンを一時停止します。C社(診断サンプルの架空の会社)のオーディエンス広告のキャンペーンは、費用が最後に計上された日が2026年6月30日で、12か月のレポートにはそれまでの配信分が含まれます。
除外した後の確認:オーディエンスの行の費用と、検索の行の問い合わせ件数の推移
Webサイト除外の追加直後に、同じキャンペーンの検索の行で問い合わせ件数の減少が見られる。
変更がレポートに反映されるまで最長2週間かかるため、除外の影響は2〜4週間が経過した後に、除外前後の問い合わせ件数を同じ長さの期間で比較して確認します。公式ヘルプでは、2〜4週間の間隔でレポートを確認することも推奨されています。

1つ目は、オーディエンスの行の費用が減少したかです。費用の計上が続く場合は、Webサイト URL(公開元)レポートに新しいドメインが表示されていないか、キャンペーン単位の除外が広告グループ単位の除外で上書きされていないかを確認します。2つ目は、検索の行の問い合わせ件数が維持されているかです。オーディエンスの配置で広告を見た利用者が後から検索して問い合わせていた場合、その影響は検索の行の問い合わせ件数の減少として表れます。3つ目は、除外したキャンペーンの問い合わせ件数が、除外していないキャンペーンと同様の推移かです。問い合わせは季節によっても増減するため、一部の検索キャンペーンだけを先に除外して比較すると、除外の影響を季節による増減と切り分けて確認できます。
前の節の例(説明用の架空の数字)では、除外により費用が12か月で270,000円、クリック経由の問い合わせが12か月で3件減ります。検索の行の問い合わせが変わらなければ、キャンペーンの問い合わせ単価は26,222円になる見込みです。検索の行の問い合わせは月に約10件のため、数件の増減は月ごとの変動と区別しにくく、除外前後の件数は3か月程度の合計で比較します。
TAMKOのMicrosoft広告アカウント診断で確認すること
この記事で挙げた、オーディエンス配信の取り出し、クリック経由の問い合わせ単価と上限の比較、期待件数による判断は、いずれもTAMKOのMicrosoft広告アカウント診断の確認項目に含まれます。
診断で確認する3つの項目
- 1ネットワーク別の費用と問い合わせ件数シンジケート検索パートナーとオーディエンスの行を分けて集計
- 2配信先ごとのクリック率と問い合わせ件数検索パートナーとオーディエンスの配信先
- 3件数が判断に十分か期待件数で、評価に進むか保留するかを決める
TAMKOがMicrosoft広告のアカウントを診断します。料金は無料(毎月2社まで)。確認する項目には、「検索パートナー・オーディエンス広告の配信先ごとのクリック率と問い合わせ」が含まれます。エグゼクティブサマリー・調査報告書・分析の明細(Excel)・オンラインの説明会1回をお渡しします。運用をお預けいただく場合は、Microsoft広告のお試し運用(1施策・1か月で5万円・税別)もあります。
よくある質問(FAQ)
Q01広告配信の設定で「Microsoft サイトと選択トラフィック」を選ぶと、オーディエンス広告は配信されなくなりますか?
配信されます。
公式ヘルプには、広告配信の設定の2つの選択肢(「Microsoft 広告ネットワーク全体」と「Microsoft サイトと選択トラフィック」)のいずれにも検索広告とオーディエンス広告が含まれると記載されています。オーディエンスの配置への配信は、Webサイト除外で停止します。
Q02検索キャンペーンで msn.com を除外すると、Bingの検索結果にも広告が表示されなくなりますか?
Bingの検索結果への表示は続きます。
検索キャンペーンでは、BingやAOLを含むMicrosoftの検索トラフィックと、Yahoo 検索への配信は、Webサイト除外ではブロックされません(公式ヘルプ記載)。
Q03オーディエンス広告のキャンペーンでも、MSNやOutlook.comを除外できますか?
できません。
オーディエンス広告のキャンペーンは、Webサイト除外を追加してもMicrosoftのサイトへの表示が続きます(公式ヘルプ記載)。配信を終了する場合は、キャンペーンを一時停止します。
検索キャンペーンのオーディエンス配信は、クリック経由の問い合わせ単価で除外の可否を判断する|まとめ
Microsoft広告では、検索キャンペーンの広告もMSN・Outlook.com などのオーディエンスの配置に表示されます。このオーディエンス配信は、キャンペーン別・ネットワーク別の内訳で取り出し、同じキャンペーンの検索の行と、クリック経由の問い合わせ単価で比べます。期待件数が3件以上で、クリック経由の問い合わせ単価が上限を超えていれば除外の候補にし、Webサイト除外で配信を停止します。除外の後は2〜4週間が経過してから、検索の行の問い合わせ件数が減っていないかを確認してください。
この記事のポイント
- Microsoft広告では、検索キャンペーンの広告もMSN・Microsoft Edge・Outlook.com などのオーディエンスの配置に配信される。この配信はWebサイト除外で停止する。
- オーディエンス配信は、レポートの内訳に「キャンペーン」と「ネットワーク」を指定して取り出す。検索語句のレポートには含まれない。
- オーディエンスの行と検索の行は、クリック経由の問い合わせ単価で比べる。ビュースルー コンバージョンは既定で「All conv.」に計上されるため、別の列に分ける。
- 期待件数(オーディエンスの行の費用÷問い合わせ単価の上限)が3件以上で、クリック経由の問い合わせ単価が上限を超えていれば除外の候補。3件未満の場合は保留する。
- 広告配信の設定は、「Microsoft 広告ネットワーク全体」「Microsoft サイトと選択トラフィック」のいずれもオーディエンス広告を含む。
- 除外の後は2〜4週間が経過してから、検索の行の問い合わせ件数が減っていないかを確認する。
